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下半身を鍛える「股関節歩行」

 スウィングには、筋力、柔軟性、平衡感覚の3つが不可欠です。三拍子そろうことが大切で、どれかひとつが突出しても、どれかひとつが不十分でも、スウィングが安定しないだけでなく、腰やヒザを痛めてしまいます。

 なにかと多忙な現代人はどうやって、筋力、柔軟性、平衡感覚の三拍子をそろえたらよいのでしょうか。

 ゴルフを始める前、ぼくは週1回スポーツジムに通って体力強化に励んでいました。しかし、ゴルフを始めてからは、練習やラウンドに時間をとられて、ジムに通う時間がとれなくなりました。

 そうは言っても、カラダの鍛錬は欠かせません。そこで始めたのが、日常生活のなかでカラダを鍛えることです。ぼくが実践している鍛錬法を公開しましょう。

 まず、できるだけエスカレーターやエレベーターを使わないで歩くのです。人体の骨格筋のうち、実に3分の2が下半身に集中しています。ゴルフのスウィングで重要なのは下半身です。駅の階段を前にして、「筋力と平衡感覚を鍛える絶好の機会だ」と思えるようになればしめたものです。

 歩行には、大きく「ヒザ歩行」と「股関節歩行」があります。

 街を歩く人を観察すると、多くの人が「ヒザ歩行」をしています。「ヒザ歩行」では、地面に足がついたときにヒザが少し曲がっています。その曲がったヒザを、太ももの前の筋肉を使って伸ばしながら歩きます。ヒザ歩行は、推進力を得るために体重を前方にかけています。そのため、猫背になりやすいのです。ゴルフに猫背は禁物です。猫背になると肩甲骨の動きが悪くなるからです。

 一方、股関節歩行では、脚全体を前に振り出して、ヒザを伸ばしたままカカトから着地し、体重を乗せながら踏み込んでいきます。ヒザを伸ばす筋肉を使わないで、お尻と太ももの裏側の大きな筋肉を使って、足を後ろに引くことによって歩くのです。その結果、自然に歩幅が広くなり背筋が伸びます。股関節歩行をすれば、代わる代わる、左右の股関節に体重を乗せながら歩いている感じがします。

 日本人にはヒザ歩行をする人が多く、多くの欧米人は(モデルやトップアスリートも)股関節歩行をするのだそうです。そう言えば、欧米では、女性でも街で闊歩しています。

 股関節歩行をすれば、一歩一歩、股関節に体重を乗せた勢いで体が前に進みます。5分ほど股関節歩行をするだけで、お尻や股関節周りの筋肉が温かくなるのを感じます。

 ぼくは、家のなかでも街中でもコースでも股関節歩行を実践しています。なかでも、ラウンド中に股関節歩行をするのは、ヒザに負担をかけずに下半身の大きな筋肉を鍛える絶好の機会です。乗用カートに乗らなければ1万8000歩、乗ったとしても1万歩は歩きます。後述するように、リズムを刻みながら股関節歩行をすれば、スウィングが安定してスコアもよくなります。

 一度覚えれば、無意識のうちに股関節を使って歩けるようになります。だれでも簡単に覚えられるのですから取り入れない手はありません。

「平衡感覚」は加齢で衰える

 スウィング中にカラダが揺れると、それを察知した小脳が、ただちに姿勢を修正しようとします。しかし、三半規管や耳石などの感度が鈍くなったり、筋肉などの制御機能が衰えたりすると、姿勢の修正が間に合わなくなります。すると、傾斜地からのショットが上手く打てないのです。

 実はコースでは平らなところから打つ機会は少ないのです。ティーグラウンドでさえ傾いています。コースでは、知らないところで平衡感覚が大きな役割を果たしているのです。

 平衡感覚の衰えは、40代から急激に進みます。筋力よりもはるかに早く衰えます。中高年になると、普段の生活では感じていなくても、平衡感覚はずいぶん衰えています。

 ただ、幸いなことに、平衡感覚は年をとっても鍛えることができます。

 階段を上り下りしたり、傾斜のあるところを歩いたりするのが平衡感覚のよい訓練になります。外出したときに、道路や床に張られているタイルの継ぎ目がつくる直線上を、幅10センチの平均台を歩いているつもりで、体を揺らさないようにして真っすぐ歩きます。電車に乗って吊り革につかまらないで立っているだけでも、平衡感覚を鍛えることができます。

 さらに、ホームで電車を待っているときなどに、1分間の「開眼片足立ち」を実践するのも有効です。平衡を保つために、平衡感覚器官と下半身の筋肉が必死に働きます。これは、平衡感覚を鍛えるだけでなく、下半身の筋トレにもなり、さらに、骨密度を高めることもできる一石三鳥の練習です。

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