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2005.12.15

第4回

女の友情

光浦 靖子/大久保 佳代子

女の友情

光浦靖子さま

 前略 私が言うのもなんですが、光浦さんのお父さん、キモ可愛いですよ。毎年、大晦日田舎に帰り、同級生何人かと近所の神社へ初詣に行きます。光浦さんのお父さん、町内会の当番でしょうか? 火の番していますよね。
 私達を見つけると、近寄って来て、
「豚汁食べたか?」
 と、参拝者に振る舞われている豚汁、お神酒等をすすめてきます。
 私たちもなぜかタメ口で「食べたー」と答えると、「あんま食べると肥えるぞ!」と即注意。若干噛み合ってない会話が、毎年年初めに交わされます。で、お父さん、田舎に住んでいる他の同級生たちには、非常に親し気で距離が近いのですが、私に対しては「娘の相方の人」というポジションを意識してかチラ見してきます。目が合うと、中学生のようにそらします。もしや私のこと知らない?と不安になる時もあります。
 でも、あの感じ、キモ可愛いです。

 私も親を「可愛い」というか「大丈夫? この人」と、上から目線で苦笑いすることが最近よくあります。元来、貧乏性の心配性で子供のためだけに働いてきたような人たちです。勝手に心配しすぎて疲労困憊してます。
 阪神大震災の時、「もしかしたら仕事で関西にいるかも……」とすごい剣幕で電話がかかってきました。更に、歌舞伎町キャバクラ火災の時も、「もしかしたらそこで働いてるかも……」と夜中電話が。信用ゼロかよ?と思いましたが、田舎の人にとっては、東京はニューヨークに次ぐ犯罪都市です。
「娘、借金」→「ヤクザに身売り」→「キャバクラ勤務」
 簡単にたどり着くらしいです。この分だと「クジラが浜に打ち上げられた」ニュースを見て、電話が来るのも近いような気がします。
 でも、心配してくれる人がいるのは嬉しいもんです。普通にいけば、親は私より先に死んでしまいます。現在私には、夫、子供なるファミリーはいませんし、予定もない。残るは、「友達」なのかなぁと思ってしまう今日この頃です。

 ご存じの通り、私は今、同級生のK子とルームシェアをしています。K子は長年勤めた名古屋の会社から脱OLし、アロマエステシャンを目指し出てきました。まもなく1年です。
 最初K子から「一緒に住もうよ」と誘われた時、「住むのはちょっと……」と思いました。根っからの男好きな私。小雪にさわられるくらいなら、宅八郎にさわられたいですから。いくら気心知れた同級生でも、女との共同生活には抵抗がありました。
 しかし、タイミングってありますね。3日間誰からもメールが来なかったり、洗濯機の乾燥機部分が壊れ、干しても干しても乾かないパンツを睨みつけるという侘びしい日が続いた時、「住んでみようかなぁ」と。

 結果、共同生活は超快適です。お互いの部屋があるのに、何かと共有リビングにそろっていたりします。
 話すことは、会社の愚痴、芸能ネタ、節約術……等。まぁ、楽ちんなノーブラ・ノーパン会話です。
「サミットで、キャベツ98円だったー」
「私なんか、お努め品でタマネギ58円でゲット!」
 一人暮らしの時、何のプライドか、お努め品なんか「みみっちー」と絶対手を出しませんでした。でも、2人だとそれが「掘り出し物」ゲット的な、楽しいことにスライド出来てしまうんです。失敗も話せば笑い話になりますし。
 あと、34歳という年齢も良かったのかなぁと思います。若くはなく、将来への不安も徐々に増えつつも、とりあえず毎日真面目に生活している姿を見てると、なんか、いたわりの気持ちがでてきます。いたわり方も34歳ならではです。
 私は、タレント仕事がなく、たまたまOL仕事もなく、5日間休みで家にいたりします。休み多いと不安になります。そんな私に対し、K子はもちろん「休み多いね」とも言いませんし、「大丈夫、そういう時もあるよ」的な事もいいません。卑屈な私は何を言われても反発してしまうのを分かってくれてるのか……。見守るスタンス、もしかしたら無関心のどちらかです。
 お互い、程よい距離感で生活しています。

 でもこの前、多分甘えてきたんだと思うのですが、私が帰るとK子がリビングで酔っぱらってたんです。空の缶チュ-ハイ、山盛りのお菓子が散乱してるなか、私を見ると「寂しいよぉー」と、遠吠えに近い感じでストレートな言葉が一発。
 K子、「ハイスクール!奇面組」の一堂零にそっくりじゃないですか? 泣いていたのか更に目は糸のように細くなり、パーツが顔の中央に集まり、で、面白くて笑いそうになってしまいましたが、そこは我慢。理由を聞くと、「何人かにご飯誘ったの。でもみんな忙しくて断られたー」と。
 至って普通のライトな理由……。
 いや、本当は言えないだけでもっと深刻な何かがあるはずだ。心配しようとしたんですが、K子の食欲が凄すぎて……。目をそらすと、テーブルのサラダせんべいがごっそりまくなり、また目をそらすと、K子大好物のヤングドーナッツが1袋まるまる空に。頭上に口のある妖怪を思い出しました。そして、時おり「寂しいよぉー」と遠吠え。
 怖いよ。どう対応してよいやら……。とりあえず見守ってみました。

 東京に来て、こっちの友達もできましたが、やっぱり田舎の友達は別格です。子供の頃、同じ環境で育ったというのが大きいのでしょうか? 根本は似ているような気がします。
 山と海に囲まれ、牛のうんちの臭い漂う環境。同じ公立の小学校、中学校に通い、競争率1.01倍の高校受験(結果、欠席者が出て、定員割れし全員合格)。
 そして、それぞれがそれなりにがんばって、身の丈に合った大学、就職へと進んでいきました。だから、仲間を蹴落とす受験戦争なんてのも経験していないし、なんか、のんびり、マイペースという感じがします。
 田舎には、仲良し同級生で、まだまだ未婚組が7人います。すこぶる不細工でもないので、努力次第で1回くらい結婚できると思うのですが、気配なしです。良い意味でマイペース、悪い意味で「気を使えよ!」な所が問題なのかなと。
 この前、たまたま私の劇団打ち上げに同級生未婚組が来て、飲む機会がありました。注文時、私が「サラダ食べたいなぁー」と言うと、同級生の1人が真剣なトーンで「ぶってんじゃねーよ! カバのくせに」と。
 ひどい! ひど過ぎて私は笑っちゃうけど周りを見て下さいよ。初対面の男子はどう受け入れてよいか戸惑ってます。
 まぁ、やつらも、もう4、5年は結婚ないなと確信できホッとしました。

 そういったら、光浦さんだって、田舎の仲良し同級生の1人ですよね。
「コンビの相方」という特殊な関係が加わってしまった今、「友達か?」と聞かれれば「NO」となってしまいますが。
 12年間以上、とりあえずコンビという関係の中で、お互い仕事する上で、「気にいらねー」と思ったこと、私生活でも「死ねばいいのに」と思ったこと、いろいろあったと思います。
 学生時代からの延長の友達関係は、到底無理だと思うし望みません。
 でも、一緒の仕事したとき、たまに
「なんか、この感覚、高校の時と変わらないな。」
 って嬉しく思う時があるんです。
 この前も、めちゃイケで光浦さん、ハプニング鼻くそを出しましたよね。プールから上がる際、本人気付かず、鼻くそビローンと丸出しでした。でも、笑いにできるものは逃しませんね。カメラに向かって、「これからも鼻くそ出してがんばります!」よく分からない宣言をしていました。
 しかし楽屋に戻ると、急に心配顔で「鼻くそ大丈夫だった? 引かないかな、ストレートな言葉が?」と。
「大丈夫、鼻くそが緑色だと引くけど、白っぽくてきれいだったよ」
 真剣に言ってる状況に馬鹿馬鹿しくなりつつも、何となく高校時代の感覚にシンクロしてしまいました。
 卑屈な性格プラス、更年期の徴候も出てきてるので、光浦さんへの思いは、デイリーで変化してしまいますが、とりあえず、まだ死なないでください。
 もう少し、そばにいたい…。でも1週間に1回ペースで。
 今日はそういう気分です。

草々 大久保佳代子

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