◆人事部が悪い社員を社内調整=ブッ殺す!?◆シリーズ累計150万部「ニンジャスレイヤー」チームが描く衝撃の社内スパイアクションオフィスハック』待望の4thシーズン! 舞台は東京・丸の内の巨大企業T社。人事部特殊部隊「四七ソ」の香田と奥野に今日も新たな社内調整指令がくだる。不正を働くオフィス内のクソ野郎どもをスタイリッシュかつアッパーに撃ち殺せ。テイルゲート! ショルダーサーフ! 禁断のオフィスハック技の数々を正義のために行使せよ! 

 

◆17◆

 

 ポーン。

 エレベーターは13階で止まり、段ボールを抱えた二三バイの残党を吐き出した。

「じゃあ、あとは上手くやれよ。処理業者を向かわせるから、それまで段ボール守っとけ」

 ミカミたちの乗ったカゴはドアを閉じ、再び上に向かった。

「アッ、ハイ」「あざっす!」

 二三バイの残党たちは奪ってきた機密段ボールを二人がかりで抱え、迷宮のようなT社グループ社屋の廊下を進んでいった。社屋と社屋を連結する渡り廊下を超え、角を二度曲がり、リレイアウト工事中立入禁止のコーンを越えて、薄暗いエリアへ。

「マジでやったな」

「これで高跳びできるぜ」

「ああ、またパーティーしたかったなあ。芸能人とかアイドルも来たのにさ……」

「結局それがマズかったんじゃねーの?」

 配線が天井や床からむき出しになった、廃墟のようなオフィスフロアを抜けて、反対側の2基運用エレベーターホールへ。

 そこで乗り継ぎを行い、3フロア降ってロックドアを開け、人事部の目から隠されたエリアへと入った。

 ならず者社員たちは空調のない廊下を進み、隠しオフィスエリアへと到達した。

 重いドアを開ける。

 眩しい照明と、カンナビスの香りが彼らを迎える。

「ハハハハハハ……! 良くやった! 良くやったぞ……!」

 腕を広げて彼らを歓迎したのは、全身に包帯を巻いて帽子を被った、上等なスーツの男であった。男の右手にはマシンピストルが、左手には涼しげなブルーハワイのグラスが握られていた。

 さらにこの包帯男の両脇には、3Dプリント拳銃や3Dプリントショットガンで武装したならず者社員の残党がずらりと並び、臨戦態勢を整えていた。

「部長! 段ボール、確かに奪ってきました……!」

 襲撃部隊のリーダーが言った。

「でかしたぞ、これで私の失敗は帳消しだ! 残ったバッズを逃走資金に変えたら、マカオに高跳びして、思う存分カジノで遊び倒すぞ! ハーハハハハハハハハ!」

 包帯の隙間からのぞく男の片目は、狂気じみた光を湛えていた。この男こそは、社内大麻工場の火災後に行方不明になっていた二三バイの統率者、御子柴部長に他ならない。

 御子柴は、生きていたのだ。

「部長、ここに、置いておきますね……」

 段ボールを運び込んだ男たちは、一瞬、怖気を振るい、無言で目を見合わせた。

 本当に、このまま彼について行って大丈夫なのだろうかと。

「うむ、私が直々に中身を確かめてやろう!」

 御子柴は、机の上に置かれた機密段ボールを睨みつけた。

 そして無造作にガムテープの端をつまみ、力任せに引き剥がす。機密段ボールは抵抗などできない。その中に隠されたA4キングジムファイルの数々を、御子柴部長の前に露わにした。

「ハハハハ……ハハハハハハハ! どうやら間違いないようだな!」

 御子柴はそのうちの一冊を開き、中身が確かにシュレッダー再生された機密文書であることを確認すると、それを再び段ボールの中に力任せにねじ込んだ。

「お前たち、褒美として棚からブロックを1個ずつ持っていっていいぞ! 私の寛大さに感服するがいい!」

 御子柴は、事務棚に積まれた大量の大麻樹脂を指し示した。

「アッ、ハイ!」「部長、あざっす!」「でも部長、ここに隠れてたら換金が……」

「YO、黙ってろよ」

 襲撃部隊の一人が肘で突き、仲間に小声で警告する。

 だが遅かった。

「ン……?」

 御子柴は側近にブルーハワイグラスを預けると、彼に物申したならず者社員に向かって、ツカツカと歩いていった。

「君は、私の決定に対して、何か不満があるのかね?」

 御子柴はマシンピストルの銃口をならず者社員の口に突っ込んだ。

「ヒアアアアア! す、すみません、部長……!」

 ならず者社員はひざまずき、震え上がった。

「私の決定に! 文句が!? あるのか!」

「アヒイイ!」

「口がきけないのか!? 答えろ!!」

「あ、あり、ありま」

 ガチン、と銃が鳴った。銃弾は飛ばなかった。

 ならず者社員は、白目をむいて失神した。

「こいつは情けない! 減給だな!」

 場はしんと静まり返っていた。

 御子柴は常軌を逸しかけている。だが自分も、それと同じ船に乗ってるのだ。本当に大丈夫なのだろうか。

「ン……?」

 襲撃部隊のリーダーはストレスに耐えかね、携帯端末を握ろうとして、胸ポケットの違和感に気づいた。胸ポケットに入れていたはずのAndroid端末が、無い。

 だが今、御子柴部長の機嫌を損ねれば、何をされるかわからない。

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【あらすじ】2018年、東京・丸の内。合併続きで肥え太った大企業T社には「消費者をナメくさっている」事業で稼ぐ社員が誕生していた。彼らの不正が世に出ればT社のダメージは計り知れない。その前に証拠を押さえ部署ごと解体するのが、人事部の特殊部隊「四七ソ=オフィスの死神」のお仕事だ。営業から四七ソへ引き抜かれた31歳妻子持ちの香田は、年上の後輩・奥野とバディを組んでいた。ある日、 AIをフル活用してパクりブログを運営する部署への社内調整依頼が入る。順調にサーバールームへ侵入した二人だが、突然、武装したコンサルタントに襲撃を受けた! 血を流す奥野。二人の運命は――!?