スッキリさせたいといえば、やはり身体。しかし、運動もせずに、鍛えられた身体を手に入れることはできません。武田真治さんは、「どんなお金持ちでも厚い胸板はお金で買えない」と著書『優雅な肉体が最高の復讐である。』の中でいいます。スッキリした身体、美しい肉体を作り上げるために、どう気持ちを高め、時間を捻出し、どんな運動をすればいいのか――? 身体との向き合い方のヒントを紹介します。

 

鍛え上げられた肉体は人生を変える

40歳をすぎてはじめて自らの肉体について綴った

 僕は今年42歳になります(編集部註:2014年書籍刊行時)。28歳からトレーニングを始めましたが、40歳になるまではそのことを公言したり、裸になったりすることは極力避けてきました。なぜなら若い肉体が美しいのは当たり前で、それをあえて披露する特別な理由などないと思っていたからです。

 しかし今、自分が地道に続けてきたことが、僕と同世代の人たちとの間で肉体や健康状態に大きな差を生んでいる気がして、自分でもこれまでの歩みを振り返りながら、一冊の本に自己をさらしてみようと思いました。

 30代まで映像や舞台、音楽などの仕事をしている同世代の表現者たちは皆、僕にとってライバルでした。けれど今は、表現者という枠の中だけではなく、僕とは違う分野で頑張っている人でも、同世代なら「同志」だとなぜだか思うようになったのです。ある程度の年齢になっているかたにはこの感覚、ご理解いただけるのではないでしょうか。そして、同世代の同志たちには「年齢」だけで次の世代に負ける仕事をしてほしくないといいますか──。

 そんな同志たちと、「まだまだ身体は進化し、鍛え上げられた肉体は人生を変えてくれる」という事実を共有したくなったのです。

 何をするにも健康は大切だと言われますが、この年齢では健康というスタートラインに立つまでにすでにある程度の努力が必要であることを残念ながら初めにお知らせしなければなりません。では、そのスタートラインにはどうしたら立てるのか。結論を言うと運動をして身体を鍛えることです。身体を鍛えると当然健康になります。

 ちょっと待って!

 はい、もうイヤになりましたね?

 わかります。誰だって辛(つら)い思いはしたくありませんし、「自分は特別だ」なんて自慢話なんか聞きたくもありません。でも、よーく見てください。僕がそんなゴリッゴリな体育会系の人間に見えますか? 僕がなんのご褒美もない茨(いばら)の道をただただ根性だけで歩んできたと思います?

 この本では僕が体感してきたほんのちょっとずつの肉体の変化を大きな喜びに変えて、頑張り続けられる方法やそのコツを提案したいと思います。

筋肉自体はタダ

 高いお金を払ってスポーツジムに通わないと身体は鍛えられないと誤解している人がいるかもしれませんが、お金をかけなくても身体は鍛えられます。「筋肉自体はタダ」ですから。

 もちろん僕も、その時々パーソナルトレーナーに指導を受けてきましたし、高級スポーツクラブを否定しているわけではありません。高いお金を払うことで手に入るものもあります。それは、目標とする体形や体調に到達するまでの「時間の短縮」です。専門的知識や技術、精神的なサポートは高額な会費に値するのでしょう。

 しかし肉体改造に当面の期限もなく、長期的に続けられる健康のための身体作りに必要な運動を何か習慣づけたいのなら、ぜひ本書をこのまま読み進めてみてほしいと思います。

 特に同世代の同志たちには、身体をちっとも動かさずに後輩に小言ばかり言う格好悪い上司ではなく、自分から率先して身体を動かす寡黙で力持ちのイケてるアニキになってほしいものです。そのほうが絶対モテるだろうし、これからの人生がもっと楽しくなるはずですから。

 僕だって最初からなんのためらいもなく身体を鍛えていたわけではありません。10代でデビューして以来、細くフェミニンな体形が僕のトレードマークと言われるほど華(きや)奢(しや)でしたし、鍛えることなんていっさい興味がありませんでした。でも、そのままでは、仕事も人生もうまくいかなくなった時期があり、行き詰まった自分を変えるには、心と身体を土台から見つめ直す必要があったのです。

 自分を伸ばす原動力になるのは優越感。でも、まず向き合わなきゃいけないのは劣等感。誰にとってもたやすい作業ではないでしょうが、辛いことばかりでもありません。だって僕にもできたんですから!

 この本は具体的、物理的なトレーニングのハウツーというより、前向きに生きようと運動をする際に必要となる動機やモチベーションをいかにして保ち続けるかを体験に基づき記した、言わば精神的なハウツー本です。

 まるっきりの運動初心者、あるいはしばらく運動から遠ざかっているかたがたにとって、何か運動を始めるきっかけになることを願って書き進めてみます。
(武田真治著『優雅な肉体が最高の復讐である。』「はじめに」より)


 

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