気づけばもう11月である。
元旦に更新したコラムで「今年は新しいことに挑戦していきたい」と宣言したが、宣言したことを忘れていた。そんな自分に不安を覚える日々である。

先日もフィルター式のコーヒーを飲もうとして袋を破いたら、キャットフードだった。うっかりキャットフートを飲んでも、20代なら「拙者ったらドジっ子、テヘ☆」で済む話だが、42歳のJJ(熟女)は「認知症の始まりか?」とガチで怯える。

という話を20代のガールズにしたら「大丈夫です!私もこの前、うっかりクロックスで出社しました」「今日は奢る!と友達を飲みに誘ったのに、財布を見たら14円しかなくて奢ってもらいました」との声が寄せられて「うっかりは拙者だけじゃないのだな」と慰められた。

そんな私も締切だけは忘れないようにしているが、原稿料の請求書をよく送り忘れる。みずからタダ働きしているようでは、東京五輪をバカにできない。

当連載の担当Hさんは「私も1秒前のことを忘れるJJですが、作家さんの支払いの処理だけは忘れないように気をつけてます」と話していた。編集さんからよく聞くのは「一番気をつけているのは、メールで作家の名前を間違えないこと」という話だ。

私はまだ「ぱぷりこさんにご執筆をお願いしたい」みたいなメールをもらったことはないが、『良縁を引き寄せるスピリチュアルBOOK』みたいな媒体から依頼がきた時は「誰かと間違ってるんじゃ?」と二度見した。

以前、オンラインサロン「アルテイシアの大人の女子校」の東京オフ会に担当Hさんが参加してくれた。彼女は自己紹介する際「これまで担当したアルテイシアさんの著書は…………」と本のタイトルを忘れていたので「『廃人日記~オタク沼地獄~』ですよ」と教えてあげた。

そんなわけで、今年はオンラインサロンをスタートした。
当サロンには「起業する」「スターになる」等の目的は一切なく、「とにかく女同士でキャッキャウフフしよう♡」という場である。本音を言うと私自身がもう一度、女子校ライフをやりたかったのだ。

お陰さまで芋ほり遠足・カラオケ大会・バーレスク観賞…等など、思う存分エンジョイしている。

最近では平日の夜にオンライン女子会を開催した。参加メンバーが自宅でスカイプをつなぎ、すっぴん&パジャマでストゼロを飲みながら「パワハラ上司をどう社会的に抹殺するか」といったテーマでキャッキャウフフと盛り上がった。膀胱のゆるいJJは途中で二回オシッコに行った。

先述の東京オフ会でも「職場のセクハラ・パワハラがひどい」という相談に、ゲストと共に回答した。その模様はこちらで記事になっている。

生徒さん達の話を聞いていると「みんなセクハラ・パワハラのセパ両リーグを戦っているんだな」と痛感する。平成も終わりだというのに、いまだに女性の見た目をイジったり、恋愛結婚などプライベートに口出ししてくるおっさんは存在する。
その手の“いともたやすく行われるえげつない行為”に、我々はどう対抗すべきか?

オフ会ではプーチンの顔・修造返し・明菜返し・カレー沢返し…他、対抗策を語り合った。セパ問題に詳しい弁護士さんからアドバイスもいただいた。

後日、相談をくれた女子からこんな報告が寄せられた。
「まずは反射的に笑顔を作る癖をやめました。イヤなことを言われたら、笑顔で『なんなんですか~』じゃなく、真顔で『は?』『え?』と返す練習をしました。それをしばらく続けたら、ウザいおっさんが寄ってこなくなりました!」

こんなに嬉しいことはない…と涙腺のゆるいJJはジョボボボと涙した。セパ問題に悩むお嬢さん方はぜひ、笑顔を作る癖をやめてみてほしい。

オフ会で弁護士さんも「空気を壊さないように、職場で浮かないように、サバイバルとしてニコニコしてたのが、逆手にとられることもあるんですよ。裁判になった時に『彼女も喜んでた』と主張されたり」と話していた。

「セクハラされても笑顔でかわせ」と、女は笑顔を強いられてきた。それが結果的に、おっさんのセパやりたい放題を助長していたとも言える。

もう無駄な笑顔は封印して、真顔で仕事しよう。そういう女性が増えれば「おっさんの機嫌やプライドを損ねないように忖度せよ」という空気を変えていけるんじゃないか。

広告会社で働く女子は「若い女性向けの企画なのに、会議でおじさん達が『これは受けない、こっちがいい』とか言い出して、引っくり返されるんですよ」と嘆いていた。こうして炎上CMが作られるのだろう。

テレビ局で働く女子は「番組の企画で『これ絶対炎上しますよ』と何度も言ったのに『考えすぎだ』と上層部のおじさんに押し切られて、案の定、大炎上しました」と話していた。

ユーザーが求めるものを作るには、まず社内のおじさんと戦わなければならない。おじさんの機嫌やプライドを損ねないように、笑顔を作りながら。

そんなのは無駄無駄無駄ッ!とディオもジョルノも言うだろう。おじさん達はもう「自分はセンスがない」「若い子の感覚はわからない」と認めるべきじゃないか。もしくは、老人向けのコンテンツに特化してはどうか。


 
というのを月9ドラマ『SUITS』を観ながら考えた。このドラマは米国版の本家ファンから「ダサい」「古い」「昭和感がキツい」と評判だが、私も試しに視聴して「おじさんが一生懸命考えた“オシャレ”だな」と赤面した。

いっそのこと、タイトルを『背広』にしてはどうか。主演の織田裕二はループタイに紺色のチョッキを合わせて、携帯ラジオを聞きながら出勤。セカンドバッグから電卓を取り出し、コートをオーバーと呼ぶ。みたいな方が「なつかしい」とお年寄りに受けるんじゃないか。

かくいう私も昭和生まれのJJで、袖のびらびらを見るとつい「ジュディオング!」と言ってしまう。
雑誌『美ST』の「口を開くと年齢がバレる」という記事には「手袋をはめると『ヒロシ…!』と言ってしまう」「花田家の話になると止まらない」等の例が載っていた。意味がわからない人は周りの中高年に聞いてみよう。 

昭和のスターといえば、ジュリーである。70歳のジュリーは私が物心ついた頃には小太りのおじさんで、ひさびさに見たら宮崎駿になっていた。そんな彼が「思ったより観客が少ない」とグズって、コンサートを開場直前に中止にした件が話題になった。

まさに「おっさんの機嫌とプライド」案件である。
「ひさびさに推しに会える♡」と埼玉まで遠征したおばあさん達の気持ちはどうなるのか。7000人のババア軍団が暴動を起こしてリアル・デンデラになるならまだいいが、突然中止を告げられて、ショックで血圧が上がったり下がったりしたおばあさんもいただろう。

70歳まで仕事を続けられているのは、今まで支えてくれたファンのお陰じゃないのか。そんな恩知らずは、全身に梵字を書いた千葉真一に首を撥ねられるがよい(『魔界転生』はテレビの再放送で観た)

自分がジュリーにマジギレする日が来るとは思わなかったが、「野沢雅子先輩を見習え」と言いたい。 

先輩は御年81歳にして、現役バリバリで活躍している。
「朝起きて1秒でかめはめ波を撃てる」という話に「喉の強さがすごい」と驚いたが、ここ何十年も風邪をひいたことがないらしい。それだけストイックに自己管理しているのだろう。
「家が火事になった日も仕事を休まなかった」という話には「さすがに休もうよ」と思ったが、そのプロ意識は心から尊敬する。

私は働かないとボケるタイプだと思うので、生涯現役の先輩に憧れる。できることなら80歳になっても赤毛&パンツスーツで女子校のオフ会に参加したい。そしてキャッキャウフフとトークできるように、喉も鍛えていきたい。 

10代の頃、リベラルな女子校に通っていた私は、女として差別されたことがなかった。当時は女性差別を遠い異国の戦争ぐらいに思っていた。
その後、共学の大学に進んで、男子から「女は黙ってろ」「女のくせに生意気だ」的な態度をとられ「STAP細胞は本当にあったんだ…!」という気分だった。

20代は広告会社で取引先のおっさんにセクハラされたり、「30過ぎて独身の女は負け犬」的な空気にさらされ、女として生きるのがつらかった。「この世界は地獄だ」とアルミンの顔で「30過ぎるとさらなる地獄が…?」と怯えていた。

その後、30歳で作家デビューして、売れてはないが細々と物書きを続けている。42歳の今は女性の編集さん達と仕事しながら、大人の女子校ライフを満喫しており「ここは天国かしら?」という気分だ。

ひょっとすると、私は走馬燈を見ているのだろうか。20代ガールズといても自分だけ蚊に刺されないし「ウソみたいだろ。死んでるんだぜ?」なのかもしれない。

死んでいたとしても、愉快な走馬燈なのでありがたい。今後も遠足や修学旅行など、走馬燈のコンテンツを増やしていきたい。

芋ほり遠足では、みんな「よっこいしょういち」と言いながら芋を掘っていた。平成生まれの25歳に「ところで、よっこいしょういちさんて誰ですか?」と聞かれて説明したら「え、そんな重い経歴なんですか?ギャグにしたらダメなんじゃ…」と戸惑っていた。

その後は畑の近くで焼き芋パーティーをして、サツマイモを1年分ぐらい食べた。すると翌朝、めっちゃ長い屁が出て目が覚めた。15秒程度の尺はあったと思う。

80歳でかめはめ波は無理でも、尺の長い屁を放てるJJでありたい。女たちが一斉に屁をぶっ放せば、セパおじさんを爆発四散させることができるだろう。

 

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アルテイシア『アルテイシアの夜の女子会』

「愛液が出なければローションを使えばいいのに」「朝からフェラしてランチで口から陰毛が現われた! 」とヤリたい放題だった20代。「男なら黙ってトイレットペーパーを食え! 」「ヤリチンほどセックス下手」と男に活を入れていた30代。子宮全摘をしてセックスがどう変わるのか克明にレポートした40代。10年に及ぶエロ遍歴を綴った爆笑コラム集。

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