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2005.12.01

第3回

孝行の旅

光浦 靖子/大久保 佳代子

孝行の旅

光浦靖子さま

 前略 おかまたちとの仮想家族、楽しそうですね。でもまだ諦めては駄目ですよ、光浦さん。諦めた時点で可能性はゼロですよ。最近、私は現実路線に切り替えました。「ぱっとしたとこは何ひとつないけれど、働く意思があり健康保険証を持っているノーマル男子」狙いで。

 さて、私もこの頃、ほんと家族が欲しいなぁと切に思います。この時期よく見る、シチューのCM、緒形直人パパを主とするモロ偽造ファミリーにでさえ、「いいなぁ」とつぶやいてしまいます。生きている意味を実感する存在が欲しいんだと思います。誰かに必要とされたい……。そんなウザい精神状態で、リリー・フランキー著『東京タワー』を読んだせいでしょうか?
 急に「親孝行しなければ! I MUST 親孝行」と思ってしまい、半分ノルマ意識も入りつつ、先日ふらっと実家へ帰りました。母親には丸井溝の口で購入した1万5千円のセーター、父親には犬の散歩用に防寒用の帽子4千円、そして舟和の芋ようかん、崎陽軒のシュウマイ。田舎の人の心を程よくくすぐるベストセレクトなお土産持参で。
 とりあえずのノルマが達成でき満足した気分でいると、孝行モードを見抜いたのか、「お母さん、1度も飛行機乗ったことないやぁ。雲の上はどうなっとるだねぇ?」と母親(62歳のおばさん)の口から少女発言が。人の善意に付け込みやがって……と思いましたが、更なるきついノルマ達成の為に、北海道パックツアーのパンフを見る今日この頃です。
 ご存じの通り、うちの母親は純天然産の田舎のおばさんです。噂話が大好きで、何かにつけ文句をタレます。NHKのアナウンサーの服装にケチつけるのはルーチン業務です。なんで正直、一緒の旅行はちょっと気が重いです。

 3年位前、母親とその姉(私からしたら叔母)2人を連れて、奥湯河原へ旅行したことがあります。旅費を全部出してくれるというので、新幹線、旅館の手配をし、当日は添乗員に徹しました。この3姉妹、見事に全員150cmのミニモニサイズで、気付くと見失っており、50m後方で温泉まんじゅうの試食に群がっているという状況で……。
 イライラしつつも宿へ到着。宿は山あいの川のせせらぎしか聞こえない閑静な雰囲気。さすが売り文句が「万葉集に詠まれた温泉街、奥湯河原」です。
 自分の選んだ旅館に満足していると、うちの母親が、
「何もないじゃん! カラオケもないのかん! 街出るのにタクシーで20分かかるの? やいやい、何か侘びしいとこ連れてこられちゃったやー」と。
 さすがに2人の叔母が私に気を使い、
「こういうとこが本当の骨休みが出来るだよ」
「優雅だよねー」
 と、フォローにまわったので私も堪えました。
 そして温泉へ。私だけが露天風呂に入っていると、内風呂から母親の声が。
「まぁ、あんま文句言っちゃいかんでね。佳代子、気にする子だで。こういうとこが骨休みにはいいだよ。優雅だよー」
 何分か前の自分の発言、感情を忘れてしまうのでしょうか?
 母は、叔母たちの言ったことをあたかも自分が最初に言ったみたいに、パクっちゃいました。
 うーん、怖い。この血が私にも流れていることを厳粛に受け止めて、気をつけて生きていこうと誓った旅行でした。

 やっぱり旅行は、気心知れた友達と行くのが1番ですね。光浦さんも一緒だった沖縄旅行楽しかったです。地元の同級生5人、気遣いゼロの言いたい放題です。
 私が、お風呂で髪を洗っていると光浦さん
「大久保さんの後ろ姿をウォンバットそっくり。みんなー、ウォンバットが髪洗っとるよー」って。
 どの辺がウォンバットですか? 肌が浅黒いからですか? 身体のライン? 髪の洗い方似てますか? ウォンバットの生態をちょっと調べましたが分かりませんでした。でもなんかみんな笑ってるし楽しいです。
 バナナボートに乗った時も、変わらないですよね。1人だと弱いくせに集団になると強くなるところ。操縦のお兄さんが、「甘いぞー! ガンガンスピード出してこ!」「落とせるもんなら落としてみろ!」と。調子こき過ぎが、お兄さんムカついたんでしょう。スピード上げてから、右へ行くと思いきや左へクイッと。5人とも鼻が折れるかと思うぐらい海面に叩き付けられました。
「やるねー海人!」
「はぶパワー全開?」
 全く懲りていません。防具のヘッドギアはおもしろくズレて、鼻は真っ赤で不細工もいいとこなのに、全員大笑いです。
 学生時代の感覚に戻っちゃうんだよなぁ。笑ってるうちに何が面白いのか分からなくなるけど、また笑うみたいな。毎年1回ペースでおばあさんになっても行けるといいな……。
 旅行は、友達が一番、ホントそう思うね。

 嘘! 嘘です! またごまかそうとした。旅行で1番楽しいのは、カップルで行く旅行に決まってるじゃないですか? ほんと、最近ごまかすのが上手くなって、安全な方ばっかへ。辛い臭いがするモノは見ない様にするテクニックがめきめきアップしてます。
 旅行の最大の長所は、日常のストレス発散です。ストレス発散には欲望の解放です。カップル旅行、まさにすべての欲望を解放し満たすことが可能です。美味しい御飯にお酒で食欲を満たし、さらに翌日を気にせず、ぐっすり睡眠欲を満たすことができます。
 そして、もう1つ欲望。忘れちゃいけません。私は1秒たりとも忘れたことなんかありません。性欲ですよ。エロ欲求。これだけは、家族旅行、友達旅行では無理なんですよ。カップル旅行だけが、3大欲求すべてを余すことなく満たす。夢のシチュエーションなのです。
 データによると、8割のカップルが彼氏もしくは彼女の家でHをします。これが、いつもと違う空間となったら、倍々ゲームに興奮度は上がりますよ。
 湯上がりで髪をアップにした浴衣姿の私は彼と卓球をします。彼が、ほんと子供でムキに卓球するから、彼の浴衣の胸の部分ははだけ、すぐ着崩れてしまい……。
「もう、バカボンみたい。」とさっと直してあげる私。
「そういう自分もかなり乱れてるよ。」
「やだー見ないでよー」
 …………。
 今回の妄想の彼氏は、会計士を目指し勉強中の23歳、嵐の松潤似です。妄想でもした方が身体にはいいからね。カップルで旅行なんてここ何年も行ってないし、この先も行く予定なんか全然ありませんよ。
 ところで、自分のカップル旅行は大いに結構なんですが、これが他人の話になるとなかなか受け付けないです。先日も、会社で同僚の女の子が「温泉行って来たんですー」と温泉まんじゅうを配ってました。
 彼氏と行った温泉旅行のまんじゅうって……。なんかそう考えると、臭いそうで食べる気がなくなってしまいます。大学生のバイトの女の子も、ディズニーランドのお土産をひろげてましたが、「誰と行ったの?」と聞いて欲しそうなのがまる分かりだったので、あえて聞きませんでした。
 会社に持ってくるお土産って一種のアピールですよね。彼氏(家族)と旅行行ってこんなに幸せなんですというアピールが、多かれ少なかれ入ってますよ。私なんか、会社へのお土産はここ何年も盆と正月の年2回、地元の名菓「あさりせんべい」しか買っていってないという安定ぶりです。上司からも「大久保さんのあさりせんべいは毎回楽しみだなー」と言われるくらいです。ぼちぼち期待を裏切りたい……。
 大人なんで湯布院あたりの温泉へ行き(もちろん彼氏とね)、そして思いっきりベタなお土産「湯布院へ行って来ました」って書いてあるサブレとか買っていって、みんなから、よってたかって根掘り葉掘り聞かれたい。でも私は笑ってごまかしてる……みたいな感じがしたい。
 もうすぐ、正月ですね。多分私は実家へ帰り、いつものごとく「あさりせんべい」を買ってきそうです。
 光浦さんは、正月おかま達とファミリー旅行ですか?

草々 大久保佳代子

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