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2014.01.25

特集<気持ちのいいことが、好き。>

花房観音インタビュー
「秘密こそ、女の快楽」

花房 観音

花房観音インタビュー<br />「秘密こそ、女の快楽」

 2010年に京都の和菓子職人の女性が見た”本当の京都”を描いた『花祀り』で団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。以降、女性の性と生を描き続ける作家、花房観音さんに、最新刊『偽りの森』についてお話をうかがいます。
 女の本性の怖さ、美しさを小説世界で追究する花房さんから見た、女性の性とは、そして”気持ちいい”とは――。

 

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2014年1月23日(木)刊行!

「美しい四姉妹には、いやらしく哀しい秘密がある」と帯にあるように、『偽りの森』の登場人物には、それぞれの「秘密」があります。でも、花房さんはそれを決して「悪いこと」として描かない。「秘密」があるからこそ生々しく立ち上がってくる人間の内面を、丹念に、濃厚に描いていくのです。
 帯の背には「嘘つかへん女は、女と違う」とありますが、花房さんの描く「女」には男の幻想をいとも簡単に打ちくだく凄みがあります。『偽りの森』でも、その凄みはもちろん健在。今回は一体どんな女が登場して、どんな物語が展開されるのでしょうか。
 まず始めに、『偽りの森』の人物紹介及び相関図です。

●登場人物相関図

 

●女なら誰でも「秘密」を持っている

――『花祀り』以降、小説の単著は、本作で七作目となります。また、弊社では2012年に刊行した『女の庭』が、大変話題になりました。五人の女の性を五人五様で描き多くの女性たちに「わかるー!」と共感された前作につづき、今回も”京おんな小説”と銘打ってますが、『偽りの森』はなぜ、老舗料亭の四姉妹を主人公にされたのですか?

花房 舞台となった下鴨は私の散歩コースです。大きな家が立ち並んで、京都という「特別感」がある街の中でも更なる上流階級の場所だと以前から羨望の眼差しで眺めながら歩いていました。

 その中でも、ひときわ立派で風情がある家を見つけて、こんなところにはどんな人たちが住んでいるんだろうと気になっていたのですが、京都の文学ゆかりの場所に関する本を読んで、そこに谷崎潤一郎が一時期住んでいたことを知りました。名作『鍵』や源氏物語の訳書が書かれた場所です。ちなみに道路を挟んだ隣には時期はずれていますが川端康成もいたそうです。

恩師の葬式で再会した五人の女。口に出せない秘密が彼女たちの平凡な毎日を変えてゆく。醜聞か文学か!? 女の性に迫る官能ミステリ。

 そんなときに、担当さんから「『女の庭』の次は、『細雪』を京都を舞台で書きませんか」と声をかけていただいて、谷崎→下鴨とつながりました。同じ頃、有名料亭の下鴨茶寮が後継者がいなくて、小山薫堂さんが社長になられたというニュースを見て、老舗料亭が、そうして経営者を代えて残っていくんだな、それが京都だと感心もしました。そこから谷崎『細雪』の四人姉妹→下鴨→料亭という形が出来上がりました。

――五人の女から、四姉妹へと変わりましたが、『女の庭』と『偽りの森』の共通点、そして異なる点はどこでしょう。

花房 共通しているところは、女たちが秘密を持っているところでしょうか。でもそれは、京都の女がどうのこうのではなくて、秘密のない女なんていないですからね。たとえば個人的な性の話、それはその人の「秘密」です。

 私は官能小説を書いてデビューしたので、もともとの知人や、知らない人たちから、「性的な秘密」を告白されることがよくあります。その「秘密」は普段の様子からは全く想像つかない内容であったり、驚くことが多かったです。たとえ古くからのつきあいの人であっても、自分が知っていたのはその人のほんの一部に過ぎないんだと思いました。

 世の中の表面に出ている情報なんて氷山の一角に過ぎないから、そのまんまうのみにして判断しちゃいけないとは常に肝に銘じていますが、その氷山の下にあるものが、「秘密」です。でも秘密を持つのは悪いことではなくて、そうやって隠さないとバランスが保てないし、生きていけない人たちがたくさんいる。「秘密」は必要なものだから存在します。

 違うところは、『女の庭』は生まれ育ちがそれぞれ違う女たちでしたけれど、『偽りの森』は同じ家で生まれ育ったのに、それぞれが「違う」ことですね。私自身は三姉妹の長女ですが、同じ親の子で、同じ家で同じ環境で育ったはずなのに、どうしてこんな性格も考えも違うんだろうって昔から思っていました。当たり前と言われればそれまでですけれど、不思議です。育ちとか血縁ではない、もともと生まれ持ったものがこんなに違うということは。

 意識したところは、『偽りの森』は下鴨という自然が美しい場所が中心だからこそ、「京都の四季」の美しさと居心地の良さ――それがそのまま彼女たちの「家」でもあるんですけど――を書こうとはしました。

『女の庭』の書評で、ある方が、「京都というのは、『女』の暗喩だ」と書かれていて、ああ、そうだなと気づかされたんですけど、『偽りの森』は、京都の更に狭い「家」が、「女」という存在そのものかもしれません。

 

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