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2002.12.01

第15回

誰かがあなたの借金を覗いている。

橘 玲

誰かがあなたの借金を覗いている。

 あなたが金融機関から金を借りると、その事実は信用情報会社のデータベースに登録され、多くの金融機関で共有される。これは明らかなプライバシー侵害だが、経済合理性から考えれば認めざるを得ない面もある。そのうえ融資契約にあたって、データベースへの登録を容認している以上、後から文句を言っても仕方がない。
 ここまでが、前回の話だ。
 ところがこのデータが、金融機関とはまったく関係のない第三者に閲覧されているとしたらどうだろう?

 インターネットで「個人信用調査」「サラ金債務調査」「クレジットカード発行調査」などのキーワードを検索すると、興信所や調査会社の名前がずらりと並ぶ。なかにはホームページ上に調査料を掲載しているところもあり、だいたい1件2~3万円が相場だが、この業界もデフレの波に晒されているのか、最近は1件1万円を切る価格破壊の業者も出てきた。調査に必要な情報は、住所・氏名・生年月日のたった3つである。
 この世に、あなたの住所・氏名・生年月日を知っている人が何人いるか考えてみてほしい。その人たちは誰でも、1万円札1枚か2枚で、あなたがどの金融機関からいくら借金をしているのかを知ることができる。
 もし生年月日がわからなくても、同じく1~2万円出せば、名前と住所からすぐに調べてもらえる。あなたが市町村役場に提出している住民票を、調査会社が閲覧するからだ。
住所がわからない場合は、電話番号から調べることができる。これはもちろん、電話会社の中の不心得者が顧客情報を業者に流して小遣い稼ぎをしているからである。
 さらには、勤務先から住所や生年月日を調べることも可能だ。これは、あなたの会社が税務署や社会保険事務所、労働基準監督署などに提出しているデータが流出しているからだろう。
 あなたの名前と住所を知っている人は、この世に何人いるだろうか? あるいは、自宅でも携帯でも、あなたの電話番号を知っている人は? または、あなたの勤務先を知っている人は?
 そう考えると、途方もない数の人間があなたのプライバシーを覗き見ることができるという事実に気づく。情報化社会においては、プライバシーなど、実はどこにもありはしないのだ。

 1万円札1枚か2枚で、あなたは恋人や知人の債務状況を手に取るように知ることができる。同様に、あなたの借金は、いつの間にか見知らぬ誰かに覗かれているかもしれない。
個人の重要なプライバシーであるはずの信用情報が、なぜこんな安い値段で売買されているのだろうか?

 調査会社がすべての金融機関を一件一件あたっていたのでは、とてもこんな格安料金で仕事を請け負うことはできない。料金が安いのは、情報が簡単に手に入るからだ。となれば、信用情報会社のデータベースから情報が流出していると考えるほかない。

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