体調管理が難しい蒸し暑い季節にぴったりの新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』では、心も身体も元気になるスパイス生活について紹介しています。

インドや周辺諸国の人々にとってスパイスが健康に役立つということは常識で、その日の気候や体調に応じてスパイスを使い分けています。日常には「グッド・フォー・ヘルス」が溢れているんです。

本書より、スパイスの知られざる魅力と手軽な取り入れ方を抜粋してお伝えします。

常備したいスパイス:胡麻

◎主な使い方
素材の衣に、ペーストをタレやソースにする使い方は世界各地に存在する。胡麻油を香りとして使うのは中国から以東のやり方。豆腐や和え物は日本ならでは。

◎味
さらっとしつつも濃厚なコクがいい。シードは使用直前に煎るとさらに香りがたつ。

◎主な効果
抗酸化作用。老化防止効果。コレステロール代謝調節。免疫機能の向上、抗高血圧効果、肝機能の増強、お通じの促進、血流の促進など数え切れない。

◎常備量
生は随時必要量を購入。乾燥品は国産・海外産を問わず最小単位で十分。

◎特長
オレイン酸、リノレン酸、ミネラル類、タンパク質、ビタミン類も豊富。

◎その他
成人の適量はシードで1日大さじ2杯まで。食物繊維は約10%と豊富だが、皮が硬いのですり潰して使うのが望ましい。

◎主な産地
ミャンマー、インド、中国、エチオピア。

薬効満載。人類と共に5000年以上続く最古のヘルシースパイス

 15年ほど前に僕は胡麻をテーマとした料理番組の構成作家をしていて、そのときの栄養学者の話が印象に残っている。

「胡麻の約50%は日本の若い女性が嫌う油。でも上質の油は人間の身体にとても重要で、特に胡麻の油はいいのです。セサミンやセサミノールなどといった胡麻特有の成分によって、免疫機能の向上、抗高血圧効果、老化防止効果、コレステロール代謝調節、肝機能の増強、精神の安定作用などがかなり期待されています。まさに油断大敵。ただし高カロリーですから、食用とする場合は成人で大さじ1か2までがいいでしょう」

 なるほど、油断大敵とは絶妙な言い回しだと感動した次第。

 胡麻は人類史と共にある世界最古のスパイスであり、5000年以上も前から栄養剤、薬剤として使われてきたという。ということで原産国の一つ、インドの伝統医療アーユルヴェーダの権威の方も取材した。そして番組内で僕が実験台に。うつ伏せになり背中全体に複数のスパイスを配合した胡麻油を塗ってから、腰に小麦粉の生地で土手を作りその油を流し込む。そして今度は仰向けになり、額にもたらたらと。この油が温かくて気持ちいい。30分もすると身体の芯が熱くなり汗が噴出。帰りの車中でもおさまらず、結局、翌夜まで汗が出続けたのである。

『スパイスジャーナル』ヨーガコーナー担当の本沢みつ代さん(*17)が詳しい。

「アーユルヴェーダは油を使った施術が多く、そのベースがゴマ油。でも日本のような焙煎したものでなく、ストレートのもの。日本でいえば太白胡麻油が近いです。これを目的に応じてスパイスを配合して使用する。世界的にはケララが有名だけど、観光客向けだからか、かなり割高だと聞きます。実際にはインド各地の公立病院の一科目として存在し診察料は無料。また小さなクリニックもあり、多くのインド人が日常的に通ってます」。

 パクチー専門店と担々麺店を営む田淵さんの話も面白い。

「実はお通じの促進にもなるんです。特に白より黒胡麻がいいみたい。うちのスタッフやお客さんも同じことを言ってるから、やっぱりそうなんですよ」

 身近すぎてあまり意識することはなかったが、胡麻は相当に凄いスパイスだ。

町のあちこちに大小のアーユルヴェーダクリ二ックがある(インド・ジャイプル郊外)

胡麻油をベースにミントやタイム、樟脳など9つのハーブが入ったアーユルヴェーダのプレシャンプー、ナブラタナオイル。不眠や頭痛、緊張、痛みを和らげ脱毛を防ぐといわれる(Photo by Mitsuyo Motozawa)

*17本沢みつ代さん(インドへ足繁く通いアーユルヴェーダを受診したり講義を受けたりしている。『スパイスジャーナル』の人気コーナー『ヨーガは心のスパイスです』のヨーガ講師)

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カワムラケンジ『おいしい&ヘルシー! はじめてのスパイスブック』

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