公開間近の初監督作『青天の霹靂』での映画づくりについて聞いた劇団ひとりインタビュー。最後となる今回は、ひとりが敬愛する映画『男はつらいよ』から受けた影響や、現場スタッフの驚くべき優秀さ、お笑いと映画との共通点などが熱っぽく語られた。

(聞き手・構成:稲田豊史 撮影:菊岡俊子)

第1回の記事:劇団ひとり、物語を切り貼りする
第2回の記事:劇団ひとり、演出する
 

『男はつらいよ』がいちばん影響を受けた映画

――映画の全体的な仕上がり、タッチのようなものは、前もって具体的なイメージを想定されていたんですか。

ひとり 色々と考えてたんですけど、考えているうちに、物語の本質と関係ない小手先の演出をやるのが嫌になっちゃいまして。たとえば、最初のうちは現在シーンと過去シーンで映画のルックをまったく変えようと構想していたんです。現在のシーンはドキュメンタリーっぽく撮って、過去はカメラをフィックス気味にして、昔の日本映画の中に入っちゃったみたいな演出にしよう、ストップモーションも使おう、とか。

――それ、面白そうじゃないですか。

ひとり でも、そういうのはきっと鼻につくだろうなと思うに至って、逆になるべくシンプルに見せたくなってきたんです。そういう意味では、この映画がいちばん影響を受けているのは『男はつらいよ』ですね。

――ひとりさん、『男はつらいよ』好きを前々から公言されてますよね。

ひとり 両方とも東京の下町地域が舞台ですし、『青天の霹靂』に出てくる登場人物は主人公の晴夫以外、『男はつらいよ』に出てきても決しておかしくない人たちばかりなんですよ。

――たしかに、寅さんと会話していても違和感がありません。

ひとり 『男はつらいよ』は奇をてらった演出をしてないないけど、すごく心に残るものがある。じゃあ何が寅さんの一番の魅力かっていったら、観客が登場人物を全員好きになっちゃうようなキャラクター設定だと思うんですよ。この映画でも、それはすごく意識しました。主人公の晴夫がダメな男で魅力的じゃないので、それ以外の人物はなるべく魅力的にして晴夫を囲みたいなと。

 

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映画「青天の霹靂」

母に捨てられ、父とは音信不通の冴えない40歳のマジシャンが雷に打たれて浅草にタイムスリップ。
若き日の父と母に出会い、自らの出生の秘密を知る物語。原作は劇団ひとりの自著。自ら、脚本、出演、監督を務め、映画化した。


5月24日全国東宝系にて公開。
©2014「青天の霹靂」製作委員会

監督・脚本:劇団ひとり
原作:劇団ひとり「青天の霹靂」(幻冬舎文庫)
出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり
主題歌:Mr.Children「放たれる」

「青天の霹靂」公式サイトはこちら

 

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