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2014.05.16

第1回

増える「限定正社員」、
国と企業の真の狙いは?

渋谷 和宏

増える「限定正社員」、<br />国と企業の真の狙いは?

 もしかしたら近い将来、正社員という働き方はごく限られた人たちだけのものになるかもしれない。
 そう思わせるような、私たちの雇用や働き方を大きく変える動きが企業の間に広がっている。ほんの1年前まではほとんど耳にする機会がなかった「限定社員」または「限定正社員」と呼ばれる雇用の形を企業が相次いで採り入れ始めたのだ。

 この5月2日、うどん店の杵屋(きねや)などを運営する外食大手グルメ杵屋は、パートやアルバイトのように勤務地を限定するが、正社員と同様に長期雇用で働く地域限定社員の導入を打ち出した。まずは十数人を地域限定社員として新たに採用するという。
 その3週間前の4月10日、ファーストリテイリングは「国内のユニクロ店舗で働くパート、アルバイト約3万人のうち1万6000人を地域限定正社員(リージョナル社員)に変える」と発表した。こちらも働く店や地域を限り、長期雇用で処遇、ボーナスも支給する。「少子高齢化に加えて景気も回復しており、良い人材を確保するには待遇を改善しないといけない」。柳井正会長兼社長はその狙いをこう説明する。
 時を同じくして日本郵政グループも今年度から限定正社員を導入すると報じられた。2014年度中にパートやアルバイトから希望者を募り約4700人を地域限定社員に登用、来年度以降は新卒の地域限定社員も採用し、2016年度までに全正社員の約1割に当たる約2万人を地域限定社員として処遇するという。

 限定社員制度の広がりは現場の担い手の繋ぎ止めが当面の最大の目的である。東日本大震災からの復興需要で建設現場の仕事が増えたり、景況感の回復でコンビニや外食が出店ペースを上げたりしたため、人の奪い合いがいよいよ激しくなっている。ワタミが全体の1割に当たる60店舗の年内閉鎖を強いられたり、ゼンショーホールディングスが一部のすき家を一時休業したりするなど、パートやアルバイトの不足が本業の足を引っ張る企業さえ出てきた。
 そんな状況に直面して、企業はパートやアルバイトを長期雇用の限定社員に変えて定着率を上げ、安定的な戦力として活用しようと考え始めたのだ。

 その点で限定社員の導入は、パートやアルバイトで働く人にとって待遇改善につながるチャンスである。厚生労働省がこの5月2日に発表した3月の有効求人倍率は1.07倍と、リーマンショック前の2007年6月に並ぶ6年9カ月ぶりの高い水準だった。有効求人倍率が1.0を超えると企業の求人件数が働き手の求職件数を上回り、労働力市場は売り手市場に変化して労働条件が改善の方向へと向かう。限定社員が増えている背景には明らかにこうした流れがある。

 しかし、本当にチャンスだけなのか。
 実はそれはあくまで短期の話である。長い目で見た時、限定社員の持つ意味は一変し、私たちが働く場面は暗転しかねない。

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