制服姿のあの娘は自転車を立ちこぎして
輝く夏の中を加速した
体育館は青空をバックにその輪郭を際立たせて
バスケットのドリブルの音が聞こえる

流れる汗も蛇口の水もそのすべてが
光を反射しながらスローモーションになって

あいつロングシュート決めて
あの娘が歓声を上げて
そのとき俺は家にいた
あいつ右手を突き上げて
はしゃぐあの娘のスカート揺れて
そのとき俺は家にいた
袋とじのグラビアを慎重に
開けていた 開けていた 開けていたんだ

午後6時半の太陽が真横から世界を照らして
グラウンドと校舎を金色に染めて
体育館の裏にふたりコンクリートに腰掛けて
あの娘は足をぶらぶらさせている

会話は途切れ でも何か始まりそうな
甘苦しくて胸の鼓動が速くなっていく

あいつあの娘に顔近づけて
あの娘がそっと目を閉じて
そのとき俺は正座していた
あいつの手は震えていて
あの娘は余裕なままで
そのとき俺は正座していた
どれぐらいの時間正座に耐えられるか
試していた 試していた 試していたんだ

僕らみたいなやつにしか見えない景色
僕らみたいなやつにしか分からない歌

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