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2013.10.01

第5回

“師匠”フィリップ・カリー教授との議論

小林 快次

“師匠”フィリップ・カリー教授との議論

 カナダ・アルバータ州では、恐竜研究が盛んである。アルバータ州の州都のエドモントンには、アルバータ大学のフィリップ・カリー教授。アルバータ州最大の都市であり1988年冬期オリンピックが開催されたカルガリーには、カルガリー大学のダーラ・ザレニトニスキー助教。そして、ドラムへラーという小さな町にある、世界最大級で最高級の恐竜展示がある王立ティレル古生物学博物館の学芸員のフランソワ・テェリエン博士。どの研究者も、恐竜研究では第一線を行く人たちである。彼らがベースにしている発掘地は、アルバータ州南部に広がる世界有数の恐竜化石産地だ。
 この中でも、特に有名なのがアルバータ大学のカリー教授。私たちは通常フィル(Phil)と呼んでいる。特に、獣脚類恐竜の研究では有名で、ティラノサウルスを始め、獣脚類から鳥類への進化についても多くの論文を執筆している。ちなみに、私の博士号の指導教員の一人でもあり、一般的にいうと私の“師匠"ということになる。私たちは、現在も謎の恐竜デイノケイルスの正体を解明しようと一緒に研究を行っている。

 風もなく静かな夜、ゴビ砂漠に建てられたテントの中で私が話を切り出す。
「ねぇフィル、デイノケイルスって一体何者だと思う? 確かに全身が発見されるまで解明できないのはわかるけど、すでに発見されている肩と腕の骨だけでも十分なヒントが隠されていると思うんだけど……」

「デイノケイルスは、不可思議な恐竜だ。あれだけ大きな腕を持っているということは、その体はとてつもなく大きい。その大きさ重要な情報だと思う」
 フィルは、パソコンに写されたデイノケイルスの論文を見ながら答える。

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