スタディサプリで大人気の歴史の先生・伊藤賀一先生に、房野さんがズバリ聞きました。聞きたかった答えが、ばっちり出てきます!
さらに、おふたりの好きな人から嫌いな人まで、「幕末人物ランキング」も展開。
西郷隆盛、吉田松陰、坂本龍馬…有名人だらけの幕末ですが、ふたりからどんな人物名が出てくるでしょうか!?

超人気講義の詳細リポート。パート2です!

房野史典、「歴史の勉強法」を伊藤先生に直撃!

房野 伊藤先生、これは個人的な質問なんですけど、僕は歴史を専門的に勉強したこともなければ、受験も指定校推薦だったので、高校も大学も受験してないんです……歴史って、どうやって勉強すればいいんですか?

     (会場爆笑)

房野 僕、本は趣味で書いてるんで(笑)。
でも歴史の全編をちゃんと知っておきたいな、みたいなのがあって。どう勉強したら覚えられるとか、コツはあるんですか?

伊藤 まず歴史っていうのは、これは世界史でも同じなんですけど「時系列である」ということが一番のポイントになるんですね。
なので、「点の知識」っていうのがあるわけですけど、これは鉄道の駅みたいに考えていただければいいですね。これをつないで「線の知識」にする。「いつ何が起きたのか」というのを押さえないといけないんですよ。細かい年代をキチッと暗記する必要はなくて、前後関係、これよりもこっちの方が前である、もしくは後に起こった、ということをまず頭に入れることです。
そして歴史学は「文字史料を追っかけること」です。たとえば、弥生時代の史料としては『漢書地理志』『後漢書東夷伝』『魏志倭人伝』しかないんですが、現代に近くなるほどすごく多くなってくる。
ちなみに、現代てあっても、すべてのことが、明日になれば「歴史」なんですよ。

房野 なるほど、そういうことか! 細かい年代の「数字」よりも、「前後」!

伊藤 例で紹介してみましょう。西南戦争が起きた1877年、あるアメリカ人が汽車に乗っていて、今の東京の大田区~品川区辺りで何かを発見してるんです。

房野 あ~……モースでしたっけ?

伊藤 そう、エドワード・モース、正解です。大森貝塚を発見して、そのモースさんが考えたのが「コード・マーク」という言葉なんです。これは「縄目の文様」という意味なんですが、縄文時代というのはモースさんがつけた名前なんです。そして「ダーウィンの進化論」を日本に紹介したのも彼なんです。

房野 超ありがたい人じゃないですか!

伊藤 そう、ありがたい人なんです。モースは、巻き貝の研究をする生物学者だったんですけど、西南戦争とはなんの関係もないところで来日して、たまたま横浜から東京行きの汽車に乗って、進行方向の左側に乗っていたから大森貝塚が発見された。ここから日本の考古学は始まったんですよ。

房野 たまたま!?(笑) ありがたいわ~。それが同じ年なんですね。

伊藤 そう、こうやって横につなげるんです。縦の知識と横の知識があって、両方を押さえると、“面積が求められる”のと同じになるんです。
歴史っていうのは、まずは西郷隆盛が好き、新選組が好き、織田信長が好きという「点の知識」から入っていくものなんですね。その「点の知識」が、時系列で見ていくことで「同時期に何があったのか」という「線の知識」になる。縦と横がそろうと「面の知識」になる。この「面の知識」が頭に入れば、理解したということになる。
この「点の知識」だけだと、暗記っていうことになっちゃうんですよ。

房野 はー、面白い! 学校の授業って、点だけですよね。

伊藤 「この用語、覚えとけ」っていう授業が多いですよね。

房野 だから僕は、自分が書く本に、極力「年代」を入れてないんですよ。

伊藤 そう、それは素晴らしいと思いましたよ。年代とか用語とかが出てくると、読んでて止まっちゃうんですよ。それも、太文字にされたりすると「覚えなきゃいけないのかな?」と思っちゃう。

房野 僕が年代を入れるのは「これは覚えてよ」じゃなくて、「ここからシリアスになりまっせ」っていうところなんですよね……ということで、「そろそろ次のコーナーへ」の指示が出ました!

明治政府で「長州藩」が突出した理由とは?

伊藤 では「幕末人物ランキング」をやりましょうか。

房野 まずは、「もし、現代に甦ったら、日本を率いそうな人物」
これについてひとつ言えることは……晋作ではない、っていうことです!(笑)

伊藤 (笑)

房野 僕の歴史好きは戦国から入ってるんで、戦国武将でちょっと考えてもいいですか。……やっぱり、信長と秀吉じゃダメだったと思うんですよ。やっぱり家康だなって。
ものすごい革命的な考えを持った信長。フットワークが軽くて頭の回転が速い秀吉。で、家康は、信長や秀吉では成しえなかったものを持ってる。それが何かって言うと、一番は、「システム作り」だったと思うんです。信長と秀吉のダメだったところを踏襲してるからこそ、あれだけの長期政権を作り上げることができたと思うんですよね。「革命的な才能はないけど、チームで日本を作り上げた」と。
……って、幕末でそういう人って誰だろう? 桂小五郎(かつらこごろう)かなぁ。

伊藤 桂は奥さんが美人だったんですよね。

房野 幾松(いくまつ)さん。男前な女性ですよね(笑)。
あとは大久保利通(おくぼとしみち)とかどうでしょうね。嫌われるところも多いと思いますけど、一回こうと決めたら、断固として変えない、やり切る力があったと思うんですよね。

伊藤 大久保は、私財を投入して、私腹を一切肥やさないことで有名な人だったわけです。僕も大久保って言おうかなと思ってました。

房野 あとは西郷隆盛かな。責任取る力がすごい。「何でもやりなさいよ。最後は僕が構えておくから」っていう。大久保と二枚看板の薩摩、すげぇなって思いますね。

伊藤 どの藩もそうなんですけど、「武」の象徴が一人いて、「文」の象徴が一人いるっていうのがバランスが良いわけですよ。長州藩の調子が悪くなったのは、「武」の象徴の高杉晋作が結核で亡くなってるから。で、「文」の象徴は木戸孝允(きどたかよし)なんですけど、そこまで「文」ではないんですよ。彼は剣術の名人でもあるから。だから、彼が両方の側面をやらないといけない。

房野 荷が重いですよね。

伊藤 でも、それも結果オーライで。高杉が亡くなった後、すぐ大村益次郎(おおむらますじろう)が「武」の象徴を継ぐんですけど、不平士族に暗殺されてしまう。それを山県有朋(やまがたありとも)が継ぐんですけど、「武」と「文」のバランスが欠けているところを木戸孝允(=桂小五郎)がバックアップしてる。だからこそ伊藤博文や井上馨(いのうえかおる)、山県有朋ら若手が育ったと思うんですよ。

房野 あ~、なるほど! はいはい。

伊藤 若手が育って、後は長州の時代になるじゃないですか。薩摩は西郷と大久保がすごすぎて、次の人材である黒田清隆(くろだきよたか)とか松方正義(まつたかまさよし)、西郷従道(さいごうじゅうどう)、大山巌(おおやまいわお)はそこまでのレベルに行かないんですよ。

房野 うわ~、面白い! それで言うと、家康もそうですよね。やっぱり権力を独り占めしたいじゃないですか。でも家康は、秀忠っていう二代将軍にすぐ渡してる。現代の企業も、すごい人は自分が作り上げたものを「はい、お前らやりな」って若手にすぐ渡すんですよね。そっちの方が広がっていくんですよ。

伊藤 そう。それが下手だった人や会社は、全部アウトなんです。二代目を中継ぎにして、三代目が輝くようにした方が良いんです。室町幕府の足利将軍家だって、初代尊氏(たかうじ)の次には三代義満(よしみつ)が輝くわけですよ。二代義詮(よしあきら)はあんまり目立たないですよね。すごすぎる人の次は、しんどいんです。
木戸孝允は、本当はすごい人なんだろうけど、高杉がいないからアップアップしちゃって、伊藤や山県、井上から見たら頼りないんですよ。「木戸さん、もうちょっと頑張ってよ!」っていう感覚なわけですよね。

房野 「じゃあ、俺らが頑張るか」みたいな。

伊藤 そこからは長州閥ですよね。日本で一番総理大臣を輩出しているのは山口県なんですよ。

房野 そうですよねぇ。じゃあ次は「結婚したいくらい、カッコイイ人物」

伊藤 これ、僕、先言っていいですか? 男だったら五代友厚(ごだいともあつ)ですよ。あ、ドラマでディーン・フジオカさんが演ってましたが、五代友厚、写真とか絵見てください、本当にイケメンなんです。あと、お金を稼ぐのがメチャクチャうまい。大阪の商工会議所のトップで、ビジネスマンとしての能力も最高クラス。それと、高杉晋作と一緒に中国の上海へ行ったり、イギリスにも行って実際学んできたっていうのは有名な話で。

房野 男だと、僕は顔で言ったら……松平容保(まつだいらかたもり)かな。中身で言うと、坂本龍馬は本当に良いんですけど、モテすぎるし、あんなに駆けずり回るからなぁ(笑)。

伊藤 龍馬の妻のおりょうさんは、それが自慢だったんですよね。

房野 自慢だと思いますよ。龍馬は、一線級の、最新鋭のことばっかやるじゃないですか、社会情勢から何から影響の大きなことばっか。いや~、あれが旦那だったら嬉しいですよ。でも、家に帰ってこねぇしなぁ(笑)。

伊藤 いや、だから良いんですよね。ねぇ、皆さん!(笑)

房野 そうか。じゃ、僕、龍馬で(笑)。

伊藤 じゃあ、女性選ぶとしたら、誰になりますか?

房野 嘘か本当かのエピソードもありますけど、幾松さん良いかな~。桂小五郎が新選組に追われたこと。小五郎が幾松さんのところへ逃げてきたとき、「隠れな」と言われて箱の中に隠れるわけですよ。で、蓋をして、上に幾松さんが座る。そこへ新選組隊長の近藤勇(こんどういさみ)が来て、「その中にいるだろう!」って言うんですよ。そしたら「開けてもいいけど、もしこれでいなかったら、切腹してもらえます?」って啖呵を切る。
こんなこと言えます?……あ、ちょっと待ってください、怖い嫁に思えてきた(笑)。

伊藤 あ~、確かにね。僕は津田梅子(つだうめこ)さんですかね。8歳のときに岩倉使節団としてアメリカへ留学して、津田塾大学を作られた女性。なんでかというと、幾松も考えたんですけど「あ、人妻だな」と思ったんですよ。僕は既婚者ですから。

房野 ちょ……そこまで前提に入れます?(笑)

伊藤 津田梅子さん、独身だったんで(笑)。伊藤博文の家庭教師をやったこともあるんですよね。ただ、辞めているので、もしかしたら伊藤博文は手癖が悪という噂もあったし、何かあったのかなと……

房野 女好きですもんねぇ(笑)。

伊藤 じゃあ次は「縁を切りたいくらい最悪な性格の人物」。これは幕末よりも現代に近づいてしまいますが、石川啄木ですかね。クズ男で有名なんですよ。

房野 えっ、そうなんですか。

伊藤 歌の才能はありましたが、私生活は何もかもすべてメチャクチャだったそうですよ。奥さんとお母さんを働かせて仕送りをさせて、女の人がいるところに遊びに行っちゃうんです。それでいてプライドが高くて、人に一切頭下げられないから、いつもお金がない。

房野 突出した才能ありますけど、それはクズだな~。

伊藤 あともう一人、お金周りで言うと野口英世(※)。なんで、そんな人が千円札になったのか、まったく分かんないですよね。
(※野口精作は学生時代にお金の援助を受けては放蕩し、一文無しになって無心をするという生活を送っていた。その自堕落っぷりは自分に似た主人公・野々口精作が登場する坪内逍遥の小説『当世書生気質』に描かれ、このモデルと思われるのを嫌って、策を練り、「英世」と改名している。その後も留学費用と結納金を使い果たし、あろうことか婚約者を無視、その後破談になって、恩師が借金を肩代わりするなどしている)

房野 うん、あれはすごい(笑)。僕は誰だろうなぁ、すげぇリアルなこと言うと、権力にすがろうとしたダメな老中たち。もう名前も別に出てこないですけれども。あとは、最後の将軍徳川慶喜(とくがわよしのぶ)はちょっとキツイかな。僕は嫌いじゃないですけど。

伊藤 慶喜は新門辰五郎(しんもんたつごろう)っていう火消しの娘さんを側室にしてたんですけど、鳥羽伏見(とばふしみ)の戦いに負けた後、部下を捨てて、大阪から江戸へ、幕府の船で逃げてきたとき、、その娘さんに「あんたみたいな最低の男は、私、知らない」って罵倒されている(笑)。

房野 そうなんですよね(笑)。

ーーリポート(3)に続きます。

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