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2014.08.02

「女子魂」の難しさと面白さ。とことん付き合って見えた事。

深澤 真紀

「女子魂」の難しさと面白さ。とことん付き合って見えた事。

『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』
ジェーン・スー
小社刊/1300円(税別)

「独身は快楽だ(シングルイズドラッグ)」「私たちは未婚のプロである」「独身お楽しみジャンキーは自分ジャンキーなのだ」など数々の名言で多くの女たちに衝撃を与えた、ジェーン・スーのデビュー作『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』。彼女の待望の最新刊が『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で、プロポーズの次は女子を語るという。

 私は、「草食男子」「肉食女子」の名付け親なので、「あなたが男子だの女子だの幼稚な名付けをしたのが悪い」とよく怒られるのだが、「男子」「女子」は辞書を引いてみれば「男の子」「女の子」だけでなく「男性」「女性」という意味もあり(「男子トイレ」とか「女子スポーツ」とか)、私はそのフラットさがいいと思ってこの言葉を選んだ。

 ところが「女子」ブームとともに、「大人女子」などの「いつまでも女の子」という意味が大きくなってしまったように思う(まあ男だって「永遠の少年」とか寝言を言っているのが許されるのだから、女にだって寝言を言わせてくれてもいいとは思うのだが)。

 ジェーン・スーは「女子」という言葉は、年齢ではなく「女子魂」を表していると言う。自ら彫ったつもりはないけれど、気づいたら体に彫られていた文字が「女子」で、それは刺青と同じようにTPOをわきまえずに見せると、周囲と不協和音を生んでしまうが、一方では信頼できる人にはちゃんと見せた方がいいとも言う。

 そう、本書は女子を否定するわけではなく、「一生消えない女子という刺青とどう付き合うか」がテーマなのである。

 たとえば、「SNSに載る女子会」と「SNSに載らない女子会」(私も後者の方が面白いと思う)、「ていねいに暮らせない問題」、「美魔女は男ウケのためではなく、己と同性の目のためである」(だからこそ美魔女は面白い存在なのだと思う)、「三十路女への心得十箇条」(この部分を読むだけでも本書は価値がある)、「デコメからLINEに変化した理由」(デコメは使わなかったのに、LINEを使う理由がこれで分かった)、「ブスやババアやおばさんやBBAという言葉」(BBAって面白い言葉だと思う)、「びっくりした、驚いたという言葉」(これは私もよく使うので反省)、「未婚老人問題」(ジェーン案は魅力的である)、「男女の友情問題」(意外?にもジェーンは成立しない派)、「ピットインしてきた女友達」、「四十路になると、二十代男子と楽しく付き合える」、「四十路女の読む女性誌がない」、「通販Nissenへの愛」(私もNissenのワンピースでテレビに出る)、「男と別れた後のFacebook問題」、「男社会で女が働くことと、働く男の事情」(仕事をゲームでたとえるこの考え方は女性の役に立つ)、「自分の中の小さな女の子との付き合い方」……、本書では「女子魂」の難しさと面白さが存分に描かれている。

 ちなみに私は、「女を馬鹿にしていない草食男子は上の世代のおやじたちよりよほどいい」と思って名付けたのだけれど、おやじ世代だけではなく、多くの女子たちにも彼らの存在は不評だったのには、ちょっとびっくりしたものである。

「新しい革袋に古い酒(女子魂)が入っている」のがいまどきの女子で、そして「古い革袋に新しい酒(草食魂)が入っている」のが草食男子などのいまどきの男子なのだろうか。女子魂と草食魂はけして悪い組み合わせではないと思うのだけれど、そうもうまくいかないのが女子魂の難解さなのかもしれない。

 さて、80年代に話題になった、女同士で男の居場所に進出しまくる「おやじギャル」(今の草食男子よりも評判が悪かったが、今や当たり前の存在になった)、当時30代未婚エッセイストの酒井順子が「30代以上で子なし未婚」を描いた『負け犬の遠吠え』による「負け犬」(勝ち犬よりも負け犬の方が気楽ということを描いたのだが、誤解されて流行した面もある)、女子らしくしてしまう自分を、過剰に意識してしまう「こじらせ女子」、そして40歳で独身でも面白い女友達に囲まれ、自分のために生きて自分のために働いているジェーン・スーとその友人たちなど、バブル期以降「面倒くさいけど面白い女たち」が増えてきた。

 女オンチで女マニアな私にとっては、「いろいろな面白い女が出てきていい時代だな」と思えるのだが、一方では女たちはまじめすぎて、あれこれ考えすぎて自分を苦しめてしまっているようにも思う。

 そんな女たちが、痛いところを突かれながらも、なんだか笑ってしまって気が楽になるのが本書だ。なぜならジェーン・スーが、自分の女子魂ととことん付き合った歴史から学んだことを、本当に惜しみなく書いているからだ。疲れてしまったら、女子会や女性誌もいいけど、本書を一人で読むことをおすすめする。

 

『ポンツーン』2014年8月号より

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