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2009.07.01

雨宮塔子の食事日記29

雨宮 塔子

雨宮塔子の食事日記29

5月30日

 このブログでもお馴染みになりつつあるパリ在住の日本人の友人たち。一歳年下のまほちゃん(バイヤーの友人)を除けば、ほとんどの女友だちがすでに不惑を過ぎた、大人の女性たちだ。
 今日はますみさん(讃岐うどん店「国虎屋」さんオーナー夫人)の40歳のバースデーパーティ。私より一つ年上のますみさんが不惑に突入すれば、残る30代はまほちゃんと私の二人きり。はー、あと数年で私たち“アラフォー軍団”は、“アラ”が取れて、“フォーティーズ”なんて呼ばれるようになるんだろうか。

 気を取り直して、今日も盛り上がっていこう。なんたってフェット(パーティ)会場はますみさんのご自宅。去年の春、同じくここで旦那さまの野本さんの50歳のバースデーパーティが催されたことが記憶に新しい(詳しくは去年の4月19日のブログをご参照下さい)。
 何せ顔の広いお二人だし、野本家はロフト的天井の高さを誇る大サロンが多くの客人を迎え入れるので、またゴージャスな宴になるのに違いない。
 さらに、数日前にますみさんから送られてきたメールによると、今夜はご夫妻の友人であるあいちゃんが料理の腕を振るってくれるそう。あいちゃんは若くしてパリの「パークハイアット」のスーシェフをされている女性。

 野本さんの時のフェット同様、またもやリュクスです。
「──ふだんお手伝いをして下さる皆さんには、今回はお客様気分を味わっていただき──」
 ますみさんのメールの文面が思い出される。前回このブログでも紹介した、コスプレ男女デュオの“レ・ロマネスク”のお二人もこのフェットに一役買っているらしいし、今夜は久しぶりに午前様になるだろう。
 本当にお客様気分で、ますみさん宅のブザーを押すと、きらきらした黒のミニローブがお似合いのますみさんが出迎えてくれた。そのまま階段を三階のサロンまで上がる。

 壁も、オブジェのように美しいソファも真っ白なサロンに、白のハート型の風船がたくさん浮かんで、今宵は少しロマンティックなデコレーションが利いている。これはますみさんの提案に違いないのだが、今夜はますみさんひとりではなく、ますみさんの親友のともちゃんや、ますみさんの次女、カノンを含めた、6月生まれの子供たちの、合同誕生日パーティなのだ。
 シャンパンのボトルがテーブルに並ぶのと時を同じくして、次々とオードブルの器が運ばれてくる。あまりの品数なので、ここで簡単に列挙してみようと思う。

・トルティーヤ(スペイン風オムレツ)の上に
 サラミとドライトマトを盛り付け、串に刺したもの
・ ミニグラスにガスパッチョを注ぎ、フュイユ(葉)型のサレ
 (塩気の利いた)のサブレをデコレーションしたもの
・オニオンコンフィと“Piment d’Espelette”(一味唐辛子)
 を利かした大人味のフォカッチャ
・春巻きの皮の上にレタスを敷き、人参、キュウリ、もやしを巻き込んだ
 ヴェジタリアンの生春巻き、カシューナッツだれ添え
・半熟卵の黄身とクレームフレッシュの組み合わせが新鮮な前菜
・アボガドディップの上にスモークサーモンの角切りをあしらったもの
・まぐろのたたき、和風ドレッシング添え

 とにかく目にも鮮やかなプレゼンテーションがまず楽しい。見た目だけでなく、味も華やかで、一皿一皿に驚きがある。例えば、フォカッチャ。オニオンコンフィの、丁寧に引き出された玉ねぎの甘さと、“Piment d’Espelette”のピリ辛さとの斬新な組み合わせに、一口目はびっくりしてしまうのだが、二口、三口と食べ進んでいくうちに、隠し味のベーコンやコンテチーズのまろやかなコクと絶妙に馴染んで、病みつきになる。パリでは美味しいフォカッチャに出合えないので、これは定期的に食べたいなあ。

 生春巻きに添えられた、カシューナッツをミキサーにかけて作ったたれも大絶賛されていたけれど、私的には、まぐろのたたきに添えられていたドレッシングに本当に感激してしまい、あいちゃんの後ろをストーカー並みにつけ回して、配合を聞いてしまいました。
 なんでも、ふつうのサラダオイルにゆず酢、アルコール分を飛ばしたみりん、おだし、しょう油と、鷹の爪、シブレット、いりごまなどが入っているそうです。皆さん、メモを取りましたか? このソースはまぐろだけでなく、すずきやひらめのお刺身などにも合いそう。近々、白身魚のカルパッチョを、このドレッシングで食べてみようと、その場で強く誓ってしまった。

 お腹はいっぱいだけれど、出てくるお皿が次々と魅力的なので、ついついすべてに手を出してしまう。聞けば、ミニグラスの三品(ガスパッチョ、黄身とクレームの前菜、アボカド&スモークサーモン)はともちゃんの作品らしく、ともちゃんの料理上手ぶりにも驚かされたのだった。あいちゃん、ともちゃん、本当に全部美味しいです。
 ひと通り食べ終わり、談笑していると、ひときわ怪しいメロディがサロン中に響き渡った。おっーと、お待ちかね、“レ・ロマネスク”のお二人だ──っ。さっきからイケメン音響チームが音合わせをしていたのは、ロマネスクのためだったのね。それにしてもロマネスクの石飛さん(私と同い年)と宮前さんは、今夜もそのコスプレぶりが妙に際立っている。

 パフォーマンスも相当いかしているけど、その存在感だけでここまで人を沸かせるのは凄い。ショーを拝見するのは三度目だけれど、何度観ても魅入ってしまう。
 お二人のショーで、さんざん盛り上がった後は、はっちゃん(パリでコーディネーターの仕事などをしている友人)持ち込みのカラオケセットが大活躍。思いがけない人の、意外な(?)歌の上手さに聞き入ったり、盛り上げ系の持ち歌を持っている人の芸に、お腹がよじれるほど笑った。皆、ひとり一曲は入れなくてはならない雰囲気に次第になってきて、ついにはふだんカラオケには腰を上げたことのない野本さんすら、舞台上に上げられてしまうのだった。
 ふと見ると、その野本さんの歌声に合わせて、数歩下がって控え目に踊るますみさんの姿が。夫をさりげなく盛り上げながら、見守る眼差しは、あくまで優しい。
 今夜はあいちゃんたちのご馳走といい、ロマネスクさんのショーといい、盛り沢山のメニューだったけれど、私の胸を一番いっぱいにしたのは、パーティの合間合間にほのぼのと窺える、ご夫婦の愛情溢れる思いやりだった。

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