世界に影響を与えた破格の禅僧、釈宗演(1860-1919)についての講演会や展示があると友人に教えていただき行ってまいりました。展示は慶應義塾大学アート・センターと図書館で行われています。釈宗演が慶應で学んだという縁だそうです。
 講演会の会場は慶應内のホールでした。臨済宗円覚寺派の横田南嶺管長と馬場紀寿先生のお話はレベルが高すぎました。上品な笑いが時折起こっていました。そして釈宗演が若い頃に描いた文章も頭良すぎでした。昔の人の方が絶対頭良いような気がしますが、現代の人は大丈夫でしょうか。ネットやスマホのせいにしてもいいでしょうか。ネットを見ていると、ニュースの合間に「HGの嫁『腸内の便を剥がす』」「ビビアン・スー『炭水化物を食べる菌』」といった広告文がサブリミナル的に出てくるのがさらに脳細胞に悪い気がしています。
 とにかく、頭が良くて、目が澄んでいて、「智仁勇」を兼ね備え、人徳も素晴らしかった釈宗演老師。福沢諭吉との深い交流があり、展示には福沢諭吉の遺品である釈宗演の写真がありました。当時は今の名刺とかSNSでつながるみたいに、お互いの写真を交換する風習があったそうです。まだ写真が珍しかったので選ばれた人の社交術です。釈宗演は福沢諭吉の助けを得てシカゴで講演。世界にZENを広めました。鈴木大拙の翻訳によって英語で発信され、名声が高まりました。
 

「釈宗演と近代日本」展は8/6まで慶應の三田キャンパスの二カ所の会場で開催中です。


 そんなありがたい講演や展示を拝見したあと、レセプション会場へ。臨済宗のお坊さんがたくさんいました。お坊さん社交界に顔が広い友人Kさんが、お坊さんやお寺の由緒などについて説明してくださいます。
 最初、誰も食べ物に手を付けず、さすがお坊さんと思ったら、その後皆さん普通に召し上がっていました。肉や魚も、出されたらありがたくいただく、というスタンスだそうです。
 個人的に気になったのは、お坊さんの足袋と下駄にかぶせる雨用の透明カバーです。足からの蒸気で曇っている人までいました。さすがにそこに萌えたら変態です。
 

透明雨よけカバー。衣のシースルー感もおしゃれでした。


 友人と一緒に若いお坊さん方がたくさんいるところへ行き「私に布教してください!」と言ったのですが「それはちょっと……」と全員に目をそらされたのがショックでした。禅は敷居が高いです。鈴木大拙の本を読みなおして精進します。

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