体調管理が難しい蒸し暑い季節にぴったりの新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』では、心も身体も元気になるスパイス生活について紹介しています。

インドや周辺諸国の人々にとってスパイスが健康に役立つということは常識で、その日の気候や体調に応じてスパイスを使い分けています。日常には「グッド・フォー・ヘルス」が溢れているんです。

本書より、スパイスの知られざる魅力と手軽な取り入れ方を抜粋してお伝えします。

常備したいスパイス:わさび

◎主な使い方
おろして寿司やざるそばの薬味に。鶏肉とのあえもの。ステーキなど肉にトッピング。チューブタイプのワサビなら醤油や酢を合わせてドレッシングにもなる。

◎味
そのままだと爽快な香り。すりおろすことで酵素が働き辛みが生まれる。

◎主な効果
抗菌、抗酸化、抗炎症、抗がん各作用。ストレスの緩和。臭み消し。

◎常備量
生なら1本を購入。残れば冷蔵、冷凍保存が可能。

◎特長
最近はブランド農園・産地ものをインターネットで購入できる。

◎その他
生の場合、1本300円~1500円くらいまでと幅があるので、好みのものを選ぼう。

◎主な産地
日本

抗菌、抗酸化、臭み消し。清流の中でしか育たない日本の奇跡のスパイス

『スパイスジャーナルvol. 10』ではわさびを特集した。その際、いつものように薬学博士の多賀さんと共に調査と分析を試みた。議題は辛さの理由と薬効の有無について。結論は次のとおりである。

「辛みの正体はアリルイソチオシアネートという化合物。だが、すぐに揮発してしまうのでシニグリンという前駆物質として細胞の中に蓄えられている」

「シニグリンはブドウ糖とくっついた状態で貯蔵されており、必要なときに酵素を使ってアリルイソチオシアネートとブドウ糖に分解する」

 早い話が、おろすことで辛みが生まれ、その中に薬効が期待できる成分が確かに含まれているということである。薬効は「抗菌、抗酸化、抗炎症作用、そして抗がん作用」などとすごい。ただ、揮発性が高く、現実的にどこまで吸収できるのかはこの時点でわからず、ひとまず単純に辛さがいつまで持続するのかを計ったら、なんと5分ほどで消え、同時に味も格段に落ちてしまった。そのことと薬効力の関係までは判断できないが、確実なのは、おろしたての生わさびを出すそば店や日本料理店へ行くか、あるいは食事する直前に自分で生わさびをおろすか、ということに。冷凍をおろすことも可能なので、生わさびさえ手に入るなら意外に現実的な作戦である。

 特集内でもうひとつ興味深い話がある。それが天然わさびの冒険だ。リーダーは滋賀県の料理宿ご主人の徳山浩明さん(*20)たち3人。川を越えて茂みの中を突き進む。途中、何度かわさびを発見するが、すべて直径1センチほどの細いものばかり。この理由がなんと、茂みの中では、自らが持つ抗菌作用で中毒を起こして大きくなれないというのだ。仮に何かの拍子で成長したとしても採れるまでにまだ2、3年はかかるという。この後、さらに清水を辿り、崖を這い上がったところでようやく大きなわさびを発見。そこは水温10 ~15℃の中性の水が湧き続ける場所であった。天然もので太いわさびを見つけることは奇跡に近い、ということをこのとき我々は初めて知った。

 山の案内人曰く、乱獲防止のため採取場所を公開することはできないという。日本原産のスパイスは自然の絶妙なバランスの中で今も育まれている。

滋賀の山中でみつけた天然わさび

鮫の皮おろしならきめ細かくクリーミーに。東海、信州、山陰、北関東など各地で栽培されている。水の中で育てる沢わさびと、土中で育てる畑わさびがあり、前者のほうが形も大きく価格は高い。最近は品種や畑の改良が進み、肉厚なものが出回り、中国産も増えている

*20徳山浩明さん(天然のワサビや山椒など自ら採取にいく。滋賀県長浜市余呉町にて料理宿『徳山鮓』を営む)

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カワムラケンジ『おいしい&ヘルシー! はじめてのスパイスブック』

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