11月27日(水)

 ずっと気にしていたものの、一夜明けてもチャリはいつの間にか移動したクローゼットの奥にもぐり込んだまま出てこない。「容態が悪くなるようなら」と言われたけれど、昨日のように鳴きもしないし、吐きもしない。でも、水を飲みにも出てこないし、餌も食べようとしない。昨日点滴を受けてから15時間ほど経つので、とりあえず何か口に入れたほうが良いのでは、と思い、いつものカリカリとは違うレトルトパウチの、チャリの好きなクリーム系の餌を口元まで運んでみるが、舐めようともしなかった。
 今日は早急に必要な資料を買いに都心の書店に行かなければならず、心配しつつも家を出る。帰ってきてクローゼットを覗くと、出かけたときとまったく同じ姿で寝ていた。つい、息をしているか確かめてしまう。
 夕方になり、再びパウチ餌を運んでみると、ようやく2口、3口ほど舐めた。
 これまで犬や猫が死ぬ小説や、最期をみとるまでを描いたノンフィクションやエッセイ漫画は山ほど読んできたのに、我が身に置き換えて想像したことだって数えきれないほどあったのに、しかも別に今、チャリは死にかけていると決まったわけでもないのに、油断すると悪い方へ悪い方へと想像が膨らんで気持ちが乱れる。
 比べるのもどうかと思うが、子育てをしている人は、何度も何度もこんな不安を乗り越えて来たはずで、頭の中では「猫ごときでこんなに動揺するってどうよ?」と駄洒落めかして思っているのに、どうにも落ち着かない。お気楽なテーマの原稿を書きつつ、小まめに様子を見に行くが、良くなっているのか悪くなっているのか、結局一日中、判断がつかなかった。

兄の体調など、まったく気にしていない猫ズ妹。でもそのマイペースぶりが有難い!

こちらも大好きな羽毛布団にもぐり込み、スヤスヤ眠るダラ。なんかこう、小憎らしいのは気のせいだろうか。

<最近の新刊読書>
『赤ヘル1975』(重松清著/講談社¥1890)
……広島に原爆が投下されてから30年。弱小球団広島カープの帽子が濃紺から赤に変わった昭和50年、中学生になったヤスたちのクラスに東京からの転入生マナブがやって来た。今も町に色濃く残る原爆の後遺症、その痛みを知らぬマナブとヤスたちの不器用に育まれていく友情。初出の小説現代での連載は、3.11の後に始まったのだが、この年快進撃を遂げた赤ヘル軍団が広島市民に見せた希望は、今年の楽天にも重なる。いやーそりゃもう、これは重松清の真骨頂でしょう! 巧いです。

 

 

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