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2014.09.26

いかにして『百年法』を超える一気読みエンタメに仕上げるか

山田 宗樹

いかにして『百年法』を超える一気読みエンタメに仕上げるか

9月26日に電子書籍版の配信も開始された、山田宗樹さん最新作『ギフテッド』。山田宗樹さんご本人から、読者の皆様へメッセージをいただきました。

 

〈これ以上のものは書けません。〉

『百年法』の帯に寄せた私のコメントだ。偽りはない。これでダメなら小説家としては終わり。その覚悟を込めた言葉でもあった。

 幸い作品は望外の評価を得て、私は作家生命を保つことができた。ただ、こうなると先の言葉が重くのしかかる。『ギフテッド』に着手するとき、私の頭を占めていたのは、いかにして『百年法』を超える一気読みエンタメに仕上げるか、に尽きた。

 設定では勝てない。『百年法』のアイデアは、私にとって一生に一度の大ネタだったからだ。だが、ほかの部分ならば、やりようはある。私が『ギフテッド』でもっとも神経を使ったのは、物語の構成だった。

 読んでいただければわかるが、第一部では二つの一人称視点が交互に過去と現在を語り、最後に交錯する。これは『嫌われ松子の一生』でも使った手法で、ストーリーに奥行きを与え、かつ緊迫感を演出するのに有効だ。

 第二部では一転して三人称二視点となり、時系列も現在を同時進行する。構成としてはわりとシンプルで、はじめは無関係に見える二つの流れが徐々に接近し、最後に重なったときにある事件が起こって読者に衝撃をもたらす。とくに目新しい手法ではないものの、読者を第三部へと強く誘う効果はあったはずだ。

 その第三部も基本は三人称多視点だが、前半は第二部で起こった事件の謎解きが絡み、途中でいきなり過去の視点が再生されるという、いささかアクロバティックな構成になった。現在の視点とうまくリンクさせないと空回りしかねないが、なんとかクリアできたように思う。

 後半に入ると、複雑な時系列を織り込みつつ、いくつもの流れがもつれあいながら加速していき、連続するクライマックスになだれこむ。そして静かな、しかし人によっては呆気にとられるかもしれないラストへと続く。

 いうまでもないが、これらはすべて私の頭の中にあるイメージに過ぎず、実際に作中でこのように機能しているかというとかなり不安ではある。また、結果として『百年法』を超えられたかどうかも、読者の判断に委ねるしかない。いや正直にいおう。私としてはもはや、どちらでもよい、という心境に近くなっている。もしかしたら、ある種の社会的なメッセージをこの小説に見出す人がいるかもしれない。しかし、いま私が読者へほんとうに伝えたいメッセージ、というか切なる願いは、たった一つ。

 どうか、あなたにも一気読みの快感を味わってもらえますように。

 

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関連書籍

山田宗樹『ギフテッド』
アメリカ合衆国に住む13才の少年の体内に“未知の臓器”が見つかった。以後、同様の臓器をもつ子供たちの存在が、世界各地で確認される。いつしか彼らは、羨望と畏れを込めて「ギフテッド」と呼ばれるようになった。当初は何の特徴も見られなかったギフテッドが覚醒した時、彼らを恐れ排除しようとしていた普通の人間たちがいきなり肉片と化す殺人事件が起こる。そして、ギフテッドに対する恐怖が暴走する。『百年法』を凌駕する、一気読み確実、超絶興奮の胸打つ大巨編ミステリー

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