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2014.08.01

文房具こそクールジャパンの切り札だ デジタル時代にブームの意外な理由

渋谷 和宏

文房具こそクールジャパンの切り札だ デジタル時代にブームの意外な理由

 文房具のここ最近の売れ行きは驚くべきものだと思う。
 パソコンやスマホ、タブレットなどのデジタルツールの普及で、ペンやノートなどアナログの最たるものである文房具を使う機会は職場でも家庭でもますます減っている。にもかかわらず大ヒット商品が次々に生まれ、生活雑貨を扱う大手チェーン店は競うように文房具売り場を拡張、文房具を愛でる人たちのコミュニティーも全国に続々と誕生しているのだ。
 この7月9日から11日にはアジアで最大級の文房具・オフィス用品の展示商談会「国際文具・紙製品展(ISOT)」が東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催された。初日には機能やデザインに優れた文房具を表彰する「日本文具大賞」のグランプリ表彰式が催され、朝日新聞やマイナビニュースなど多くのメディアに取り上げられた。
 ちなみに大賞を受賞した文房具は、左右にひねるだけで小さな子どもでもきれいに鉛筆を削れる「ラチェッタワン ハンディ鉛筆削り」(ソニック、店頭小売価格240円=税別)と、メタリックでカラフルな文字を描けるおしゃれな女性向け筆ペン「ZIG メモリーシステム ウインク オブ ルナ ブラッシュ」(呉竹、市場想定価格450円=税別)の2点だった。
 なぜデジタル全盛の今、アナログの文房具が売れているのか。いつ、何がきっかけで文房具ブームに火がつき、メーカーはどのようにしてその火に薪をくべているのだろうか。

 まずは文房具がどれほど売れているのか、ブームの盛り上がりを時系列でたどりながら見てみよう。
 きっかけの1つは2007年11月に発売された1本の筆記具だった。使っていらっしゃる読者も少なくないかもしれない。パイロットコーポレーションのこすると消えるボールペン「フリクションボール」だ。摩擦熱で色が変わるインクを使い、消しカスを出さずに文字を消せる画期的な新機能がビジネスパーソンや学生など消費者の心をとらえ、国内はもちろん世界中で大ヒット、2014年3月末時点でのシリーズ累計販売本数が何と10億本突破の記録的メガヒット商品となった。
 フリクションボールの大ヒットに刺激された文房具メーカー各社は他社に負けまいと新たな機能を筆記具に盛り込み、ヒット商品が次々に生まれていった。書くたびに芯が回転し、常にとがった状態にする三菱鉛筆のシャープペンシル「クルトガ」(2008年3月発売)や、芯の強度をこれまでの同社製品の10倍に高めたプラチナ万年筆の「オ・レーヌ」シャープペンシル(2009年9月発売)はそれらの代表だろう。とりわけクルトガは年間20万本売れればヒットと言えるシャープペンシル市場でシリーズ累計4000万本以上も売り上げている。
(プラチナ万年筆は今年6月10日、芯の強度をさらに高めた「オ・レーヌ シールド」を発売した。従来のオ・レーヌより1.5倍も芯が強く、折れにくいという)
 ユニークな新機軸で消費者をつかんだ文房具はやがて筆記具以外のジャンルにも広がっていった。針のいらないステープラー「ハリナックス」(コクヨS&T)、徹底的に書き心地にこだわって作った「Premium C.D. NOTEBOOK(プレミアムCDノート)」(アピカ)などだ。これらをお持ちの読者もきっといらっしゃるに違いない。
 次々に登場するヒット商品に牽引され、文房具市場は成長していった。経済産業省の集計では2010年に173億円だったシャープペンシルの総売上高は2013年には189億円に拡大、ボールペンなどを合わせたペン類全体の出荷額は2009年の990億円から2011年には1085億円に達した。

 文房具ブームは新たな人のつながりやビジネスも生み始めている。冒頭に触れたように文房具マニアのコミュニティーが全国で次々に誕生しているのだ。ネットの交流サイト(SNS)で参加者を募り、お気に入りのノートやユニークな機能を持つ文房具を持ちよってあれこれ情報を交換するリアルな会合を開くのが活動の中心で、メーカーの開発者もその動向を注目するほど存在感を増している。参加者は主にビジネスパーソンだ。
 文房具カフェも登場した。2012年6月、東京・表参道にオープンしたその名も「文房具カフェ」だ。店内にはたくさんの文房具が並べられ、文房具についての様々なイベントが連日のように開催されている。さらに会費700円を払うと「文房具カフェ オフィシャル会員」専用の鍵を手渡され、施錠されたテーブルの引き出しを開け、中に入っている文具に触れられる。もちろんカフェなので本格的な料理や飲み物も提供される。開店3年目に入った今も、文房具好きのビジネスパーソンたちで大賑わいだ。
 文房具を扱った書籍、ムックも出版ラッシュと言っていい。『文房具ぴあ(ぴあ)』『文房具完全ガイド(晋遊舎)』『ステキ文具(ベストセラーズ)』『愛しの文房具(エイ出版社)』『かわいい文房具(三才ブックス)』『大人の文房具(晋遊舎)』『大人かわいい女子文具(学研)』……今さらのように打ち明けると、実は僕はご推察の通り文房具がかなり好きなのだけれど、そんな僕でもどれを買ったらいいのか迷ってしまうほどだ。

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