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2013.12.13

2013年11月第4週 だらしな脱出できるかな日記

藤田 香織

2013年11月第4週 だらしな脱出できるかな日記

11月26日(火)

 いろいろギリギリな仕事がかっ詰まり、朝6時起きで原稿を書いていたところ、朝もはよからチャリ(猫ズ兄)がウニャウニャウ~と鳴きだした。
 チャリはわりと便秘体質で、ときどき「出ません~出ません~!!」と訴えがちなのだが、それは大抵夜中のこと。早朝からって珍しいな、と思いつつ、どうしても今日中に仕上げなければならぬ仕事があったので構わずにパソコンに向かい続ける。獣たちは昼の間ほとんど寝ているので、そのまま気にもせずお昼を食べ、再び仕事場に籠っていたら、夕方になって再びウニャウニャウ~、と声が聞こえてきた。続いて何度か嘔吐する声も。
 猫を飼っていると、吐かれることも日常茶飯事なので、またか、と思いつつしばらく無視していたのだが、なんだかいつもより長く鳴いているような気がして、なんだよー、しょうがないな、牛乳かオリーブオイルでも舐めさせるか、と様子を見に行った。ところが、どこにも姿が見えない。声を頼りに探していると、最近はほとんど使うことがなくなっていた猫タワーのベッドの奥で丸まっていた。抱き上げてみると、身体に力がなく、口の周りが涎でべっとり濡れている。明らかに様子がおかしかった。
 人間の(っていうか私の)ベッドに寝かせると、ぐったりしたまま、今まで聞いたこともない弱々しい声で鳴き、そのまま目を瞑ってしまう。オカシイ。これはもう、病院に行った方が良いのは明らかだ。「大丈夫だからね、病院行こうね」と声をかけながら、毎度お馴染みダウンベストを羽織り、ボサ髪をいつものニット帽に押し込み、キャリーバッグに猫ズ兄も押し込んで、かかりつけの動物病院に車を走らせた。予防注射をしに行く時は「イヤな予感がします! すっごいイヤな予感がします! 出して!ここから出してー!」と鳴きまくりなのに、今日はもう鳴きもしない。不安で「もうすぐ着くよー。大丈夫だよー」と言う自分の声が震えてしまう。ダラもだけど、猫ズも、もう11歳だ。何があってもおかしくないとは分かってるつもりだったのに。
 幸い、駆け込んだ動物病院は空いていて、すぐに診てもらうことができた。症状を説明して触診、検温。先生の「今日、何か誤食した可能性はありますか?」「食事はしてますか?」「おしっことうんちは出てますか?」という質問に、何ひとつまともに答えられない。部屋は散らかり放題だし、餌は猫ズ妹と一緒の皿で起き餌状態だし、今日は仕事場にずっとこもっていてろくに姿さえ見てなかった。「では、とりあえず、内臓の異常を診るための血液検査と点滴をするので、しばらく待合室でお待ち下さい」と言われる。
 どうか、大したことがありませんようにと祈りながら、同時に「もしも」の場合を考えてしまう。もしも、もしも、このまま入院するようなことになったら。もしも、もしも、容態が悪化するようなことになったら。処置室では他にも治療を受けている猫がいるようで、鳴き声が聞こえていたのだけれど、そこにチャリの声が加わったのが分かった。いつもとは全然違う鳴き声なのに、聞き分けられるもんなんだな、と思ったら、急に涙が込み上げてきた。こんなに自分が狼狽えるとは思ってなかった。
 30分後、血液検査の結果が出て、再び診察室に呼ばれ説明を受ける。悪いことばかり想像していたけれど、内臓に異常を示すような数値は特に見られないと聞き、とりあえずほっと息を吐いた。誤食した可能性は残るものの、それを詳しく調べるにはバリウムを飲ませ、時間をかけてレントゲンを撮るしかなく、それでもビニールや紐は映らないので、1日~2日入院させて様子を見るしかないとか。先生曰く、今日は吐き止めの注射もしたので、とりあえず明日まで家で様子を見て、容態が悪くなるようなら明朝また連れて来て下さい、と。入院させた方が安心は安心だけど、それはチャリにとって凄くストレスになるだろうと思ったので、指示に従い連れて帰る。
 玄関を開けて、キャリーバッグを下しても自力で出てこないので、抱き上げて猫ベッドに下ろす。チャリはそのまま丸くなって目を閉じた。

病院帰り、キャリーバッグに入る猫ズ兄。今だから言えるけど、弱ってるとき特有の可愛さが滲み出てるような、いないよな。

かなり細かい血液検査の結果が、30分ほどで出たことにビックリ。そして保険のきかない動物病院。でも、後で良心的な方だと知った。

<最近の新刊読書>
『疾風ロンド』(東野圭吾著/実業之日本社文庫¥680)
……なんと17年ぶりの文庫書き下ろし! スキー場に埋められた生物兵器をめぐる駆け引きが描かれるのですが、「白銀ジャック」の根津が再登場。娯楽度の高さはさすがですな。スキー場が舞台になる小説自体「白銀ジャック」から読んでなかった気がするけど、これは雪を見ながら読みたかったなー!
 

 

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