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2009.04.15

雨宮塔子の食事日記24

雨宮 塔子

雨宮塔子の食事日記24

3月19日

 マルシェの馴染みのお肉屋さんのブースでQueue de veau(オックステール)を見つけ、慌てて買い込む。マグノリア(モクレン)の花が街のあちらこちらで咲き乱れ、春の兆しが感じられる今日この頃。ポトフを食べるのも今夜を区切りに当分なくなるかもしれない。
 鍋の中でコトコト煮込むポトフは、陽の長くなった春の食卓にはいまいち似合わない。やはり今日のように少し肌寒い日でなくちゃ。
 ポトフは私にとって敷居の高かった料理のひとつだった。母の作るポトフが完璧だったので、あの味に近いものを作れる自信が本当になかった。実際に、以前何回か作ってみたこともあった。が、どうもお肉の食感や味が違うのだった。母はポトフのお肉に牛のすね肉を用いていたのだけれど、パリではなぜかすね肉を見つけずらいのと、お肉屋さんで「これが合うよ」と勧められた他の部位の肉は、私が期待するものとは隔たっていた。
 また、母はピクルスの酸味を効かせたマスタードドレッシングをよくポトフと合わせていたのだけれど、私が真似たそれは、酸味が立ちすぎてしまうことがしょっちゅうだった。
 それが、ここのお肉屋さんのオックステールを使うようになって、俄然私のポトフの味わいが深まった。と思う。と信じている。というのは、このオックステールの中心を通る骨の中には、骨髄(ゼラチン質)がたっぷり含まれているのだけれど、この骨髄から滲み出る濃厚なエキスが、スープの深みを段違いなものに導いてくれるようなのだ。
 馴染みのお肉屋さんでは、このオックステールを買う時、さらにすね骨までおまけにつけてくれる。
 以前はこのすね骨をつけてくれなかった。というか、店頭になかったのだ。鳥インフルエンザが猛威をふるっていた頃も、鶏肉を買い続けていたようなゆるいフランス人だけれど、狂牛病のニュースにはお肉屋さんが自粛したのか、骨髄を丸ごと使った料理が有名な某三ツ星レストランからも、そのメニューは消え失せたぐらいだった。
 気がつけば、お肉屋さんの店頭にまた戻ってきたすね骨だけど、狂肉病の件は落着したのだろうか?
 ままよ、もうすでに何度か食べてるし。とにかく、この骨髄エキスが染み込んだ野菜が格別に美味しい。エキスが出た後の骨髄は、食べてみるとなんてことない。味の抜けたドロッとしたもの、というか。このすね骨はダシ、と割り切って、食べない方が正解かもしれません。
 オックステールは箸でちぎれるほど柔らかく煮込んで。野菜は玉ねぎ、人参、かぶにセロリが我が家の定番ですが、じゃが芋やキャベツも合います。すね骨を入れ始めて気づいたのですが、かなりしっかりとコクの効いたポトフになるので、ドレッシングやソースは必要なく、お気に入りの塩やオリーブオイルだけで充分です。もしオックステールやすね肉、また仔牛のすね骨が手に入ったら、一度お試しあれ!!

“ポトフ”
材料(4~6人分) オックステールかすね肉1kg、(あれば)仔牛のすね骨1~2個、人参、ポワロー(西洋ねぎの一種。手に入らない時は日本の長ねぎの白い部分で代用して下さい)各2~3本、玉ねぎ 4個、セロリ 3本、かぶ 4個、ブーケ・ガルニ(香草の束)一束、塩 15g、黒こしょう(粒)大さじ1

下準備 牛肉はタコ糸で糸が肉にくい込むぐらいにきっちりとしばっておく。ブーケ・ガルニは、セロリの茎(葉はあってもいい)でパセリやローリエを挟み、タコ糸でしばって作る。

作り方 鍋に牛肉とブーケ・ガルニ、塩15gを入れて水を3L注ぎ、火にかける。煮立ったら弱火にして蓋をして2時間ほど煮込む。アクが出たら、丁寧に取り続ける。
 人参、玉ねぎ、かぶは皮をむいておく。ポワローは葉先を切り落とし、茎の間の土を流水で洗い、適当な長さに切る。セロリは葉と筋を取り除いて、適当な長さに切る。
 鍋からブーケ・ガルニを取り出し、野菜類を加え、さらに30分ほど煮込む。
 すね骨は、赤ければ塩水に漬けて血抜きしてから、黒こしょうと共に鍋に加え、さらに15分ほど煮てでき上がり!!

※塩はできるだけ自然塩のいいものを使って下さい。
※ポトフはスープもとっても美味しいので、残ったスープも活用して下さい。我が家ではこのスープでカレーを作るのがお決まりです。

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