さて、先日アップしたところ、社内で俺と目が合った人間だけが「あ、あれ面白かったよ」ってこっそり言ってくれる営業日誌の第2弾。幻冬舎営業局・コグマ部長の「これも仕事ですから」。さぁ、俺の華麗なる日常をお楽しみあれ!

某月某日

渋谷のスクランブル交差点の真上で「お金2.0」の巨大看板が掲示開始。展開の確認のため周辺の書店を訪問する。

拡材として「お金2.0」Tシャツも持っていく。先月営業に異動してきた木内も同行させる。こいつはリュックを背負ったまま名刺交換して、もらった名刺をそのままスーツの胸ポケットに入れるニュータイプ。俺に同行しながら、俺から何か盗んでくれればいいが。

訪問した渋谷地区の各書店のすばらしい展開に感動する。本当に有難い。続いて、この看板をもっと間近に見られる「ガスト渋谷駅前店」に移動。この店は7階なので看板が水平の目線で見える。窓側のテーブルにいる女子高生たちの集団に優しく声をかけて、看板を撮影。JKたちには、俺がなんの写真を撮っているかまったく謎だったと思う。

せっかく入ったガストで窓越しに写真だけ撮って帰るわけにもいかず、ドリンクバーを木内におごる。なんでも飲んでいいぞと木内に偉そうに言う。

今日営業先で買ったのは「にらみ」(長岡弘樹さん 光文社)。長岡さんのミステリは必ず読んでいる。どれも伏線が巧みに張り巡らされているので全身を集中させて読むのが楽しみな作品だ。

某月某日

八王子にある某全国チェーンの本部で月例の打ち合わせ。チェーンごとに月単位で昨対比を出しているので、その報告と今後の新刊をセールス。こういう場で必ず聞くのが他社の情報。どういう商品がどういう展開をして売れているのか、あるいは売れなかったのか? そういう情報があるので、やはり現場には直接行ったほうがいい。今日も自社で出している著者が、他社の作品のパブでTV出演することが決まっているらしいという情報があった。もしかしたらウチのも売れるかも。早速担当編集者に連絡を入れる。

偉そうで恐縮だが、出版社の営業マンは自社の商材をセールスしているだけではダメで、取引先の相談相手になって一人前だと思う。「今度、こういうフェアをやろうと思っているんだけど?」って言われたときに「じゃあ、○○社の『×××』なんかいいですよね」って言えるのが理想だ。その時は自社の売り上げにならないが、必ず返ってくるはずだ。

八王子駅から向かうのは日本武道館。今日はオザケンこと小沢健二のライブなのだ。詳しくは明日の日記に。なぜなら今日と明日2日連続でライブに行くからだ。

今、読んでいるのは「オリジン」上下巻 (ダン・ブラウン著 KADOKAWA)「ダ・ヴィンチ・コード」以来のファンで、毎作読むたびにキリスト教やヨーロッパの芸術、歴史、地理をもっと勉強したいなと思う(で、何もしない)。今作はスペインが舞台で、人間の起源(オリジン)がテーマ。上下巻がまったく苦にならない面白さで、徹夜してもいいくらいだ。

某月某日

この日は休み。昨夜のオザケンのライブの興奮のまま起きる。たった4列前のステージにいた小沢健二は細身でスタイリッシュだ。同い年(ちなみにイニシャルも一緒だ)の俺は中年太りで、仕事とはいえこんな企画を嬉しそうにやっている。

今日も歌ってくれたが「愛し愛されて生きるのさ」の冒頭はこんな歌詞だ。「とおり雨がコンクリートを染めてゆくのさ/僕らの心の中へも浸みこむようさ」

こんな綺麗な「ーさ」の使い方があるなんて。この曲を聞くたびに思う。

そんなこんなで二日連続で武道館へ。

某月某日

デスクワークをしていると編集者から外線が掛かってきた。「コグマ部長、アレまだ重版できない? けっこう切らしてるんじゃないの?」。これはよくかかってくる内容だ。

重版をして取次に搬入すれば売り上げになる。もちろん営業も重版したい。ましてや書店販促担当だと、書店からの注文に答えたいので、隙あらば重版したいと思っている。もちろんこちらが気がつかないで在庫が減ってたなんて商品もあるので、そんな時はすかさず重版。

今回の銘柄は、重版を前向きに検討したが数日後に想定以上の返品が帰ってきてしまったのでやむなく断念。

夕方は九州の某チェーンの役員さんが上京してきたので、出版社が集まって囲む会を湯島で開催。1軒目はホルモン焼き、2軒目はスナックだった。カラオケで斉藤由貴の「卒業」を歌うが、サビの直前で演奏中止ボタンを押されてしまった。だれか、俺のフルコーラスを聴いてくれ!

ホルモン焼きとハイボールをやっていたら、ふと人間ドックをキャンセルしたままだったことを思い出す。総務に怒られる前になんとかしないと。

今日買ったのは「宇喜多の楽土」(木下昌樹さん 文藝春秋)。うちでも「秀吉の活」を書いてくれている気鋭の木下さんの新作。「宇喜多の捨て嫁」がめちゃくちゃ良かったので今作も期待。

某月某日

六本木の青山ブックセンターが閉店するという情報が入ってきた。ただただ残念としか言いようのない寂しさ。かつては六本木の代名詞的なランドマークだった。ちなみにここで初めて見た芸能人はクリス・ペプラーだった。カッコいい選書だった棚は何時間見ていても全く飽きなかった。

夕方からは書店イベントが2つ重なる。窪美澄さんの「じっと手を見る」の刊行イベントは青山ブックセンター本店で。もう1つは佐々木俊尚さんの「広く弱くつながって生きる」のトークショーが八重洲ブックセンター本店で。

時間もだだ被りなので、まずは青山本店で窪さんと書店の方達に挨拶して、自社のスタッフが手薄な八重洲BCへ移動。どちらも盛況だったが、イベントの成果は読者の顔が見える、ということ。どんな方たちが読者なのかわかるのは貴重な機会だ。

八重洲BCのイベントに最後まで立ち会って、担当してくださった書店員さんと打ち上げ。雑談の中で、とある作家の新作が、めちゃくちゃいいからすぐに読んだ方がいい、と言われる。偶然買ってあったが、まだ読んでなかったのですぐに読むことにする。こういう情報が聞けてありがたい。

某月某日

早朝、編集者の箕輪からラインが入る。

「理由は言えませんが、『人生の勝算』重版してください」、「悪いニュースではありません」と。

ちなみに箕輪はメディアでは露悪的に活動しているが、実は誰よりも仕事熱心で、早朝深夜土日も関係なく連絡が入る。こっちが聞いたことも同様に即リアクションがあって、彼とのコミュニュケーションに時差がまったくない。

ただ最近ではレギュラー番組を持つほど人気で、俺も「箕輪さんってどういう人なんですか?」と聞かれることが多くなり、面倒くさいので「いや、あんまり親しくないんだ」と答えている。

その箕輪が「人生の勝算」を重版しろという。彼が理由は言えないというなら、どう聞いても絶対言わないはず。ちょうど見城からも同様の指示が上司にもあったようで、1万部を最速で重版することが決まる。

数日後、「文春砲」によって、「人生の勝算」の著者の前田裕二さんと石原さとみさんのデートがすっぱ抜かれ、そのタイミングで重版が店頭に並び、再びベストセラーになったのはみなさんの知る通りだ。

アマゾンで一時的に切れてしまい、キンドル版が1位になった。

某月某日

通勤電車の中ではいつもゲラか本を読んでいるが、今日はインターネットラジオ「Voicy」を聴く。

幻冬舎のコンテンツビジネス局の設楽と、NewsPicks編集部の野村高文さんの番組「風呂敷『畳み人』ラジオ」が更新された。

これはほんとにおもしろくて刺激になるコンテンツ。特に20代のビジネスマンは絶対聴いたほうがいい。仕事への取組み方、実践的なノウハウをこの2人が兄貴分的な感じでしゃべっている。こういう取組はもっと社内で知られてもいいのに、と思う。

歯を食いしばって自分の時間やプライベートをかなり犠牲にしているだろうが、そんな素振りを一切見せていないのも尊敬している。

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