体調管理が難しい蒸し暑い季節にぴったりの新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』では、心も身体も元気になるスパイス生活について紹介しています。

インドや周辺諸国の人々にとってスパイスが健康に役立つということは常識で、その日の気候や体調に応じてスパイスを使い分けています。日常には「グッド・フォー・ヘルス」が溢れているんです。

本書より、スパイスの知られざる魅力と手軽な取り入れ方を抜粋してお伝えします。

基本のスパイス(2) クミン

◎主な使い方
ターメリックと並ぶ基本スパイス。テクス・メクス料理のチリパウダー。西洋の煮込み料理など世界各国で使われている。

◎味
深い香りをもたらす。フライパンなどで乾煎りしてから使うと香ばしさが増す。

◎主な効果
健胃・整腸作用。食欲増進、消化促進。古代エジプトではアニスやシナモンと共にミイラの防腐剤として使われてきた。一説には興奮作用があるとも。

◎常備量
シード、パウダーいずれも30g以上。シードだけを購入し、使うたびに粉砕してもよい。

◎特長
アジア・スパイス料理の風味の柱となる。比較的、農薬の使用頻度も低いとの噂。

◎その他
シードはキャラウェイやフェンネルと形が似ている。パウダーはコリアンダーやガラムマサラと似ている。

◎主な産地
イラン、インド、スリランカなど。

小粒だが頼りがいあり。特に夏バテ時に期待大。香ばしい整腸剤

 古代より、下痢止めや整腸剤として使われてきたと、多くの書物や諸外国の人から聞く。クミンはインドのみならず、周辺諸国、中近東まで広いエリアでメイン格の一つとして多用されている。特にお腹の調子を整えたいときの定番で、粗潰ししたものをお湯で飲んだり、胡椒やクローブなどと併せてチャイに入れるなどして服用することもある。

 世界の旅人であり、アジアンキュイジーヌの料理人でもある片倉昇さん(*5)が語る。

「昔、モロッコでお腹を壊しまして。水が変わったからか旅の過労か、という感じの不調で。そんなときにフランス系モロッコ人がクミンシードを手のひらでぐりぐりともみだし、これを飲めと言うんですよ。しばらくして確かに楽になりました。単に休んだからか、クミンが効いたのか、いまだにはっきりとはわかりませんけど。でも、モロッコ人の多くが同じようにクミンでお腹の調子を整えていたことは確かなようです」

 アーユルヴェーダを日常的に行っているといわれるスリランカの料理人ランジさん(*6)はこう話す。

「クミンが身体にいいことはスリランカ人なら誰でも知ってる。例えばお腹痛いのとき、こうするね。クミンひとつまみをフライパンで煎い ってからパウダーにして、そこにお湯1カップを入れて混ぜる。1日3回飲む。治る~」

 西インドの主婦のラタさんもちょっと似た感じ。

「クミンシード小さじ1をフライパンで煎ったら火を止めて、温度がさがって少し硬くなったらごりごり潰して、それをお口でカミカミ。最後に水を飲んでOK ね。お腹痛いのじぇったい治るよ。インド、夏暑い~。でも、これで元気」

 料理に使う際は、粉末は入れすぎると味が濃くなりすぎるのと、時にえぐみが出てしまうので、コリアンダーやシナモンなど他のスパイスとバランスよく使うのがコツ。南アジアのカレーならターメリック以上、コリアンダー未満で。主張したい場合は乾煎りすると香りが増し、えぐみは消える。

 粉砕する際は、使う直前につき臼で潰すか、ミキサーで製粉すると特有の深い香ばしさが溢れる。

色の濃いほうがより香ばしいローストしたパウダー
インド料理では最初に油で熱してから使うことが多い

*5 片倉昇さん(元、世界の旅人。現在、大阪市福島区の『亜州食堂チョウク』オーナーシェフ)/6 ランジ・ペレラさん(スリランカ出身。現在、大阪市中央区『セイロンカリー』シェフ)

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