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『花のように、生きる。』重版記念

2014.11.25 公開 ツイート

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第三回
相手を変えるのではなく、
自分が変わりなさい 平井正修

9月下旬に発売された平井正修さんの『花のように、生きる。』が、じわりじわりと全国に広がっています。誰もが抱える「どう生きるか?」という悩みに対して、「花のように」という涼やかな指針を与えてくれた本書。では、花なような生き方とはどのようなものなのでしょう? 本書から一部抜粋してお届けします。

 

 人はけっこう無理なことを考えがちなのかもしれません。坐禅会に参加している人の話を聞いていて、「おいおい、それって無理じゃないの!?」と感じることがあります。
 たとえば、経営者の坐禅会で、こんな話が出ます。
「住職、今度はうちの従業員にも坐禅をさせようか、と思っているんです。坐禅で少しでも心の持ち方が変われば、仕事にもいい影響が……」
 一方、一般のビジネスパーソンを対象にした坐禅会では、
「うちのトップ連中に坐禅でもしてもらったら、もっと社内の風通しもよくなる、と思うんだけどな」
 という声があがったりする。この二者の言い分に共通していることは何でしょうか。
 経営者の弁も、従業員の思いも、「相手を変えること」に向けられているのです。しかし、どう考えたって、相手を変えるのはむずかしい。もっとも親しい関係にある、たとえば、配偶者や恋人でも、自分が思うような人に変えられるものではないでしょう。できないことは、誰でも体験的にわかっているはずです。
人間関係を好転させよう、仕事の在り様を改善しよう、といったときは、自分が変わることです。もちろん、相手に合わせるということではありません。変わるというよりは、本来の自分に戻るということでしょうか。
 前に鏡の話をしましたが、そのままを映し出す鏡も、ゆがみが生じたり、傷がついたりすれば、当然、映る像もゆがんだり、かたちが変わったりしますね。
 そうした自分のなかのゆがみや傷が、多くの場合、人間関係のギクシャクや仕事のモヤモヤの原因になっているのです。相手に非があるのではなく、自分の心にゆがみや傷があることが問題なのです。それを正していく、調えていくのは、相手を変えるよりはるかにやさしいのではないですか。
 誰かに坐禅をさせるのはたいへんですが、自分が坐禅をするのは、気持ちさえあればいつでもできるのと同じです。
 無理なことを期待してイライラを募らせるより、自分にできることを確実に実践していく。それも、禅的なふるまい、生き方です。

<読者からの感想>
「先の見える年齢になっても、まだ自信がなく、歩いてきた道を後悔ばかりしていたので、自分の道しるべとなってくれる本を探していました。この本に出会えて本当に良かったです。ぼんやりとですが、歩いていく道が見えてきたように思えます」

「夫に先立たれ、生きる目標を失っていましたが、この本を読んで、心が洗われたように思います」

「まだまだ修行の足りない私です。梅の花のようになりたいです」

 

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『花のように、生きる。』重版記念

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平井正修

臨済宗国泰寺派全生庵住職。学習院大学法学部政治学科卒業。一九九〇年静岡県三島市龍澤寺専門道場入山。二〇〇一年同道場下山。二〇〇二年より中曽根元首相や安倍元首相などが参禅する全生庵の第七世住職に就任。全生庵にて坐禅会、写経会を開催。二〇一六年より日本大学危機管理学部客員教授。二〇一八年より大学院大学至善館特任教授。臨済宗国泰寺派教学部長。『心がみるみる晴れる 坐禅のすすめ』『花のように、生きる。』『「見えないもの」を大切に生きる。』『老いて、自由になる。』(以上すべて幻冬舎)、『悩むことは生きること 大人のための仏教塾』(幻冬舎新書)、『山岡鉄舟修養訓』(致知出版社)、『忘れる力』(三笠書房)、『お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『三つの毒を捨てなさい』(KADOKAWA)など著書多数。

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