数年前、某所にある座敷童子が住むという宿に泊まった。

座敷童子が出る宿というと、火災にあった金田一温泉の緑風荘や、由布院の吉祥開運亭無尽蔵が有名だが、私が行ったのは岩手の早池峰山脈の近くにある、小さな釣り客を目当てに営業している、民宿だった。

宿の主人の話によると、座敷童子はこの宿と近くの廃校になった小学校や川や山に出るという。

例えば、釣り客の話で、川の中州にポツンと小さな女の子が三角座りでいた。急な流れの川で、足を渡すような場所もないのに、一人で服も濡れていないし変だなと思ったのだが、竿に当たりが来たので目をそっちに向けた。そして、再び女の子がいた場所を見るとそこには誰もいなかった。

水音もせず、辺りを見渡したが人が落ちたような気配はない。しばらく探したが、あれは見間違いに違いないと思って、釣りを再開することにした。すると、その日は面白い程目当ての魚が掛かったという。その釣り人は、今までこんな釣果を挙げたことはなかったそうだ。

座敷童子が出るという小学校に行くと、急に椅子が倒れたり、鏡にチラッとそれらしき人影が写ったり窓にいるのを見かけた子供や、黒板に落書きが増えているのを見た大人がいたそうだ。

廃校になった小学校に行ってみたけれど、残念ながら私は座敷童子を見ることは叶わなかった。

ただ、その宿の座敷童子の出ると噂される部屋には泊まることが出来た。

部屋には宿泊客が置いていったという、玩具やモビールが飾られており、何だか保育所のような雰囲気になっていた。

部屋の中で荷ほどきをしていると、棚に置いてあった縫いぐるみがぼたっと落ちて来た。

畳の上から拾いあげて、棚に戻すと今度は別のぬいぐるみが、どたっと落ちて来た。

戻すと、今度は前に戻しておいたぬいぐるみが落ちてきた。

棚が斜めになっているのか、それとも自分の置き方が悪いのかと思ったのだが、こういう事がその後も、何度も何度も続いたので、少々嫌になってぬいぐるみが落ちても直ぐに拾わず、そのままにしておくことにした。

すると棚がカタカタカタっと揺れて、棚に置かれていたぬいぐるみだけでなく、お菓子や車の玩具等、他の物も含めて全部ドサっと落ちて来た。

私は地震だと思い、震度を確かめようとしたのだが、携帯電話が圏外だったのでテレビが置いてある、部屋に向かうと宿の主人と廊下ですれ違った。

地震の話をすると、全く揺れなど感じていないといい、よくそういう事があるから、多分からかわれたんでしょうと言われてしまった。

何にからかわれたのかは、未だに分からない。
 
これは先週、書店員さんから聞いたばかりの話。

昔にね、一度だけちょっと変な物を見たことがあるんです。

若い頃山登りにハマってまして、槍ヶ岳に登ったことがあるんですよ。

そこで、険しい岩肌に横たわる裸のマネキンを見たんです。

ほらよく、田舎で案山子代わりにされてそうな頭髪のないよく見るタイプのマネキンってあるじゃないですか、あれですよ。

で、そんなマネキンが、えっ、何でこんなところに?と思ったんですが、特に気にしないで先に進みました。

それで帰りに同じルートを通ったんですが、そのマネキンが無いんですよ。

周りに落ちたとかはないですね。視界が開けていて、見渡せる場所でしたし。

まさか誰かが担いで持って帰ったとも思えないんですよ。人ともすれ違いませんでしたし。周りにそれらしき登山客もいませんでした。

あれ何だったんだろうなあって、未だに思いますね。

でも山って何かあると思いますよ。仲間は女の笑い声を山でよく聞く。しかも毎度同じ女の声なんだって言う奴もいるし、人面の狐にばったり会ったなんて奴もいます。

なんかでもねえ、時々夢で見るんですよ、あのマネキン。
 

もう一つ、書店員さんから聞いた話。

学校の七不思議ってあるでしょう。夜校庭を走る二宮金次郎の銅像とか、目が光る音楽室のベートベンの絵だとか、上りと下りで段数が違う階段だとか。

その手の話で、嘘やって言われて誰も信じてくれへんかった僕の体験談があるんです。

小3の時の夏ですよ。塾帰りにね、小学校の横を通たったらねプールから、こうバシャバシャって水音がしたんですよ。

7月の半ばくらいで暑い夜やったから、誰かが忍び込んで泳いでるんだろう、ズルイ!と僕は思ったわけですよ。

そうしてプールに近寄って金網ごしに覗いたら、泳いでるんが人間やなくって、理科室とかで見る体の半分んがこう、キカイダーみたいに色が違う人体模型が泳いでたんです。
確か金曜か土曜の夜に見て、週明けに学校で話したけど、誰も信じてくれんやったなあ。

作り話やと疑われたんです。

 

たこ焼き酒場で知り合った人から聞いた話。

新しく引っ越した借家の天井裏が騒がしくってね。夜になるとバタバタバタバタって何かが走り回るような足音がして寝られなかったんです。

たぶん音の原因はネズミか鼬だろうって思って、毒餌を持って押し入れから天井板を外して上がってみたんです。

そしたらね、そこには熱で顔の変形したセルロイドで出来た達磨の人形が二体転がっているだけで、ネズミや鼬の糞や足跡はありませんでした。

それからも、定期的に毒餌を撒いているんですが、まだ足音は聞こえるんですよ。
でも、相変わらず獣がいそうな気配や雰囲気はないんですよね。

女房は風がどこかからか入り込んで、足音みたいに聞こえるんじゃないかって言うんですが。

セルロイドの達磨はね、そのままにしてあります。

なんでかと言いますと、顔がこう溶けておじさんというか、割と凄まじい表情になっていて、ちょっと手で触れるのを躊躇うんですよ。

音と、関係。あるんかなあ、ないんかなあ。

 

怪談会で知り合ったササキさん(仮名)から聞いた話。

3本足のリ〇ちゃんってあったでしょ、都市伝説で。

あれ、見たことあるんです。

どこでかっていうと、子供の頃にね、砂場に埋まってたの発見したんですよ。

リ〇ちゃん人形の顔が半分砂に埋もれてて、掘り返すと、真ん中に手羽先みたいな足がついてて、鳥肌のぷつぷつも見えた。引っ張ると皮がちょっと伸びてね、気持ち悪かったなあ。

リ〇ちゃん人形はスカートは履いてなくて、上半身だけ袖の無いセーラー服みたいなのを着ていたかな。

誰かが悪戯で引っ付けたとかじゃなくて、真ん中から生えているようで、引っ張るとこう、関節が動くんですよ。でも残り2つは肌色のツルツルしたプラスチックの足でしたね。
髪の毛は鋏を入れられたのか、茶髪が短く肩より上に切られてて、広がってました。

こら、凄い。周りに見つけたと、見せびらかそうと思ったが、そういう日に限って公園には同年代の子供がいない。

足を持って逆さまになった人形を振り回しているうちに、だんだん寂しくなってきましてね、肌寒い日で、腕にプツプツとサブいぼが立ってきた。それが3本目の足に似ていて気持ち悪いし、伝染ったように見えて嫌になって、ポイっと放って逃げて帰りました。

今思えば、持って帰るか写真を撮っておけばよかったなあって後悔しているんです。

 

親に話しても信じてくれなくってね、3本目の足言うたら性器を連想させるから、男の子らしい冗談やろみたいな感じのこと言われて、取り合ってさえもくれませんでしたわ。

次回は海外の人形に纏わる奇妙な話を紹介したいと思う。

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