ついに、この連載も100回目(^0^)!
さりげな~く100回目をクリアするのかなーと思ったら、
めっちゃいい話で、けど最後は爆笑という、めっちゃ素敵なエッセイで、
ぐっと来ます。

 星降る夜に

 遂に来た。最近はもっぱら『HUNTER×HUNTER』並みの更新率だが、この旅エッセイも遂に記念すべき連載100回目を迎えた。こんなにもだらしなく、無名のシンガーのエッセイを覗き続けてくれる読者の皆さまと、飽きずに原稿を掲載して下さる幻冬舎さまに感謝感激雨嵐である。

 覚えているだろうか、連載開始当初はなんと“6回短期連載”の予定だったはずだ。何故そこから94回も延長し続けているのか。そして一体何処へ向かっているのか。もはやその答えは“僕の旅にゴールがあるのかどうか”という話になってくるのではないか。

 もともと目的地なんてものが、どこかにあるわけではない。旅そのものが目的であり、出発点であり、到着点なのだ。はっきり言っていつだってこの旅を終わらせることが出来る。しかし今はまだ終わる理由が見つからない。このエッセイの原稿も「早く書いて下さい!」とも言われないが「もう書かないで!」とも言われないので、今後もしぶとく文字と向き合っていこうと思っている。もしかしたらいつか僕も絵本作家になって全国で展示会を開けるかもしれないし、しれっと朝の情報番組のコメンテーターにでもなれるかもしれないし、がんばらなければ。しばらく執筆作業をサボっている間に沖縄へ行くわ、豪華客船で長崎に寄るわ、ハワイ行くわで、随分と旅ネタが溜まってきた。しばらくはネタには困らなそうだ。

 今夜も1字ずつ1字ずつ、旅の風景を浮かべながらパチパチとキーボードを叩くとしよう。

 * * * * *

 アローーーーハ!!!

 2年ぶりに行ってきた。カメハメハ王国ハワイ。ハワイといっても、有吉の夏休みで出てくるようなザ・リゾートなオアフ島の方ではない。2年前と同様、はっきり言って何もない“ハワイ島”の方である! でもそのお陰で大自然を堪能できる。

 2年前と同様、「コナ・コーヒーフェスティバル」というお祭りのメインイベントのひとつとして、僕の単独コンサートを開催していただいたのだ。海外公演なんてそうそう実現できることではなく、ありがた~いお話。5泊7日のハワイツアーだ。

 成田空港からPM10:00に出発して8時間。日付変更線をまたぐため、夜に出発したのに、その日の朝に時間が戻っている。なんだか1日得した気分だ。長時間フライトで正直げんなりしたが、無事ハワイ島“コナ”へ到着した。

 時差ボケも癒えないうちに、早速、揚げ物てんこ盛りの油っこ~いランチをとり、初日からパレードにも参加しなければならない。

 相変わらず英語の苦手な僕は、「アロハー」と「せんきゅー」、「あいらぶコナ」の3ワードくらいしか話せないが、意外とそのくらいあれば、あとは笑顔でなんとかなるもんだ。やはり海外の方はノリが良く、音楽に対してのノリも良い。手を振りながら歩くと、沿道からまるで自分がアイドルにでもなったかのような歓声を浴びることができた。「せんきゅーべりーまっち!!」僕はギターを弾きながらパレードを歩いた。

 コンサートも大盛況に終わり、会場は日本ではなかなか起こらない“スタンディングオベーション”と拍手に包まれた。音楽は国境を越えるというのは本当だ。言葉は通じずとも、僕は歌と音楽でハワイの人々と笑い合ったのだから。良かった、歌を歌ってきて本当に良かった。ミス・コナコーヒーフェスティバルの美しいお姫様が首にレイをかけてくれた。ここは天国か……。無事僕の仕事は終わった。5日間の滞在のうち3日くらいは仕事だ、残り2日……。

 もう遊んでもいいですかーーーーーーーーー!!!!!!!

 断言しよう、ここからが本番だ!! せっかく来たハワイ。仕事もいいが、遊ばなければ。何を隠そう、僕は今回の旅でどうしても行きたかった場所がある。それは「マウナケア山」である。2年前も登った山なのだが、再び登るために、今回も事前にツアーを申し込んでいた。

 マウナケア山は標高4200m。富士山を凌ぐドでかい山だ。かの有名な世界最高峰である「エベレスト」は8000mだが、実はこのマウナケア、海底から測れば12000mを越える世界一の山だという。ただし、その3分の2が海に沈んでいるため、世界一高い山には ならないが、 “世界一でかい山”であるのは間違いない。

 しかも素晴らしいことに……。

 なんと“車で頂上まで行けちゃう”のだ!!

 富士山の頂上に立ちたい! でも登るのはしんどいので、できればヘリコプターかなんかで連れてってもらいたい。そんなだらしない僕にはぴったりの山、それがマウナケア山である。

 標高が高いと空気も澄んでおり、非常に美しい星空を観ることができる。2年前もそう信じて山頂へ登って星空観察をしたところ、なんと80年に1度のスーパームーンとモロ被り!

 サンサンと輝く満月がすべての星の光をかき消して、ほとんど星が見えなかった……。

 つまり今回は、その“リベンジマッチ”がである。

 ツアーは、日本人ガイドが案内してくれる「マサシのネイチャースクール」に手配してもらった。今回は、月の影響の少ない深夜に出発して、朝方に星空観察、そして山頂で朝日を観るという、夜ツアーに申し込んでおいた。

 AM1:30にホテルを出発。約2時間ほどかけて、ゆっくりと山頂へと車で登っていく。ガイド兼運転手のTOMOさんは、大阪出身の強面な男性スタッフだが、話し方がすごく丁寧で、運転しながら車内に搭載されたマイクでハワイやマウナケアについて色々と話しをしてくれる。カーラジオを聞いているみたいで心地良い。途中に何度か休憩もはさみながら、あっという間に標高2800m“オニヅカ・ビジター・センター”に到着した。

 条例により、高山病を防ぐためにここで30分以上の休憩をして身体を慣らさなければいけないんだとか。すごく拓けた所なので、星空観察にはうってつけだ。車を降りると、見たこともない星空に息を呑んだ。

 上空はもちろん、前も後ろも360°見渡す限りの星空が広がっている。数が多すぎて、星座を紡ぐのが困難な程だ。天の川も、まるで夜空に描かれた絵のように美しく流れている。月は地平線よりも下に沈んでいたため、月の光の影響がまったくない。

 TOMOさんは熱々のココアを淹れてくれた。僕は長いすに寝そべって、何万、何億と光り散らかしてる星を静かに眺めた。幸せだ。TOMOさんの淹れてくれたココアは、これまで飲んだどんなココアよりも美味い。夜空にはこんなにもたくさんの星が輝いていたのか。なんだか、改めて「宇宙」と「地球」を感じた。

 少しずつ東の空が青く光ってきて、朝焼けが近づいていることを知らせてくれる。

 しっかり高度にも慣れてきたため、また車に乗り込んで山頂を目指す。曲がりくねったオフロードが続く。少しずつなんだか息苦しくなってきたような気もする。スマホの高度計は4000mを越えていた。

 山頂に着く頃には、随分空も明るくなってきた。朝靄に映し出された雲海が、徐々に赤く染まってゆく。

 ほどなくして、音もなく朝日が顔を出した。

 毎日訪れる、いつもと同じ太陽の光だ。

 目が覚めるほど眩しく、美しい。こんなにも美しい朝日を僕は観たことがあるだろうか。4200mの山頂に立ち、僕が感じたことは、うまく言葉で言い表せない。胸が締め付けられるというか、むしろお腹も苦しくなるというか、なんといってもアレだ。

 物凄い、屁が出る。

 富士山にペットボトルのコーラや、ポテチを持って行ったらどうなるか知っているだろうか。“パンパンに膨らむ”のである。多分同じ現象が人間の身体、とりわけ腸にも起こるのだろう。オレンジ色の美しい朝焼けに包まれながら、僕はプリプリと何度も屁をこいた。人間だもの、ありのまま生きていけばいいのだ! と山も言っている。(たぶん!)リベンジは大成功。大満足のツアーだった。

 星空も、朝焼けも、別にハワイの山に登らなくったって毎晩毎朝、必ず僕らのすぐそばで展開されている。単に、他の光にかき消されているだけなのだろう。

 日常の中にも、同じように日々にかき消されているモノが実はたくさんあるのかもしれない。難しいけれど、微かな光や音にも目を懲らし、耳を澄まして生きていきたい。

 100回原稿を書いたくらいでは描ききれない旅の出逢いや風景を、もっと書き続けなければ。

 最後に改めてこんなくだらないエッセイをめげずに100回も校正してくれた編集の“ソデヤマさん”にお礼を言いたい。2年半前、突然「香川さんが書く文章読んでみたいんです!エッセイ、書いてみませんか!?」と連絡が来たときは新手の詐欺かと思ったけれど……笑。信じて返事して良かった。赤ペンソデヤマ先生、いつもありがとうございます!!! またあの焼き鳥屋も行きましょう!!

 まだまだ書くぞ!!!! 101回目もよろしくどうぞ!!

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