こんにちは、三度の飯より深海の生き物が好きな平井です。三度の飯どころではありません。六度の飯よりも深海の生き物が好きなので、二日間は飯抜き生活です。

さてさて今回も僕が愛してやまない深海の生き物を紹介させていただきましょう。

個人的にその生き物に、異名をつけるのならば「深海の首領」です。

深海の首領、どうぞご登場くださいまし。

イラスト/平井まさあき


ズズズズウ~ンとラスボス感たっぷりの音が聞こえて来そうな出で立ち。

チョウチンアンコウ様であります。「様」をつけずにはいられない威厳に満ち満ちた面構えでございます。黒いハットとキューバ産の葉巻が似合いそう。

チョウチンアンコウ様の名は、我々人間の世界にも広く轟いています。

チョウチンアンコウ様は獲物である小魚を捕る時も海底にじっと潜んでいます。自分からガツガツ動いて狩りをするなんて三下のやること。うちの首領は違います。

首領は頭の上からぶら下げた光る物体をヒラヒラヒラヒラまるで小エビのようにダンスさせます。

小エビの小粋なダンスと勘違いしてやってきた小魚を、一瞬のうちに、その大きなお口でぱっくんちょしてしまうのです。

そうです。光る物体は疑似餌なのです。それはエスカと呼ばれています。

(余談ですが僕の地元にエスカというスーパーマーケットがありました。これは疑似餌でお客をおびき寄せるということでしょうか。だとしたら、かなり攻めたネーミングのスーパー)

やはりチョウチンアンコウ様の最大の珍妙奇妙なところは、その繁殖の方法です。

実は上記にいらっしゃったチョウチンアンコウ様はメスです。上のイラストは女首領なのでした。オスはとっても小さい。メスと比べるとこんな感じ。

イラスト/平井まさあき


小さあ~。オス小さあ~。

交尾の方法はというと、まず、この小さなオスが大きな体のメスに噛みつきます。

噛みつく!?

なんて乱暴な!プロレスでも反則技なのに。

深海の暗い世界、同じ種のアンコウに出会うこと自体が奇跡に近いことです。

よってオスはメスと出会ったら、見失わないように、噛みついて離れないようにするのです。

そしてこの後どうなるかというとこちら。

イラスト/平井まさあき


オスはそのままメスと一体化します。

一体化!?

なんだその繁殖方法は!

イラストにしてもホラーです。

一体化することで2度と離れないようにするのですね。

愛の究極の形「愛する人になる」です。究極かどうかはわかりませんが。

そして、オスはメスがいつでも子供たちを産めるように、メスの中に精子を供給するのです。なかなかトリッキーな繁殖方法なのですが、深海という過酷な世界で生きるために一番安全で確実な方法なのかもしれませんね。

男の子チョウチンアンコウたちが物心ついた頃、母親チョウチンアンコウに、このように聞くと思います。

男の子チョウチン「僕らのお父さんはどこにいるの?」

こう答えるのでしょう。

母チョウチン「私のここにいるのよ(ヒレで自分の胸辺りを指して)」

男の子チョウチン「そうか、僕らの心の中にいるんだね~」

母チョウチン「いやいや、心の中とかじゃなくて実際ここら辺にいるから」

男の子チョウチン「え?」

母チョウチン「まじでまじで、ここら辺にいるのよ」

男の子チョウチン「・・・いやいや、そんなまさか~」

母チョウチン「まじでまじで」

男の子チョウチン「・・・」

そして、男の子チョウチンは生まれて初めて家出をするのでしょう。

まあ、あくまで想像です。

一体化することは、かわいそうなことでも、ショックなことでもないのかもしれません。一番大変なのは一体化されてもずっとご飯を探し、子供を作らなければならないメスのチョウチンアンコウなのかもしれませんし。

敬意を評してチョウチンアンコウ様、おつかれさまです。

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