少子化社会のモラハラ、パワハラ、マタハラ、セクハラ……と、しなやかに、強かに闘う女性の痛快長篇『四十歳、未婚出産』(垣谷美雨)。書店員さんから、様々な感想が届いています。


すごくすごく元気をもらった一冊でした。私のまわりにも未婚出産した人がいます。都内の広告代理店の社長ですが、バリバリ仕事をして、好きな人の子供を一人で育てて、きびしいけれど、情があつく、一生懸命生きていると、まわりが助けてくれるって本当ですね。私はそんな彼女が大好きです。もちろん、優子も大好きです。
(岩瀬書店ヨークベニマル店  半澤裕見子さん)

正直感想を書くのがとても難しい小説でした。まず、男性と女性で感じ方がちがうだろうということが根本にあり、それ以外でも多くの要素をはらんでいるテーマだからです。‟妊娠”……。本来ならば、祝福されて然るべきことですが、環境や相手など取り巻く要素によっては、決してそうではないことになってしまう。そこに人それぞれの状況が色濃く反映されているのだなと思いました。こんな上司にはなりたくないとか思いながらも残念ながら一番多いのが烏山部長タイプではないかと思い、なんだか悲しくなりました。
(芳林堂東長崎店 飯田和之さん)

頭では理解出来ていても、実際に自分自身や身内が同じような状況になったら、はたしてどんな行動やアドバイスをするかと、性別は違いますが同じ40歳として自問自答しながら読み進みました。ステレオタイプの情報や自分が過ごしてきた範囲の常識のみで物事を判断しがちですが、これを読んで答えは決してひとつではないこと、複数の答えを否定せずに受け入れることの重要さを改めて教えられました。垣谷さん得意の挑発的なタイトルで読者を引き付け、小説として楽しく読み進みながら、現代女性が対面する難問について読者に深く考える時間を与えてくれる手法が、今回もより深く詰まった作品でした。
(リブロ 昼間匠さん)

いやあ、リアルでしたね。面白かったです。女の人が出産を経て同じ職場で働き続けることって本当にむずかしい。そのいろいろな葛藤を優子を通して疑似体験しているようでした。男の人って40までふらふら独身でいて、ひょいと20代くらいの若い子と、と多かれ少なかれ思っていやがんだなと思ったら、ちょいとちくしょう気分になりましたが、凡庸さんみたいな人もいるし……。しかし木戸の野郎! 40歳というのは、やはりいろいろ考える年頃(?)なのでしょう。現実にはこんなドラマはなかなかないけれど、思い浮かべた未来になっていないことの多いアラフォー世代のリアルを描いた痛快小説ですね。
(有隣堂伊勢佐木町本店 佐伯敦子さん)

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垣谷美雨『四十歳、未婚出産』

未婚の母になったりしたら苦労するに決まってる。
でも、子供を産む、最初で最後のチャンスだ。だったら……。
四十歳を目の前にして思わぬ妊娠に揺れる、旅行代理店で課長代理として働く優子。お腹の子の父親は28歳のイケメン部下・水野で、恋愛関係にあるわけでないし、本人にはどうしても言えない。偏見のある田舎の母親やパワハラ上司、不妊治療に悩む同期にも、言えない。しかし、どこからか優子の妊娠の噂を聞きつけた水野とその彼女があれこれまとわりついて嗅ぎ回る。女は出産したら一人前には働けないというパワハラ上司からも意地悪をされ、四面楚歌。産むのか、産まないのか、言うのか、言わないのか。シングルマザーで仕事はどうするのか……。結論が出せずに悩む優子だったが、田舎の同級生やかつて不倫していた上司、兄のブラジル人妻、仕事と子育てを両立する同僚など、少しずつ味方が現れて、揺れながらも、気持ちは固まっていく。痛快で優しい、全ての女性への応援小説。