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ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること

2018.09.22 公開 ツイート

投資の超プロが薦める「気絶投資法」という最強ワザ 苦瓜達郎

 6年連続で「R&Iファンド大賞」受賞、直近の運用成績はなんと「年44.3%」を誇るカリスマファンドマネジャー、苦瓜達郎氏。そんな氏が満を持して発表した著書が、『ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること』だ。

 多くの人が見逃している優良中堅企業=「すごい会社」を見つけるにはどうしたらよいのか? そして、投資で成功するにはどんなことを心がければよいのか? 本書の中から抜粋してご紹介します。

iStock.com/RomoloTavani

株で勝つ人、負ける人

 株式投資では、「これをやったら負ける」というパターンがあります。それは、「人の半歩後ろをついていく」ことです。

「株価が徐々に上がってきているし、みんな、これからまだまだ成長するといっているから……」

 そんな考えのもと、「後追い」で投資をすれば、ほぼ確実に負けてしまうでしょう。

 こうした「人の半歩後ろをついていく投資」を繰り返して負け続ける個人投資家は、少なくないはずです。

 有名なファンドマネジャーが言及した銘柄に飛びついたり、メディアが「今こそ株式投資だ」とあおるのを見て「そろそろ始めてみようか」と考えたり、雑誌などで紹介されている「これから上がる株」といった銘柄リストを信じて株を買ったりといった行動は、すべてNGです。

 そういった銘柄はすでに値上がりしていることが多く、遅れて飛びついた人はカモにされて、「高値づかみ」をするのがオチでしょう。

 もっとも、私が運用する投資信託の月報で紹介している銘柄は、もしかすると参考にしていただいてもいいかもしれません。世の中のアナリストレポートにもほとんど出ていないような銘柄しか載せていない「レア情報」ですし、何より「目先の株価が上がりそうかどうか」ではなく、「株価が本来の企業価値から見て、割安かどうか」を基準にしているので、長期保有を前提とするなら、勝てる可能性はあるかもしれません。もちろん、判断はご自身の責任でお願いします。

 いずれにしても、「自分はこのスタイルで運用する」という確固とした考えがなく、他人頼みでは、なかなか投資で成果を上げることはできないものです。「安心して買える株などない」ということを肝に銘じておきましょう。

株式投資に「神話はない」

 もう一つ、「株で負ける人」にならないために頭の片隅に置いておいていただきたいのは、「株式投資には神話はない」ということです。

 たとえば新進気鋭のベンチャー企業が、夢のような成長ストーリーを提示することがあります。そういった「神話」に踊らされる人は少なくありませんし、実際に「神話」に基づいて株価が高騰することもあるものです。

 しかし、長期的に見れば、そういった株価の上昇が持続することは、そう多くありません。

 株式市場では、原則として、常識的な話をベースに株価が動いているものです。株式投資をしたことがない人は、株式市場を特別視しがちな傾向にありますが、実際には、常識をくつがえすような特殊な理屈が長期にわたってまかり通ることはないのです。

 ですから「神話」を信じて夢を追いかけるのではなく、キラキラした話を聞いたら、「それは常識的に考えて、可能なのかどうか」を冷静に考える姿勢を持つこと、基本的には警戒してあたることが必要だと思います。

個人投資家の「強み」とは

 一般の個人投資家がプロに勝てる大きな要因に、「お金をいつ、いくら投資してもいいし、いつ売ってもいい」という自由度が大きいことがあります。

 プロの投資家は、お客様からお預かりした資金を運用しています。ですから資金が入ってくれば、原則として投資しなくてはなりませんし、解約するお客様がいれば、売りたくないタイミングでも株を売って現金化し、お返ししなければなりません。

 たとえば相場全体が大きく下がったとき、私の投資法でいえば「本来の企業価値から見て、株価が大幅に割安になっている」ケースが多いわけですから、そういった銘柄を買う絶好のチャンスであることが多いといえます。

 ところが、相場が大きく下がったことで「もっと値下がりしたらどうしよう」という不安を感じ、投資信託を解約するお客様がたくさんいたら、どうなるでしょうか?

 投資のチャンスどころか、保有し続けていればいつか株価が上がる可能性のある銘柄を、株価が大きく下がっているタイミングで売却するハメになるというわけです。

 個人投資家の場合、こういった制約はありません。自分が買いたいときに買い、売りたいときに売ればいいのです。

 私が勧める、「本来の企業価値と比較して、株価が割安であれば買う」という方法であれば、「十分に割安だ」と判断できたら、すぐに買っていいでしょう。

「気絶投資法」のススメ

 そして買ったあとは、株を買ったことをさっぱり忘れてしまうことをお勧めします。

 株価というのは、日々追いかけていても、あまり実りのあるものではありません。

 それよりは、人生の貴重な時間を株式市場に惑わされることなく有意義に活用し、1年なり2年なり経ったところで、「そういえばあの銘柄はどうなったかな」と思い出して株価を確認し、そこでまた次の投資戦略を考える……というくらいのスタンスで臨むほうが、心身の健康のためにもよいのではないかと思います。

 さらにいえば、個人投資家が株式投資で勝つには、株式市場がボロボロになったときに買い、そのまま気絶したようにそのことを忘れてしまうのが、「王道」です。これを私は「気絶投資法」と呼んでいます。

 株価が暴落しているときに買いに走るというのは、資金が流出しがちなプロの投資家にはなかなかできないことで、個人投資家の大きな強みだと思います。

 暴落時には、本来の企業価値からは考えられないほど株価が下がる銘柄がたくさん出てくるものです。

 もちろん、暴落の背景を考え、その会社の価値が本当に失われているのではないかと、よく吟味する必要はあるでしょう。

 しかし、「相場に引きずられているだけで、企業価値は失われていない」と思うのであれば、それは「買って気絶する」絶好のタイミングといえます。

 特に若年層の人なら、今後の人生で株価が暴落する「チャンス」を一度は経験するでしょう。それを楽しみに待つのも、一つのスタンスなのです。

 

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苦瓜達郎

大和住銀投信投資顧問のシニア・ファンドマネジャー。1990年、東京大学経済学部卒業。大和総研を経て、2003年より中小型株ファンドの運用に携わる。格付投資情報センター「R&Iファンド大賞」国内中小型株式部門において、2012~2017年の6年連続で「最優秀ファンド賞」「優秀ファンド賞」を受賞。

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