米朝首脳会談の共同声明署名の様子(2018年6月12日、提供:朝鮮通信=共同)。今年のノーベル平和賞を巡ってこの2人の名前が騒がれた。

本丸は2019年。大統領になっただけのオバマが受賞して、トランプが受賞しない理由は考えにくい

 2018年のノーベル平和賞受賞者として、コンゴ民主共和国のデニス・ムクウェゲとヤズディー教徒のナディア・ムラードが選出された。これは紛争地帯における暴力と性被害をテーマにした二人の活動が評価されたものだ。リベラル派のメディアは♯MeToo運動と絡めて間接的にトランプ政権に対する印象操作を行おうとしているが、こじつけるのは無理がある。実際、受賞者らに起きた出来事の理解はそれほど簡単なことではないと思う。

 トランプ政権は政権発足間もない頃に、「イスラム教徒の入国禁止」の大統領令として知られる行政措置を行った。今年6月には最高裁で、イスラム圏5カ国からの入国制限措置が支持され決着はついたが、この大統領令に対して当時は「イスラム教徒に対する差別だ!」とするリベラル勢力からの声が巻き起こり、各地で暴動が発生するとともに全米各州の裁判所に違憲訴訟が起こされた。その時、民主党が“イスラム教徒差別”として問題視した大統領令の項目こそが「少数派宗教の人々を優先して受け入れる」という部分だった。多数派のイスラム教徒がこの項目で排除されてしまう、差別だという主張だ。

 この主張をもとにした彼らの行動は不可解だ。削除せよと騒いだ項目は、トランプ政権がテロ対策のためにテロリスト渡航禁止法対象国からの入国を厳格化しようとしつつも、たとえば、先のムラ―ドさんのようなヤズディー教徒などを含む人々を優先して受けようとした条項そのものだ。少数派や弱者を重んじるという彼らの根本思想はどこへ行ったのか。そして、結局、リベラル派からの批判を受けた改定後の大統領令からはその条項は消えることになった。

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渡瀬裕哉『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く』(産学社)

トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、その後も情勢分析の正確さから、日系・外資系ファンド30社以上の支持を得るアナリストが、2018年中間選挙、そして2020年米国大統領選までの未来を独自予測。日本への多大なる影響と、対応策について解析・提言。