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2014.07.29

データを調べられない一絵描きが勝手にほざく「これからの日本」(feat.木村奈緒)
〈その2〉

会田 誠

データを調べられない一絵描きが勝手にほざく「これからの日本」(feat.木村奈緒)<br />〈その2〉<br />

 それでは始めます。まずは手始めにごく軽い、身近なネタから。一見「これからの日本」という大それた話題とは関係なさそうな卑近な話題ですが、僕の中では象徴的な意味で大いに関係あると思うので、取り上げてみます。

議題1・taspo(タスポ)  

 とにかくtaspo、ムカつくんですよ。あ、taspo知りませんか? あなたタバコ吸いませんね? それはなかなか良い趣味だこと。僕は悪い趣味なんでタバコ吸うんですよ。それもいっぱい。はい、自他ともに認めるヘビースモーカーです。

 taspoというのは2008年からタバコの自動販売機にくっ付き始めた、未成年者によるタバコの購買を防止するための「成人識別ユニット」とかいう装置です。まず、記入した申込書に証明書や顔写真などを添付して郵送し、未成年じゃない証明――つまり成人である自分の本人確認をします。そういうしち面倒臭い手続きを経て「taspoカード」という名の、非接触型ICカードとやらをもらいます。で、そいつを自販機の所定の場所にピッとかざすと、自販機が作動してタバコが買える――持ってないと自販機が作動しないから買えない――とまあ、だいたいそのようなシロモノです。

 たぶん2007年あたり、そういう装置を導入するという第一報を聞いた時から、ムカっと来ました。それはもう瞬間的に、思考の余地なく「これは全体的にカスな話だ!」と確信しました。そして「絶対にそんなカード作るもんか! 自販機が使えないなら小売店で買い続けてやる!!」と心に誓いました。以来タバコはコンビニ等で買っています。

 しかしつい最近、家から歩いて5分のところにあったコンビニが潰れてしまい、別のコンビニまで20分以上かけて歩かなければならないハメに陥りました。自販機ならたった2分のところにあるのですが、もちろんtaspoは意地でも作りません。なのでヤツには「徒歩強要、差し引き18分の恨み」が新たに加わりました。もはやこうなったら思想戦です。ヤツには一歩も引かないどころか、この場を借りて総攻撃を仕掛ける所存であります!

   ※     ※     ※

 まずもって「タバコは体に悪い」って大前提からしてどうなんですかね? タバコって紀元前5000年前から栽培されていた、人類にとって相当長い付き合いの嗜好品らしいじゃないですか。そんなものに根本的な毒が含まれてたら、人類とっくに滅んでる――というのは大袈裟としても、それを嗜(たしな)んだ部族や民族が衰退するとか、嗜好する家系に遺伝子上の異変が起きて淘汰されるとか、あって然るべき話ですが、僕はとんと聞いたことないですがね。最近の医者の話より、数千年スパンの人類史的事実を信じる方が、理性的判断ってもんだと思いますよ。

 ニコチンに限らず塩分だって糖分だってミネラル類だって、摂り過ぎたらそりゃ死にますよ。でもたいていの病気による死因なんて、そんな分かりやすいものではないでしょう。未来に到来する個々人の死因とは、ある程度医学的に予測でき、確率的に語れても、最終的にはどの目が出るか分からない/どの目が出てもおかしくない、神のみぞ知るルーレットゲームのはず。特に癌の原因なんてホントのところ、現代医学ではまだまだ分からないことだらけなんでしょ? 副流煙の可能性さえまったくなかった環境で育った若者が肺癌で死んだり、超ヘビースモーカーの百歳超えご長寿がいたり。「タバコは体に悪い」なんて、雑に印象を述べた言葉に過ぎず、科学的論証性はまだまだ脆弱なものだと思います。

 そうした上で、未成年者の喫煙の問題を考えてみましょう。

 ま、チン毛も生えてないガキがタバコ吸っちゃあ、さすがに早過ぎと思いますよ。けれど子供がカフェインを多く含んだコーヒーを苦く感じて欲しがらないように、タバコだってニコチンを体が受け付ける体制が整っていないうちは、本人が体感的に拒絶するでしょうから、たとえほっといても重篤になるような事態はまず起きないと思います(体が何かを求めたということは、体にその何かを受け入れる準備が整った証拠だと考えた方が、自然の摂理にかなっています)。で、そういう生命の危機が防がれることがまず第一で、たかが人間が作った暫定的ルールの遵守は、それに比べればずっと下位の問題に属することを、まずは確認しておきたいと思います。

 で、法令に対してフライング気味に喫煙を始める者のうち、大多数を占めると思われる、十代後半の問題に行きます。

 個人差はあるでしょうが、少なくとも16~18歳の頃にはたいていの者の身体的機能は、ほぼ成長しきっています。腕っ節で父親を凌駕するべき年齢、競技によってはオリンピックで金メダルを獲ったりする年齢です。肺機能や血液循環機能や免疫機能といった身体能力やエネルギーの、人生におけるピークと考えていいわけです。ならばニコチン(やアルコール。ただしこっちには酩酊状態のコントロールという“慣れ”の問題があるから、別に論じた方がいいかもですが)という、人体にある程度負荷をかける物質の摂取は、むしろその頃が最も適していると考えたとしても、さしたる暴論とはいえないでしょう。

 そのことが分かっているからこそ出てくるのが、「脳の成長期だから禁止」というレトリックです。でもそれが「初めから結論ありき」の無理くりなエセ科学であることは、なんとなくこちらには読めています。脳細胞やシナプスの生成というのは、そんな時間軸に沿って単線的に積み上がって行くものですか? もっとアクロバティックに生成と消滅、結合と分断を繰り返し続けるものではないですか? 意識的詭弁のつもりならまだしも、そんなことを本気で信じている人がいるなら、それこそ脳の発達が中途半端なところで止まっちゃってるんじゃないですかね。

 ここらへんのことに関して僕が確信を持って書けるのは、ご想像の通り、僕自身が高校時代から酒とタバコを嗜んでいたからです。親に隠れて自室で毎日のようにやっていた飲酒と喫煙の、何と美味だったことか。そして、そのような物質――アルコールとニコチン――との新鮮な出会いによって、脳をギンギンに活性化させながらやった読書の、(悲しくも今思えば)何と吸収力が高かったことか。さらに、それに伴うギンギンの思考が、青春特有の青臭くて恥ずかしいものだったとしても、いかに今の僕を形作り支えていることか――。それに比べればシラフ・タバコなしで受けた昼間の高校の授業など、今の僕にほとんど何も残してくれていません。

 

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