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2014.11.06

第9回

クリーンな議員

松本キック

クリーンな議員

 この度、わたくし松本キックは、次期東京都都議会選挙に立候補することを決定致しました。都民の皆さまの生活が、肌で感じて良くなるよう、『実感できる政治』を目指し心血を注ぐ覚悟でございます。子育て・教育の安心、福祉の安心、家計の安心、この3つの安心を柱に、血の通った温かい東京を創っていきたく思います。精根尽くし働かせて頂きます。浅学非才の身ではございますが、皆さまのご支援、並びにご指導、何卒宜しくお願い申し上げます。

 なんていうのはまったくの嘘。
 ボクが議員に名乗りを上げるなんて、まずあり得ないので書いてみた。悪ふざけが過ぎたようならお詫びします。良いことばかりを並べると嘘くさく見える。
 だけど、最近の議員不祥事の数を見ると、誰でも議員になれるような気もしてくる。『資質』がと叫ばれているが、資質を見極めることほど難しいことはない。有権者は選挙の際、立候補者の口先で判断しなくてはならないからだ。
 政治家の仕事の第一は、どれだけ良いことを言って、票を集めるか。票が入らなければ政治家ではない。具体性より美辞麗句、現実よりも夢うつつ、汚れていようがきれいごと、だ。
 もし、霊能者という者の力が本当にあるなら、ぜひ、良心のある候補者を見抜いて教えてほしいものだ。税金をつぎ込んだっていい。ちょっとくらい好みが出たっていい。人の人生や境遇をズバズバと当て教示を垂れるなら、悪い議員候補をドンドン公表していただきたい。
 話が逸れた。にしても今年はほんと、質の悪い議員の当たり年。大豊作。便乗釈明。悪ふざけの過ぎる先生方が多すぎる。

『女性が輝く』、安部政権が打ち出した指針の目玉となった小渕優子議員。残念ながら輝いていたのは親の七光りのおかげ。後援会は父親の代から。資金も人間も時代も、そのまんま引き継いでいた。
「小さい頃からいっしょだったので」
 小渕議員からポロリとこぼれた一言が全てを物語る。元総理の娘だが、彼女にキャッチコピーを付けるなら『後援会の孫』といったところだろう。
「おうよしよし、じいちゃんがやってあげるからな」
 こんな言葉がよく似合う。
 経産省では輝く暇もなかったが、辞任記者会見ではカメラのフラッシュで輝いていた。何よりも、彼女の胸元のダイヤモンドがキラッキラと一番の輝きを見せていた。総理が望んだ輝きとは、釈明会見のフラッシュの輝きだったんだな。
 松島みどり議員は、正直触れるのもバカバカしい。なので、今の流行りをもって一言で斬ってみる。
 松島みどり議員が釈明会見でへらへら笑っているのは、妖怪のしわざだ。
以上。

 いい加減な釈明会見は完全にブームとなってしまった。
 秘書がSMバーでの飲食を政治資金として領収書を切っていた宮沢議員。私も怒っているではない。怒っているのは税金を使われた国民の方。カウンターで話ができると釈明したが、どうせなら、「自分はムチで打たれても、蝋燭を垂らされても、円安による実質購買力の低下や、供給制約から実質輸出の伸び悩みについてなど話ができる」ぐらい言ってほしかった。そうすりゃ文句ではなく、ある種の尊敬を集められたかもしれないのに。
 エボラ疑惑ニュースの裏で、深夜にコソコソと緊急釈明会見を開いた望月環境相。内容は追及するプロに任せるとして、ボクからは小さなペンダントをプレゼントしたい。小物なので。

 国会議員がグダグダの体たらくなだけに、地方の議員だけに節度を守れというのは酷な話だ。今年の不祥事をざっとおさらいしよう。
 政務調査費・政務活動費に不透明な収支が発覚し、記者会見で号泣する県会議員。セクハラやじを飛ばし、逃げきれないと見るや「自分だけではない」と道連れ謝罪をする都議会議員。同じくセクハラやじを飛ばしても、ダンマリを決め込み名乗り出ることすらしない都議会議員。疑惑に対し、知らぬ存ぜぬを貫く議員や、無視する議員。あげくはマスコミの取材にダッシュで逃げ回る議員まで現れた。そんなに走りたいなら、政務活動の移動も全て走っていけば交通費がかからなくて済むのに。そして、盗んだ自転車で走り出した議員は、政界という闘いから卒業していった。
 あまりにも酷い有様に、なにかと話題の尽きない兵庫県議会で、政務費条例の改正案が可決された。政務活動費を1割削減。インターネットでも会計帳簿を公開。不正を無くそうという意思は感じられるが、切手の大量購入の禁止という間が抜けた項目も含まれていた。それだけ多くの議員が切手を大量購入していたのだろう。でもこの条例で困るのは議員ではなく、兵庫県の金券ショップかもしれないな。
「最近、切手不足で」
 と。悲しいかな、誠実な政治家を育てるには、条例で縛らないと無理らしい。


「誠実、忠実にして、かつ有能な政治家を育成しなければ、この国の未来は明るくないだろう」
 当選回数9回、最後の大物議員と言われた国清正美の大きなしわがれ声が、小さな会議室に反響していた。
 都内。住宅街に位置する、建て替えられたばかりの真新しい区民センター。地下にある小会議室は、新築特有の塗料のせいか、ツンと鼻をつく臭いが充満していた。会議室の入り口横には、スタンド式のホワイトボードが。表面には、黒く太い字で部屋を使用している団体名が書かれていた。
『クリーンベレー』
 脱力系の名称とは裏腹に、室内には重苦しい空気が漂っていた。細長い部屋に、薄いグレーの長テーブルがロの字の形に並べられている。出入り口を背に、奥の席にはこの会の発起人である国清正美。左右のテーブルにはそれぞれ2人の議員。入口にもっとも近い手前のテーブルには若手議員が1人座っていた。皆、国清が非公式で招集し、極秘のうちに集っていた。
「我々、不正や不祥事のないクリーンな議員が、今こそ大きな役割を果たさなければならない。この国の汚れきった政治を、私と君たちで正しい方向に導くのだ」
 国清の熱弁に議員たちも次々に呼応する。
「そうだそうだ、我々が改革を実行しなくて誰がやる」
「クリーンな政治家がバカを見る、これほどバカげたことはない」
「クリーンな政治はクリーンな政治家の手で」
「クリーンが輝ける社会を!」
 政治家の腐敗は極限まで進んでいた。与党、野党に限らず、ほとんどすべての議員が問題を抱えていた。政治資金流用、違法献金、公職選挙法違反にセクハラや失言。国会では連日、疑惑の追及と釈明がなされ、重要法案の審議も先送りの先送りの、更に先送り、そのまた更に先送りにされていた。
 あまりにも不正が横行した為、国民の感覚も麻痺していた。クリーンな政治家がもてはやされ、期待を担ったのは昔のこと。今はその存在感を失いつつあった。
「ここに集まってもらった皆は、全員漏れなくクリーンな議員だと把握している。国の一大事、党や派閥を超え、クリーンな議員にだけ声をかけさせてもらった」
 国清がその思いを語り始めた。
「正直、今の不正議員が改心することはないだろう。反省している姿を見せれば許されるという風潮もできあがっている。ならば、今後を託せる政治家を育てたほうが道は早いのではないか」
 皆、固唾を飲んで聞き入っていた。
「そこで君たちが必要になる。クリーンな人材の先導として良い道を作り上げてほしい。誠実な政治家を育てるにはどうすればいい」
 国清からの投げかけに、参加していた議員が矢継ぎ早に議論を交わした始めた。

A男:議員全員に常時、監視をつけたらどうか。
B女:それではプライバシーを侵害してしまう恐れがありますよ。
C男:監視しなければ誠実になれないなんて、そもそもの資質に難がある。
D男:人間本来の資質を、根本から改善することが必要だ。
A男:なら、永平寺で厳しい修業を課すというのはどうだろう。
C男:修行をしなければ誠実になれないなんて、そもそもの資質に難がある。
A男:なら、罰則を厳しくするしかないだろう。
B男:罰則を厳しくしなければ誠実になれないなんて、そもそもの資質に難がある。
A男:そればっかりじゃないかお前。
C男:お前って言うなよ。
A男:うるせえよお前。お前だよ。
B女:どっかで見ましたよ、そのやりとり。
国清:話を進めて。
B女:国民を裏切らない、国民に忠誠を誓う、国民の為に戦う。この図式が必要です。
A男:忠義の士。
D男:赤穂浪士や、日本一の武辺者と言われる清水宗治のような人物か。
B男:切腹しなければ誠実になれないなんて、そもそもの資質に……。
A男:しつこいよお前。

 

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