40歳から新しいことに挑戦しよう! というこの連載を始めて、1年が経ちました。

 最近、この連載原稿を書かなければいけないのだけれど、次にやる新しいことがなかなか見つからないという状態に陥り、前向きに生きるために新しいことに挑戦していこうと始めた連載なのに、たった1年でやりたいことが見つからなくなるなんて、私って終わっている。ああ、終わっているなんて言葉を発すること自体がもうダメだ。言霊!言霊!ネガティブな言葉を発するな! ポジティブな言葉を!! と考えれば考えるほど気持ちはどんどん落ち込んで行き、頭がきゅーっと締め付けられているような日々を過ごしておりました。

 そして先日、今日こそは原稿を書かねばと悶々と近所の喫茶店を徘徊していたのですが、3軒目のスタバのレジに並んでいた時に、ふと外に目をやると、見覚えのある顔の男性がのっそりと歩いているのが見えました。
 
 その通行人の男性が、知り合いの役者のFさんだと私が認識した瞬間、ちょうど彼と目が合いました。するとFさんはものすごい勢いでこちらへ向かってきて「ちょっとお時間いいですか? 今ものすごく人と話したくてしょうがなかったんです」と、私と一緒にレジの列に並びました。その時のFさんの勢いには鬼気迫るものがあり、私は原稿を書くのを諦めて、Fさんと約2時間サシでお茶をしました。

 Fさんとは知り合って10年以上経ちますが、舞台の打上げなどで一緒になった時に話すくらいで、ここ数年は飲み会で顔を合わせる機会もなく、ましてや二人でお茶をするのは初めてのことでした。

 Fさんが店の前を通りかかった瞬間にちょうど私が外を見なければ、Fさんとのこの時間はなかったわけで、不思議な巡り合わせへの驚きと、思わぬ人と二人でお茶をするという新鮮さに、久しぶりにテンションが上がっている自分がいました。その時、私も誰かと話したくてしょうがなかったのです。

 そして2時間、近況や今の悩みなどをお互い話しました。人が大勢いる飲み会と違って一対一だと、これまで知っていたFさんとは違った一面も垣間見ることができ、とても楽しい時間でした。

 ここ数年の私は仕事もプライベートもフリーでひとり暮らしなので、特定の誰かと毎日顔を突き合わせてコミュニケーションを取るということがない生活を送っています。そういう生活は人間関係の煩わしさがないという点ではストレスもフリーなのですが、最近の私はなんだかその状態をつらく感じてきていました。

 誰かと会って話したい。今日こんなことがあった、今こんなことを考えている、そんな話を日常的に聞いたり聞いてもらったりしたい。そんな気持ちが心の中で沸々と沸き起こっていました。なのでFさんの「今ものすごく人と話したくてしょうがなかったんです」という言葉は胸を打つものがあったのでした。

 するとFさん、別れ際にボソッと「実はさっき、つらすぎて心療内科に飛び込みで行ったら、前もって予約してないとだめと追い出されて途方に暮れていたところだったんです」とのこと。

 何らかの生きづらさを抱えた者同士が、求め合って起きた奇跡の巡り合わせだったのではないか。さっきここでFさんと目が合ったのは。

 何だかいきなり恋でも始まりそうなテンションですが、恋が始まってもいいのですが、人生って何が起こるかわからなくて楽しいな、と思える出来事でした。

 子供の頃から動物好きの私ですが、動物と同じくらい、私は、人間が好きなんです。(人間も動物ですし)人と会って話すことが好きなんです。

 仕事もプライベートもフリーな状況に孤独を感じていましたが、逆に考えると、今私はいつでも誰にでも会える状況にあるのです。だから会いたい人に会う、話したい人と話す。今この状況だからこそ、積極的にやっていけばいいではないか。次にやりたいことは誰かと会って話すこと(一対一で)。これだったんだ。

 そういえば最近、「デート」というものをめっきりしていません。

 というわけで、人と一対一で会って話すことをあえて「デート」と呼び、積極的に「デート」をすることにしました。さあ誰とデートしようかな? 私とデートしたい人も募集中です。(中編へ続く)

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