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オンリー・イエスタディ

2002.11.01 公開 ツイート

第11回 チキンハート・インタビュー 見城徹

FE なぜそんなに寂しいんですか?

見城 だって人は必ず死ぬんだよ! もし死なないのなら、すべての問題は解決しちゃう。フラれたって全然寂しくないと思わない? 1億年後には必ず恋は成就するだろう、一人くらいは(笑)。時間の秘密というのはものすごく大きなことで、ものの哀れもせつなさも、感動はすべてそこから生まれてくる。時が経つことは誰も止められない。生病老死だよね。それを受け入れられるかどうかなんだけど、僕はダメなんですよ。生きている瞬間瞬間で自分を満たしてやらないと……。哲学者や宗教家がいろんな生き甲斐を説くけれど、本当の生き甲斐なんてないんですよ。でもそれがないなんて言ってしまえばおしまいだから、一生懸命自分の中でその場その場の生き道を求める。宗教にきちんと入り込んで神と直結すれば、生涯寂しさを感じなくていいのかもしれないけど……。
FE なぜ、そこにハマらないんですか?
見城 いろんな宗教を見たし、旧約聖書も新約聖書も全部読んでるし、法華経も勉強したけど……そこに自分を埋められない。それよりもこれだと思った女を勝ち得てセックスするときのほうが埋められるんですよ(笑)。それも瞬間的だけどね(笑)。あなたは何が一番寂しさを埋められる?
FE 足元にも及ばないですが、やはり仕事ですかね。
見城 仕事は大きな要素だね。でも、僕は仕事だけでも埋められないんだ・
FE 女ですか?
見城 自分を理解してくれる女は重要だね。男じゃダメなのよ。男が理解してくれてもどうしようもない。メディアの取材とかがドッと来るのも、一時は面白かったわけ。知らない人から「サインして下さい!」」って声掛けられたりしてね。虚栄心やナルシシズムを満足させるところがあって、メディアに出ることによって寂しさを忘れられるようで楽しかったのね。でも、今はそれもできるだけやめようと思って9割方断っているんです。結局、仕事も一瞬、一瞬のものでしかないんだよね。最近、ソニーマガジンズからコミック部門を引き取って幻冬舎コミックスという子会社を作ってさ。けっこう博打なんだけど、今はそれに気持ちが入っているんです。それから、3年半かけて準備してきた小林よりのりの『戦争論2』を50万部売って、半年で百万部まで伸ばしたいなという気持ちも強い。そういうことを絶えずやっていないと僕はダメなんですよ。ささやかに売れるだけじゃ、寂しさを埋め切ることができない……。
FE 幼い頃からそんなに寂しいんですか?
見城 ずっと寂しい。
FE 周りに愛がなかったんですか?
見城 いや、そうじゃなくて、人間はつねに死に向かって生きているわけじゃない? 結局死ぬために生きている。それ以外は全てがごまかしですよ。何をやったって死という圧倒的な事実に向かっているわけで。それを回避できるならいいよ。回避できないからすべては一時的なごまかしでしょ。だから根本的に寂しいわけです。愛があろうと仕事がうまくいこうと。だから僕にとっては、死をどのように受容するかが最大の問題なんです。FE じゃあ「自殺」はどういう位置付けになるんでしょうか?
見城 自殺できれば一番いいと思っている。でも今はまだ自分で自分の命を絶つことはできない。何度もそうしようと思うのね。ただその勇気がないだけなんだよ。

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