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眩しがりやが見た光

2018.05.11 公開 ツイート

クールな主婦みたいだった今日のわたしが見た今日のヒーロー マヒトゥ・ザ・ピーポー

晴れた日には、家の向かいにある竹やぶと神田川の間、そこに二つ設置されたベンチの上でコーヒーを飲み、たばこの煙を肺に入れたり出したりしながら、ぼんやりと時間を過ごす。

このベンチの常連といえば、70歳くらいの爺さんとわたしの二人。爺さんは先に座っているわたしを見つけるとおはようと挨拶をし、丁寧すぎるほどの言葉遣いで、横、失礼しますねと言葉を置き、立ち去る時にはお先に失礼しますとまた言葉を置いていく。爺さんはただ、横でぼんやりと川の流れるを見ているだけで、散歩コースか帰り道か、停留の目的は足を物理的に休めているといったところだろう。

アメリカから帰ってきてからは、喧騒にもまれすぎたせいか、人から少し距離を置いてただ季節が流れていくのに身を任せている。

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マヒトゥ・ザ・ピーポー『ひかりぼっち

本連載に13編の書き下ろし他を加えた書籍が、2020年11月17日、イースト・プレスよりに発売されます。

いつ、どの部分を遺書として 切り取ってくれても構わない。 あなたがあなた自身である限り、誰にも負けることはない。 オリジナルでもフェイクでもいい。ただわたしであればそれだけでいい。 GEZANマヒト、時代のフロントマン。眩しいだけじゃない光の記録。(写真 佐内正史)

関連書籍

マヒトゥ・ザ・ピーポー『銀河で一番静かな革命』

海外に行ったことのない英会話講師のゆうき。長いあいだ新しい曲を作ることができないでいるミュージシャンの光太。父親のわからない子を産んだ自分を責める、シングルマザーのましろ。 決めるのはいつも自分じゃない誰か。孤独と鬱屈はいつも身近にあった。だから、こんな世界に未練なんてない、ずっとそう思っていたのに、あの「通達」ですべて変わってしまった。 タイムリミットが来る前に、私たちは、「答え」を探さなければならない――。 孤独で不器用な人々の輝きを切なく鮮やかに切り取る、ずっと忘れられない物語。アンダーグラウンド界の鬼才が放つ、珠玉のデビュー小説。

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眩しがりやが見た光

GEZAN・マヒトの見た、光、幸福、人生。

バックナンバー

マヒトゥ・ザ・ピーポー

ミュージシャン。2009年に大阪にて結成されたバンド・GEZANの作詞作曲を行いボーカルとして音楽活動開始。
2014年、青葉市子とのユニットNUUAMMを結成。
2018年、GEZANのアメリカツアーを敢行し、スティーブ・アルビニをエンジニアに迎えたアルバム「Silence Will Speak」を発表。
2019年2月にソロアルバム「不完全なけもの」、4月に「やさしい哺乳類」を発売。
5月にはじめての小説「銀河で一番静かな革命」を発売、6月には初めてのドキュメンタリー映画「Tribe Called Discord:Documentary of GEZAN」が公開、同年7月には初めてのフジロックのホワイトステージに出演した。
2014年からは、完全手作りの投げ銭制野外フェス「全感覚祭」も主催。自由に境界をまたぎながらも個であることを貫くスタイルと、幅広い楽曲、独自の世界を打ち出す歌詞への評価は高く、日本のアンダーグラウンドシーンを牽引する存在として注目を集めている。

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