体調管理が難しい蒸し暑い季節にぴったりの新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』では、心も身体も元気になるスパイス生活について紹介しています。

インドや周辺諸国の人々にとってスパイスが健康に役立つということは常識で、その日の気候や体調に応じてスパイスを使い分けています。日常には「グッド・フォー・ヘルス」が溢れているんです。

本書より、スパイスの知られざる魅力と手軽な取り入れ方を抜粋してお伝えします。

基本のスパイス(3)コリアンダー

◎主な使い方
生のリーフや茎は料理の彩りや香りづけとして。根はスープやグリーンカレーのペーストに。種子(ドライ)は南アジア料理全般に、西洋では魚介料理、酒類に使う。

◎味
生はその強い香りで好みが分かれていたが、最近はかなりファンが増えている。種子(ドライ)はほのかに柑橘のような香りをもち、煮込むと深いコクをもたらす。

◎主な効果
生、ドライ共にビタミンB2とC、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどミネラル分がとても豊富。解毒作用、二日酔い防止にも。

◎常備量
30g以上。密閉容器で暗所に保管。生なら刻んでおいて冷凍保存が可能。

◎特長
生のリーフは、特に15センチ前後のものが、しなやかな食感で、風味が爽やか。

◎その他
タイではパクチー、中国では香シヤン菜ツアイ、インドではダニヤ(ヒンディー語)。与那国島ではクシティと呼ばれる。

◎主な産地
インド、中国、ヨーロッパ、静岡県など。

幸せの薬草。リラックスと疲労回復、美容に最適なスパイス

 レッドペパーや胡椒と並び世界で最も多く消費されている。生、ドライの各部位、種子など余すことなく活用する。

 日本では少なくとも1990年代までは嫌う人が多かったが、僕は好物で店でも多用。ある日、生葉を大量に食べるととてもリラックスすることを覚えた。この話をパクチー料理専門店を営む田淵雅圭さん(*8)にしたら共感してくれた。

「心身ともにすっきりすると言ってたくさん召し上がる方がいますよ。繊維質やミネラル分が多いので疲労回復や胃腸のケアにもいいでしょうね。紹興酒に入れて飲むと悪酔いしないし翌朝が楽です」

 薬学博士の多賀さんたちと共に調べたところ「確かにリーフは生、ドライともにビタミン類が豊富で、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどミネラルも多く、疲労回復作用が期待できる。また抗不安作用も期待できる」ということがわかった。さらに「種子には血中のコレステロール濃度を下げるとされるオメガ6系不飽和脂肪酸類を多く含み、香気成分は無難な香りの柑橘系が主」ということも。このときの調査では、シーフード料理に生とドライの両方を使うと、臭みを効果的に中和しつつ、栄養的にもバランスがいいという結論に至った。

 こんな優れもののコリアンダーを郷土野菜としている地域が日本にあった。沖縄県の与那国島だ。当時は詳しい情報がなかったため現地入りしての調査。島民十数名(*9)に話を伺うと、こちらではクシティと呼び、冬は島中がクシティの香りで溢れるという。最盛期は12月から3月。かつては自家採種栽培が常識的だったが、現在は個人間での譲渡や農協購入することも多いようである。水分が多く、20センチくらいまでのものを摘むため、食感は柔らかで香りは優しい。食べ方は鰹節とポン酢でサラダ、カジキの刺身の妻、子供にはかき揚げなど。4月以降は、家の軒先にコリアンダーを逆さに吊るす家が各所に見受けられる。そのためか、80 歳の女性でも肌がつやつやで綺麗な目をしていたのが印象的だった。

開花しているコリアンダー
インドからの輸入シード。これを粉砕するとパウダーに

論文:抗不安作用に関する文献:S. Bhat, P.Kaushal, M. Kaur, H. K. Sharma, Afr. J. PlantSci., 8 (2014) 25-33 香気成分についての文献(岸本 徹,日本醸造協会誌, 104 (2009) 157-169)

*8 田淵雅圭さん(台湾出身の母と日本人の父を持つ。パクチー料理専門店『GoGoパクチー』『ちー坊のタンタン麺』オーナーシェフ)/9 与那国島の皆さん(スミ子さんご一家、農協の方々、農協前に集結している皆々様、沖縄県農業改良普及課など)

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