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2008.03.01

雨宮塔子の食事日記3

雨宮 塔子

雨宮塔子の食事日記3

1月29日

 毎月エッセイを連載している『ドマーニ』の撮影で、久しぶりに会ったカメラマンの篠さん、ヘアメイクのマナさんと共に、撮影後、現場近くのカフェでパナシェを飲む。パナシェをオーダーする時、いつもさるフランス語のテキストのことを思い出してしまう。渡仏前、独学で勉強していたそのテキストに、日本人の女の子がパリで出会った男の子と一緒にカフェに入るシーンがある。メニューを見て、ギャルソンにパナシェを注文する彼に、その女の子は“Qu’est-ce que c’est?”(それ、なあに?)と尋ねるのだ。

 たしかテキストの終わりの方で、その二人は入籍したのだった。パリを舞台にしているからか、思い返すと、やけに色っぽいテキストだったなぁ。篠さん、マナさんと向き合いつつ、自分の世界に入りかけた時、ビールをレモネードで割ったその飲みもの、パナシェが届く。つまみはポテトフリット。こんなジャンキーな組み合わせを前に、気のおけない友人たちとしゃべっている夕ぐれの時間は、パリで見つけた、幸せな一時のひとつだ。

 カフェで篠さんから手羽先のレシピを聞く。パリの周りの友人たちは、みんな料理が上手で、中でも味覚の好みや、食い意地の張り方が似ている篠さんとは、よく食べたものや作った料理の話で盛り上がるのだけれど、今回のは、篠さんにしてみたら一見濃い目のレシピだ。にんにくの香りを移したごま油で、手羽先の両面をきつね色になるまで炒めたら、コーラと八角とお醤油で煮るというもの。豚肉をオレンジジュースと白ワイン、あるいは赤ワインやビールで煮たことはあるけど、鶏肉をコーラで煮るというのが斬新に感じた。八角の風味をつける台湾風の煮込みは好みの味なので、さっそく試してみることにした。
 出来上がったものは、思ったよりさっぱりしていて、お酒のつまみにもよさそう。手羽先というと塩、こしょうして、オーブンに入れ、焼き上がったらレモン汁をかけてかぶりつく、というワンパターンだったから、新たな定番ができて嬉しい。

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