毎日を1%ずつ新しく生きる! 刺激と感動のマガジン&ストア

★がついた記事は無料会員限定

2014.08.22

外食に広がるチャイナフリー(中国産不使用)
動きは本物? 抜本的解決になるのか?

渋谷 和宏

外食に広がるチャイナフリー(中国産不使用)<br />動きは本物? 抜本的解決になるのか?

 ファミリーレストランや居酒屋などの外食産業で中国産食材の使用をやめたり減らしたりする動きが広がり始めている。
 ロイヤルホストや天丼てんやなどを展開するロイヤルホールディングスの菊地唯夫社長は7月31日、「消費者が不安を感じており、代替品を確保できることを条件に中国産を縮小していく」方針を明らかにした。ロイヤルホールディングスが使用している中国産食材はインゲンやアサリなど主に冷凍の野菜・魚介類で、その割合は金額にするとロイヤルホストで0.6%、天丼てんやで10%だという。(同日付の読売新聞)
 居酒屋のテング酒場を展開するテンアライドも「あえてチャイナフリー(中国産不使用)を決断した」(加藤慶一郎執行役員)。すでに国産の食材への切り替えを始めており、消費者の支持を得ているという。(8月16日付の日本経済新聞)

 きっかけは言うまでもなく中国の食品会社、上海福喜食品による保存期限切れ鶏肉の使用問題だ。一連の報道は、2007年から2008年にかけての中国製冷凍ギョーザ中毒事件で高まった中国産食材への不信と不安を再び、かつ、より強烈に募らせた。上海福喜食品から鶏肉を納入していた日本マクドナルドとファミリーマートはチキンナゲットなどの販売をすぐに中止したが、被ったイメージダウンはいまだに払拭できていない。
 外食各社はそんな消費者の懸念を拭い、イメージダウンを避けようと中国産食材の縮小にかじを切ったのだ。

 実はチャイナフリーへの動きはこれが初めてではない。中国製冷凍ギョーザ中毒事件の後、外食各社は一時期、中国産食材の使用を減らしたが、事件の生々しい記憶が薄れるにつれて再び中国産食材の輸入を増やしていった。中国産食材は生産コストが安く、日本に近いので輸送費も輸送時間もあまりかからないからだ。
 いま再び始まったチャイナフリーへの動きは今度こそ本流となるのだろうか。
仮にそうなったとして、抜本的解決につながるのか。私たちは安心して外食を楽しめるようになるのだろうか──。

 今回の動きは過去とは違い、根強く、かつ息の長いものになると僕は見ている。一つには今回の報道が中国産食材への不信と不安にダメを押しているからだ。
 上海市のテレビ局が報じた上海福喜食品の工場内部の実態はおぞましいものだった。床に落ちた肉のかたまりを無造作に調理鍋に入れ、保存期限を7カ月も過ぎ青く変色した肉を当たり前のように使い回す。しかもこうした一連の行為について従業員は「食べても死にはしない」と悪びれもせずにうそぶく。
 この報道を受けて「中国猛毒食品 本誌だけが知る真実」(週刊文春8月14日・21日号)、「中国産米 金属汚染 恐怖」(7月26日付日刊ゲンダイ)など、多くのメディアが中国産食材の安全性に疑問を投げかける記事を連日のように報じている。
 上海福喜食品の親会社は世界有数の食品加工会社である米OSIグループで、同社の工場は最新鋭の機器を備え、ごく一般的な中国資本の食品加工工場より衛生管理が徹底されていると見られていた。
 その上海福喜食品で目をそむけたくなる不祥事が発覚したのだから、「他は推して知るべし、今回の事例は氷山の一角ではないか」と疑いたくなるのは無理からぬところだ。
 こうしたセンセーショナルな報道に対して「中国にも良心的な生産者はいる」「衛生・安全管理がずさんな工場は他の国にもあり、日本でさえ不祥事があった」と中国産食材ばかりをやり玉にあげる不合理を指摘する専門家もいる。
 それらの冷静な意見にはもちろん、うなずけるところはあるものの、中国のどんな工場で、どのようなプロセスで生産されているのかを検証できない消費者の不安を払拭させるまでには至っていない。
 加えてアベノミクスによる景況感の回復もあって、値段が高くても美味しくて安全な食べ物を食べたいという需要はますます強まっている。安かろう悪かろうのマイナスイメージを返上しない限り、消費者の中国産食材離れはいっそう進むに違いない。

 だとすれば、外食はもちろんスーパーなどの小売りも中国産食材の扱いを減らさざるを得なくなるだろう。
 日本経済新聞社が外食やスーパーなど食品を扱う国内企業110社に対して7月下旬に実施したアンケート調査によれば、すでに3社に1社が中国からの食材調達を減らす方針を打ち出している。「替わりにどこから調達するか」の質問に対して最も多かったのはタイで19社、国産への切り替えも18社にのぼった。(回答社数は87社)
 残りの約6割は「量が確保できる」(26社)、「価格が安い」(23社)などの理由で中国からの調達について「現状を維持する」と回答しているが、近い将来、代替調達先の開拓に乗り出す可能性は否定できない。
 消費者のニーズに寄り添わなければ経営はいずれ立ち行かなくなるからだ。「現状維持」と回答した企業の多くは検査体制を強化したり従業員教育にいっそう力を入れたりする方針だが、それで消費者は納得してくれるだろうか。

ログイン

ここから先は会員限定のコンテンツ・サービスとなっております。

無料の会員登録で幻冬舎plusを更に楽しむ!会員特典をもっと見る

会員限定記事が読める

バックナンバーが読める

電子書籍が買える

イベントに参加できる

★がついた記事は無料会員限定

記事へのコメント コメントする

コメントを書く

コメントの書き込みは、会員登録とログインをされてからご利用ください

おすすめの商品
  • ピクシブ文芸、はじまりました!
  • 文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
  • 無理しないけど、諦めない、自分の磨き方
  • 時短、シンプル、ナチュラルでハッピーになれる!
  • ビジネスパーソンのためのマーケティング・バイブル。
  • 有名料理ブロガー4名が同じテーマでお弁当を競作!
  • ドラマこそ、今を映すジャーナリズム!
  • 砂の塔 ~知りすぎた隣人[上]
  • 小林賢太郎作品一挙電子化!
  • あなたがたった一人のヒーローになるためには?
朝礼ざんまい詳細・購入ページへ(Amazon)
文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞作!
ピクシブ文芸、はじまりました!
エキサイトeブックス
今だけ!プレゼント情報
かけこみ人生相談 お悩み募集中!