前回の記事:第2回『セレッソ・アイデンティティ』のチーム愛
 

正直なくらいのシンプル思考

──それにしても、ここまでヒット作を量産できるのは、どこに理由があるのでしょうね。

 僕としては、「二本柳さんなら、ちゃんとした本を仕上げてくれる」という印象は持ってもらいたい。二本柳に任せれば、ギリギリまで考えてベストのものをつくってくれるはず……そんな風に思ってもらえる編集者になりたいですよね。僕が目指しているのは、内容はもちろん、部数としてもちゃんと結果が付いてくるという意味での信頼感なんです。

 ちょっと矛盾するかもしれませんが、「これは売れる」と思って企画を考えていないあたりがいいのかも。基本的には、つくりたい本だからつくる。実は僕、書籍の企画会議には出たことがありません。ではどうするかというと、社長の見城(徹)に直接「この企画、面白いと思うんです」と話をしに行く。「おおそうか。じゃあやってみろ」と言質をもらってしまえば、こっちのもんです(笑)。

──いい意味での“アバウトさ”を忘れないから、いい本をつくれると。

 かもしれません。それに結局は、やりたいと思ったことを、純粋にやっているだけなんです。あと、サッカーに関していうなら、普通のサッカーファン的な感覚を忘れていないあたりも大事なのでは。「セレッソは面白いな」と思った。で、著者の横井素子さんとも知り合いだった。横井さんはいわゆるプロの書き手ではないのかもしれないけれど、セレッソ発行の会報誌などの原稿は書いているから、きっと本も書けるだろう……正直、そのくらいシンプルな思考で進めています。

サッカー本以外で二本柳が担当した書籍

 あと、最近の僕のキーワードのひとつに「ニュートラル」というのがあります(笑)。編集者として、サッカーファンとしては、常にニュートラルでいたい。垢がない状態で物事に触れることによって、クリアに見えてくることがあると思っています。

 もしかしたら「二本柳は長谷部、内田、セレッソとわかりやすいところにいっているだけじゃないか」なんて思われているかもしれないけど、決して、その折々のオイシイところに食いついているわけではないつもりです。自分の嗅覚としては、編集者というよりは、むしろサッカーファンとしての嗅覚であり、いちサッカーファンとして「ここを取り上げたら面白いかも」と思うから、つくらせてもらっているという感覚なんです。

 あとは、僕がこれまで本にさせていただいたスポーツ選手は、すべて自分が好きな「プレーヤー」だという点も重要です。中田英寿、中村俊輔、楢崎正剛、長谷部誠、内田篤人、桑田真澄と、みんな好きな選手です。やはり好きな選手じゃないと、制作段階で粘れないと思います。
 僕の仕事は正解が見えないなかでつくっています。タイトルだって見出しだってデザインだって、正解がないところから決めて出すわけです。だから、「甘い」と言われるかもしれませんが、好きな選手じゃないと僕自身は本づくりなんてできないと思っています。

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