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2006.03.01

第8回

別れの季節です

光浦 靖子/大久保 佳代子

別れの季節です

光浦靖子さま

前略 現在、このお手紙を近所のファミレスで書いていますが集中できない…。
 というのも、隣のテーブルのカップルが、別れ話らしいものを繰り広げてて、盗み聞きが特技の私としては、そりゃ聞かしてもらいますよ。
 男女とも大学生っぽく、外見は「アジア文化研究会」っぽい感じ。

男 「別れてもいいけど、俺3年はお前の事忘れないぜ」
女 「忘れていいよ」
男 「無理だ。もし新しい彼女できてもお前の事は忘れない」
女 「新しい彼女作るんだ…」
男 「しょうがないだろ、お前がいないんだから」
女 「私ってそんな簡単に諦められる存在なんだ」
男 「違うよ、俺は別れてもお前の事一生忘れないぜ」
女 「忘れていいよ」
男 「無理だって。もし他の人と結婚したとしてもお前の事は忘れない」
女 「他の人と結婚するんだ…」

 以上な会話を、微妙にアレンジ加えつつ繰り返してました。
 お前ら、絶対この後、セックスすんだろ!
「やっぱり、この人しかいない」とか確認しちゃってセックスすんだろ!
「万里の長城みたいだ」とか言ってセックスすんだろ!
 うそ別れ話を、マンネリ恋愛を打破するスパイス的に使ってんじゃないよ。

 かれこれ5年位前の、自分のまじ別れを思い出しました。長く片思いでやっと付き合えた大好きな彼でした。3年近く付き合いました。「お金はないけど夢はある」彼にぞっこんでした。持ち合わせの母性とお金を惜しみ無く使いました。当時、彼のために何かしてあげる事が幸せだったのです。
 結婚しても、贅沢しなければ生活できるかなとまで考えていました。そのくらい、付き合いは順調だと思っていたのです、私は。なんの疑いも持たないとこに突然、衝撃の宣告でした。恒例になっていた、週末我が家でのごはん。
 ビールを買って、彼が気を使うのであまり贅沢にならない程度のおかずを用意しました。一通り食べ終えた時です。
 少し姿勢を改めると、唐突に
「言っておかなければいけない事があって、実は好きな人ができたんだ。まだ付き合ってはないけど彼女が好きだ。だから、もう大久保とはセックスはできない。でも、大久保の事は人間的にも好きだし、ずっと友達として付き合っていきたい」
 内容は、もちろんショックでしたが、私の呼び方が付き合う前の「大久保」に戻っていたことにも、かなりズドーンときました。「セックスできない」宣言をそんな堂々とされても…。
 決心は固いんだな。そうは思っても、簡単に受け入れる事ができるはずもなく「まだその彼女と付き合ってないんでしょ。なら別れなくても……」としがみついていました。
 そんな時、机の彼の携帯電話が着信。ディスプレイには、女の子の名前が……。彼は、ちらっと見て出ませんでした。この女だなとピンときました。私のこの手の嗅覚は絶対です。その携帯電話は、彼が料金を滞納し過ぎて契約出来ないということで、私が代わりに契約しお金を払ってるものです。
「もういいや」と急激に冷めていくのを感じました。
「帰って」
「分かった」
 これで3年近い付合いはあっけなく終わりました。

 5年経った今やっと、何も思わなくなってきましたが、別れた後、半年くらいは、「胸のあたりにポカンと穴が開く」まさにそんな感じでした。ご飯は食べられない、寝ることもできないで、一気に体重が5kg落ちました。57kgが52kgになり、標準体重になりました。
 なのに何日かぶりに偶然あった彼は、活き活きしていてさらに腹が立ちました。「振った方」「振られた方」の立場の違いはありますが、多分、自分の中の彼の占める比重がデカ過ぎたんだと思います。

 私、なかなか他人を信用しないじゃないですか? 自分を出さないというか…。でも要は、自分が自分を信用していないから(自信がないから)自分を出して、傷つくのが嫌と言うことなんですが。
 とはいえ、自分は好きですよ。自信がない故に、誰にでもへらへらと調子がよかったり、勝手に、「私の事なんて誰も分からない」
と逆切れして、妬んだり恨んだりうじうじしている駄目な自分も含め好きですよ。だって自分ですから。
 とにかく、そんな私が、たまに心を許した時はスゴイんですよ。身も心も、どっぷり相手に預けます。相手の事も全部許すかわりに
自分の事も、悪いとこも全部許してくれるはずだと思い込こんじゃうんで、面倒臭いし、とかく重いんです。
 さすがにこの別れ以来、付き合ってもどっぷり自分を預けることは、しなくなりました。どっぷりいくと別れた時、辛いですからね。

 今、親だけです。こんな私を無条件で受け入れ、見捨てないのは。親の無償の愛を、最近つくづく感じます。
 先日、お母さんから宅急便が届きました。中身は毎度のお米、野菜、なぜかフリスク。中に手紙も入っていました。
 内容は、
「あなたの名義で入ってる生命保険がぼちぼち満期になります。年とって入院したりした時お金がおりるようになってます」
 と。

 親は、普通でいったら先に死にます。平均寿命まで生きられたとしてあと15年です。自分が死んだ後まで、私のことを考えているんですよ。少ないパートの給料から積み立て金、出してるんですよ。
 泣きました。
 フリスク吸い込みつつむせび泣きました。
 確かに、34歳で結婚もせず不安定な芸能界に足つっこんで、心配かけています。親は、子供が結婚し家庭を持ったとき、親としての責任から少し解放されるんだと思います。
 親不孝でごめんなさい。
 元気なうちに親孝行しないと。
 幸いにして、両親とも多少の病気はあるみたいですがまだ動けます。もう、ちょっと奇跡ですよ。両親揃って元気って。同年代の友達が、親が倒れて実家に帰ったとか最近よく聞きますから。私、親が「死んだ」ことを想像すると本当に哀しくてすぐ涙がでてきます。今、ちょっと考えただけでもウルッとし文字がぼやけてきました。
 なのに、親が「倒れた」とか「寝たきりになった」と想像すると「勘弁してくれよー」と思っちゃうんです。
 そう、結局なんだかんだ言っても自分なんです。「今の生活は乱されたくない、だから元気でいてくれよ」なんです。無償の愛をもらってるというのに、まだまだエゴエゴ人間ですよ。

 なんにつけても「別れ」は嫌です。できれば私の周りは現状維持、ずっとこのままでいてほしい。で、ニューフェイスが年4、5人のペースで増えていくのがいいなぁ。どだい無理な話ですが。
 春はお別れの季節ですね。
 光浦さんの最近の口癖、持病の関節痛の私を心配してだと思いますが「大久保さん、病気で死んじゃうの~?」って。大丈夫、私は死にませんし休業もしませんから。春になったらきっと元気になります。

 さて、光浦さんのいままでの人生で大きな、小さくてもいいですが印象に残る「別れ」って何かあります?
 ヘーイ! 強引バトンタッチ!

草々 大久保佳代子

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