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減税が経済を動かす

2021.05.12 公開 ツイート

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「増税やむなし」の奴隷マインドを、この衆院選で変えるとき 渡瀬裕哉

日本経済が低迷し、苦しい生活から抜け出せないのは、取られすぎの「税金」のせい。使うだけの政治家や財務官僚、御用学者、利権業者・団体の口車に乗り、「無党派層はATM」と軽んじられ、黙って取られて悪循環に陥っているからである。話題の『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社新書)の中で、「大減税」と「規制廃止」で復活した米国経済を喝破した渡瀬裕哉氏による、日本政治と経済を立て直すための集中講座。衆院選が近いいま、有権者が現実を理解するとき――。

 
(写真:iStock.com/gagarych)

「減税をしましょう」「規制(から生まれる利得に“合法的に”群がる一部団体へのバラ撒き)をなくしましょう」と述べると、日本では非現実な話をしているような扱いをされてしまいます。

政治家や役人は税金を使う理由や規制を新しく作る理由も無限に作ってくれます。メディアなどを通じて、その話を繰り返し耳にするうちに、税金は上がるもの、規制はなくせないものとして刷り込まれてしまっているからです。

実際、日本の税金・社会保障費などの負担率を示す国民負担率は1970年の24.3%と2020年の46.1%にまで引き上がっています。つまり、政府を運営するための国民の負担は50年前の約2倍に膨れ上がっているのです。

これでは若者の貯金ができない、結婚のためのお金もないのは当たり前です。政府は社会保障が充実すれば将来不安が無くなると絵空事を述べていますが、国民は自分の手元にお金がない中で空手形を全面的に信じるほど馬鹿ではありません。

また、規制の数も増え続けています。インターネット上の言説では小泉・竹中によって「規制緩和が行われて新自由主義国家になった!」という俗説が幅を利かせており、規制がまるで減っているかのように錯覚している人も多いです。

ただし、総務省行政評価局によると、現実の世界では、規制(許認可等)は2002年3月に10,621個であった許認可等の根拠条項等数は、2017年4月1日で15,475個まで増えています。実に1日約1個のペースで国民の手足を縛る許認可等が増えているのです。これで国民の元気が出ると考えるほうがおかしいです。

増税や規制で雁字搦めて元気を失った日本国民の間で奴隷マインドの同調圧力が蔓延し、減税や規制廃止を求める声が封殺されているのです。

しかし、ここで一度政府に手枷足枷を嵌められた奴隷マインドを捨てて、増税や規制増加の本当の原因を特定すると、現実を変えること、つまり減税や規制廃止を実現できることに気が付くことができます。

簡単に言うと、それは全て政治の問題なのです。当たり前ですが、増税を決めるのも、規制を増やすのも、国会(とその裏にいる役所)が決めます。この「決める」ことをしている人達、特に政治家の動機と行動を変えることによって、減税や規制廃止を論理的には実現できます。

このように言うと、「政治家を変えることなんてできない」「政治の話は難しくて……」という声も聞こえてきそうです。上記のように指標や数字を使って話しただけで拒絶感が出る人もいます。

大丈夫です。物事はもっと単純にシンプルに進めることができます。

では、実際にどうやって税金を下げるどうでしょうか。

私が見てきた米国の政治では、税金を下げてほしいという有権者は、自分がやってほしい「減税の要求」を声高に叫んでいました。そして、減税に賛成する政治家を応援し、増税を進める政治家を落選させました。

実はこれだけで増税を止めて減税を実現できるのです。国は違っても日本でも同じです。政治家、役人、御用学者が何を言おうと、ダメなものはダメを貫徹するだけで良いのです。増税派に説得されず(騙されず)、自分の減税の要求を貫くことだけでOKです。

その際に幾つかの工夫は必要となります。

最も大事なことは「目に見える形」で「税金を下げろ! 規制をなくせ!」と伝えることなのです。「目に見える形」とは票のことです。ある特定の主張を掲げる票を持つ集団が大きくなってくると、政治家はその声を無視できなくなってきます。

(写真:iStock.com/XtockImages)

無党派層というフワフワした存在ではなく、「増税には一切耳を貸さない」という人たちが有権者の数%動き始めるだけで状況は大きく変わります。それが本当である根拠は連載の中で示していきます。

その上で、政治家を選ぶルールや政治家を監視するルールを知るだけでOKです。

小難しい財政や経済に関する政策論ではなく、来るべき衆議院選挙に際して、一人の有権者として何をどうしたら良いのか、その手引きとなる行動指針をお伝えできれば幸いです。

 

※次回「税金は下げられる」5月13日(木)公開から、『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社新書)の試し読みをお届けします。

渡瀬裕哉『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社新書)

1980年代、日本は世界で最も勢いのある経済大国だった。しかし、90年代に入ってバブルが崩壊、経済は停滞して「失われた10年」と呼ばれた。その後も不況から脱出できず、もはや「失われた30年」になろうとしている。その原因は何か――。すべては「税金と規制」の問題に集約される。だが、日本は世界に先駆けて少子高齢化が進み、財政状況も悪化。社会保障費は増え、自然災害も毎年のように日本列島を襲う。であれば「増税はやむなし」なのか?上がる一方の税金と規制に苦しむ日本が打つべき手とは?俊英の政治アナリストが、私たちに刷り込まれた「洗脳」を解く。

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減税が経済を動かす

増税はいらない。税金は下げられる。いま下げないと、日本はこの低迷から永遠に抜け出せない――。米国経済の復活の土台となった「大減税」「2対1ルール」を例に、俊英の政治アナリストが説く日本のための減税論。2021年の衆院選で減税政治家を大量に送り出すために知っておきたいプレ講座。

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渡瀬裕哉

1981年東京都生まれ。国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。著書に『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか―アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎)などがある。

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