二日目はポルヴォーへ。

 ポルヴォーはフィンランドではトゥルクにつづく二番目に古い町で、見所は、川沿いに立ち並ぶ、木造の赤い倉庫。絵本の中のようなかわいらしい風景が、ガイドブックでもよく紹介されている。さて、実際はどんな感じだろう?

 ヘルシンキ市内からポルヴォーまでは、バスで一時間ほど。と書くと、日帰りで気軽に行ける! と感じる人と、海外でバスに一時間も乗るってキンチョーする! と感じる人とに分かれるのではないか。むろん、わたしはキンチョーする! のだった。

 大型ショッピングセンター・カンピの地下に、中央バスターミナルはある。一階からエスカレーターで降りていくとチケット売り場&乗り場が。

 チケット売り場は窓口に並ぶのではなく、ボタンを押すと番号の印字された紙が出てくる機械があるので、それをゲットして待機する。ちなみに、郵便局やデパ地下の総菜売り場なども同じシステムなので、番号さえ手にすれば確実に用件を聞いてもらえる安心感がある。

 窓口でポルヴォーまでのチケットを購入する。往復で2500円くらい。ちなみに、前回の旅では、何かを入手したいときは、I want ~(わたしは~が欲しい)だったが、今回は、Can I have ~(~はありますか? ~をください)でいくことにする。

 使ってみれば、これは本当に便利なフレーズで、この旅の間中、もう、大連発。各種チケット、サーモンスープ、シナモンロール、ホットチョコレート。すべてこのフレーズによって、わたしの前に差し出された。実際、セルフサービスのカフェで“Can I have a coffee?″ と注文している外国人も見かけたのであった。

 中央バスターミナルのバスの乗り場はいくつもあるが、行き先の表示がわかりやすくて迷うこともない。おまけに、ポルヴォー行きなので、終点まで乗っていればOKである。

 ちょうど一時間という頃、窓の外に川沿いの赤い木造の倉庫群が見えてきた。あっという間に過ぎるので、写真を撮りたい人は準備が必要。左側に座るのがおすすめである。

 倉庫群を過ぎ、少し進んだ先に終点ポルヴォーのバスターミナルがある。目の前にはマリメッコのショップ。てくてく歩いて倉庫群のほうまで戻る。

 白い空だ。霧雨が降っていた。けれど、誰も傘をさしていない。ささなくてもいける程度の雨だが、日本でなら誰もがさす程度の雨である。ミストのような雨が頬にあたり、心地よかった。

 雨に濡れたい、と思うことってないだろうか。そう寒くない日の雨。びしょぬれにながら、きままに街中を歩きまわったら愉快だろうなぁと想像する。もちろん、「なんだあいつ?」という冷たい目で見られない前提である。

 時計の針は昼の12時。カフェに入ってコーヒーでも飲もう。ポルヴォーの雨はすぐにやんだ。

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