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2014.07.25

「ジェネリック家電」が日本の家電を救う 無名メーカーが外資の牙城を揺るがす理由

渋谷 和宏

「ジェネリック家電」が日本の家電を救う 無名メーカーが外資の牙城を揺るがす理由

 フィリップスやダイソンなど外資系メーカーに席巻される日本国内の家電市場で、思ってもみなかった伏兵が外資の牙城を揺るがす存在に育ちつつある。一般的な知名度はそれほど高くない家電メーカーが製造・販売する「ジェネリック家電」──安くて機能を絞り込んだノンブランドの家電製品だ。

 前回、この連載コラムで僕は、国内家電市場での勝ち組が外資系メーカーばかりになり、ソニーやシャープなどの大手国内メーカーは脇に追いやられた印象があると書いた。
 しかし国内メーカーには希望がまったくないかと言うと、そんなことはない。
 大手メーカー製品の不振とは対照的に、風量の調節などに機能を絞り込んだ2、3千円台の扇風機や、録画機能やCS・BS放送用のチューナーを省き、地上波デジタル放送だけを視聴できる3万円台の32インチ型液晶テレビなどのジェネリック家電がここ最近、急速に売り上げを伸ばしているのだ。メディアからも「機能限定の家電で安く涼む」(7月8日付けの読売新聞)、「家電EC企業/ジェネリック家電で売上拡大続々」(7月1日付けの日本ネット経済新聞)など盛んに取り上げられるようになっている。
 ちなみにジェネリック家電の呼び名は、有効成分の特許が切れた後、同じ有効成分を使って製造・販売されるジェネリック医薬品(後発医薬品)になぞらえている。
 医薬品の開発には数百億円の費用と10年以上もの長い年月がかかる。製薬会社はそれらのコストを回収するため、特許を取得し、開発した医薬品を独占的に製造・販売する。
 ジェネリック医薬品は、特許の有効期限(原則として20年)が終了した後に製造するので先発の医薬品よりずっと遅れての販売となるものの、開発費を抑えられるため先発薬よりはるかに安い値段でも採算が合う。
 ジェネリック家電は、大手メーカーの製品に似せた後発品ではない。しかし一世代前の部品を使ったり、生産を海外に委託したりして安値を実現したところからこう呼ばれるようになった。

 ジェネリック家電を開発・製造するのは、大手に比べたら規模が小さく、メディアに取り上げられる機会もそれほど多くはなかった家電メーカーだ。国内メーカーの中でも主客交代が起きていると言っていい。
 ではジェネリック家電には僕たち消費者を引き付けるどんな魅力があるのだろうか。ブランド力や資金力をあわせ持つ大手メーカーでも太刀打ちできなかった外資系メーカーの牙城を、なぜ彼らが揺るがそうとしているのか──。

 まずはジェネリック家電の代表的なメーカーの名前を列挙してみよう。
 オリオン電機、山善、シー・シー・ピー、トヨトミ、ベルソス……。
 すべてのメーカー名を知っている人はごく少数だと思う。彼らの多くは大手メーカーブランドの製品をOEM(相手先ブランド)生産したり、下請けとして部品を大手メーカーに納入していたりした、いわば黒子だった。
 オリオン電機(福井県越前市)はテレビやビデオデッキなどの製造受託を手掛ける電機メーカーで、従業員数は約7000人に達する。山善(大阪市)はジェネリック家電の製造だけでなく、工作機械など産業用機械の専門商社でもある。シー・シー・ピーはバンダイの子会社で、無線で操作する自動車やヘリコプターなどの玩具も製造している。 
 今やヤマダ電機やコジマなど家電量販店の店頭を訪れると、彼らが製造するジェネリック家電が売り場の最も目立つ棚を占領しているのに気づくはずだ。
 例えばオリオン電機の液晶テレビ「LK-321BP」32インチ。録画・再生機能はなく、地デジのみ視聴できるシンプルなテレビだが、小売価格が2万5900円と、DVDとBS・CSチューナーを内蔵した大手メーカー製品の4分の1の安値に加え、画質も大手メーカーに遜色ない点が評価され、こちらも売れ筋商品になっている。
 山善の扇風機「YLT-AK301」。風力は強中弱の3段階で、首振りや高さ・角度調整、タイマー設定のみに機能を絞り込み、小売価格は3千数百円(税込み)と、安くても1万円前後、高ければ2万円以上もする大手メーカーの数分の1の価格を実現した。「余分な機能はいらない。安くてシンプルな製品が欲しい」人を中心に量販店やネット通販での売れ筋となっている。
 山善はこれ以外にも、大手メーカーの最新モデルだと10万円以上するオーブンレンジを1万2000円(参考価格)で発売するなど約3000種類のジェネリック家電を次々に市場に投入し、同社のジェネリック家電の売上高は2013年3月期が約300億円と2年間で1.5倍に伸ばした。
 シー・シー・ピーのロボット掃除機「LAQULITO(ラクリート)」。センサーを備えて壁にぶつかりにくくしたり、最大15mmまでの段差を乗り越えたりする機能を備えた円盤形のロボット掃除機でありながら、普及機種の小売価格は税抜きで7千円台から1万円前後と、アイロボットのルンバよりもはるかに安く、ヒットを続けている(2014年3月発売のルンバ880の希望小売価格は税抜きで7万6000円)。

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