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2013.09.15

第4回

デイノケイルスを食べた犯人は?

小林 快次

デイノケイルスを食べた犯人は?

 フィル・ベルが手にしていたのは、2本の腹肋骨だった。6センチの長さと7センチの長さで、太さは1.5センチほどである。そんなに大きな骨ではない。しかし、その骨をよく見ると、確かにフィル・ベルが言うように、平行に走る溝がたくさんついていた。

「本当だ。溝がたくさんついている。間違いなく恐竜の噛み痕だ。」
 みんながうなずく。
「噛み痕が残された骨は、なかなか見つけることができない貴重な化石だ。カナダから発見された数多くの肉食恐竜の骨を調べても、2%にも満たない。これはすごい発見だ! それにしても、デイノケイルスの体重は、6トンから12トン。大型のティラノサウルス類と同じくらい巨大な恐竜だ。いったい誰がデイノケイルスを襲っていたんだろう?」

ルーペで溝を観察すると、その特徴が把握できた。溝の幅は、1ミリほどあり、断面がU字型をしている……。


 恐竜が残す噛み痕には、3つのタイプがある。骨ごと肉をガブっと噛んで、穴になった噛み痕。骨を噛んだ時に歯の先で骨を削ってできる溝。歯の淵にあるギザギザ(鋸歯・きょし)の痕で細い線がたくさんついた痕。これらのうち、ギザギザの痕が一番重要な証拠であり、これを研究することにより噛み主を解明することができる。
 多くの肉食恐竜の歯には、ギザギザがついている。これを鋸歯と呼ぶ。この鋸歯は、ノコギリやステーキナイフのギザギザと同じで、物を切る時に役に立つ。ノコギリもステーキナイフも切るための道具ではあるが、木を切るためのノコギリの鋸歯は大きく、肉を切るステーキナイフのものは小さい。用途によって、鋸歯の大きさが違う。
 これと同じように、「肉食恐竜は肉を食べていた」と一言で言っても、肉食恐竜によって食べていた物も違うし、食べ方もそれぞれだった。そのため、肉食恐竜の鋸歯の形は、人間の指紋のようにそれぞれ異なっている。繰り返しになるが、歯の鋸歯の特徴を探ることで、噛み主がわかる。デイノケイルスに残された証拠は、「幅1ミリ、断面がU字型」であるということだ。では、誰が巨大恐竜デイノケイルスを食べたのか。まるで殺人事件現場に残された証拠を頼りに、犯人を捜す調査のように探っていく。

犯人は誰なのか?

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